日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS10] ジオパーク

2025年5月26日(月) 10:45 〜 12:15 国際会議室 (IC) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:尾方 隆幸(琉球大学大学院理工学研究科)、青木 賢人(金沢大学地域創造学類)、大野 希一(一般社団法人 鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会)、道家 涼介(弘前大学大学院理工学研究科)、座長:道家 涼介(弘前大学大学院理工学研究科)

10:45 〜 11:00

[MIS10-07] ジオパークと考古学:連携の可能性

★招待講演

*橋詰 潤1 (1.新潟県立歴史博物館)

キーワード:歴史、遺跡、考古学、ジオパーク活動、相互連携

ジオパーク活動では、ジオの語から想起されやすい地形・地質だけでなく,それらとその上に存在する動植物や生態系,そして人の歴史や文化との相互関係についても重要視されている。地球の活動やその活動によって残された自然と,人がこれまでどのように関わってきたのかについて、両者をつなぐことができる存在として考古学的なサイトも重視する必要がある。ここでは、ジオパークと考古学との関係について整理し、両者の連携の事例と、これからさらに期待される連携について紹介する。
考古学が研究対象とする人類が地球上に登場したのは約700万年前とされる。これは地球の歴史の中ではごく最近の出来事である。人類へとつながっていくこととなる生命の歴史の開始は約38億年前、さらに生命の営みの場となってきた地球の誕生は約46億年前までさかのぼる。このように、地球の歴史、生命の歴史、人類の歴史は連綿と続いており、我々人類の歴史は生命の歴史や地球の歴史の末端に位置しているといえる。さらに人類の歴史の中においても、他の生命や地球の活動や、さらに地球の活動が残してきたもの(例えば、地形、地質、土壌、岩石、鉱物など)と人類は常に関わって生きてきた。人類の歴史を語る上でもこれらの相互関係を解明していくことは重要な研究テーマといえる。人の歴史のスケール、生命の歴史のスケール、地球の歴史のスケールといった異なる時間の階層を段階的につなぐのに考古学は良い仲立ちになり、通常の人の時間感覚とは大きな隔たりのある、ジオパーク内のサイトと人を結び付けるのに良い事例を提供できると考えている。
橋詰(2017)では、考古学とGP活動の連携による相乗効果を以下のように示した。①考古学は人の活動と地球の活動との関係を科学的な手法によって評価することを通じ、GP活動に貢献できる。②GPが地形・地質遺産の保護・保全、活用をおこなう際に、これまで考古学が文化財の保護・保全、活用に取り組んできた方法や経験を参照できる。③考古学とGPとの連携は、考古遺跡を、人の歴史を研究する場に加え、地球科学的な側面から新たな視点や知識をもたらすとともに、人の歴史と地球の活動の両者の関わりを学ぶ場ともする機会を与える。加えて、人と大地、さらに動植物や生態系とのかかわりの歴史を学ぶことは、ユネスコを中心とした教育活動の中で重要度を増している「持続可能な開発のための教育」(ESD: Education for Sustainable Development)などへも寄与できる。
 上記のように考古学とGP活動の連携は様々な相乗効果の可能性を有している。近年の事例の紹介と、今後期待される連携などについても報告を行う予定である。

【引用文献】
橋詰 潤 2017「考古学とジオパーク活動の連携:ジオパークセッションの概要と特集「考古学とジオパーク」の趣旨」『資源環境と人類』7、pp.51-59.