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[MIS10-P01] 山形県釜磯海岸の地質的特徴を活かした海洋科学教育の可能性
キーワード:海洋教育、ジオパーク、釜磯海岸、STEM / STEAM、SDGs、地球システム
「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」の計画を基に、国際的に海洋への関心が高まっている。特に海洋環境についての理解と保全を促進するため、人材の育成としての海洋科学教育の推進が求められる。例えば、海洋環境問題として海洋プラスチック問題が広く周知され、最も深い海溝であるマリアナ海溝でも発見されたとの報告があり、国際的に持続可能な海洋環境への関心が一層高まっている。こうした国際的な潮流の中で、海洋大国である日本でも海洋リテラシーを備えた人材の育成が重要視され、海洋教育が積極的に推進されている。我が国の具体例として、内閣府、文部科学省、海上保安庁、日本海洋機構、国立大学などが海洋教育について様々な取り組みを行っている。これらの取り組みは、日本政府が掲げる「2025年までに全国の市区町村にて海洋教育を実施することを目指す」という宣言を背景に展開されている。
本研究では、湧水が砂浜で発生し、その湧水を直接触れて観察できることで有名な「鳥海山・飛島ジオパーク」のジオサイト「釜磯海岸」に着目し、教材開発のための地質調査と学校での教材開発案の試案を行った。釜磯海岸では、2024年に現地調査を実施し、鳥海山からの地下水が湧き出る湧水、湧水が海に流れ出る際に形成されるリップルマーク、砂と転石の構成鉱物、海岸に多く蓄積された海洋プラスチックを確認した。砂浜には、数cmから数十mm大のプラスチックごみが散在し、周辺の転石は安山岩であることが確認された。砂の物質同定・鉱物同定のために顕微鏡観察と元素分析を行った結果、石英、角閃石、黒雲母、輝石またはオリビン、斜長石、カリ長石、チタン鉄鉱、磁鉄鉱が含まれていることが明らかとなった。
これらの調査結果を基に、中学校第一学年の「大地の成り立ちと変化」から「火山活動と火成岩」における校外学習の地域教材として活用できると判断した。また、現在、文部科学省や経済産業省が推進するSTEAM教材開発として、STEM教育の基盤である次世代科学教育スタンダード(NGSS)の「Eight-practices」を理論基盤とし、自然現象の説明に至る学習モデルを構築した。釜磯海岸での校外学習を通して、生徒に(1)自然現象への疑問や関心を持たせ、(2)自然現象についての説明のために生徒自身が計画・観察・調査・実験を行い、(3)観察データの解釈、(4)数値化、(5)説明の考察、(6)結果に基づいた考察、(7)発表と質疑応答・議論を行わせる。この具体的事例として、湧水の自然現象では、主に海水と湧水の水質を比較し、水温や塩分濃度を化学的・工学的知識と技能を用いて分析することで、湧水の後背地が鳥海山の地下水であることを理解できる。
さらに、リップルマークの自然現象では、地下水が海に流れ込む様子を視覚的に確認し、地球システム的な水循環を実感できる。また、有色鉱物の磁鉄鉱と無色鉱物の比重の違いによる流れやすさの差に着目し、自然現象の背後にある物理的プロセスを明確にすることができる。砂と岩石の比較では、学習したコア概念と顕微鏡観察を通して、砂と岩石の後背地の違いに気づくことができ、理科の見方・考え方としての共通点と相違点に着目する力を育成することに繋がる。そのうえで、領域横断的な知識を活用し、砂の観察と海流を関連付けることで後背地の特定が可能となる。珪長質な砂が釜磯海岸に含まれていることへの考察では、本地域南部にチタン系列の花崗岩体が存在することや、海上保安庁が提供する海流図と比較させることで、子どもたちに自然現象の広がりと繋がりを理解させることができる。これらの活動を通じて、釜磯海岸の豊かな自然を学んだうえで海洋プラスチックごみについて考えさせることで、国際的にも注目されている社会課題に対して自分事として向き合い、具体的な対策を検討させることができる。まさに釜磯海岸は持続可能な海洋教育を理解するための非常に有効な環境であると言える。
本研究では、湧水が砂浜で発生し、その湧水を直接触れて観察できることで有名な「鳥海山・飛島ジオパーク」のジオサイト「釜磯海岸」に着目し、教材開発のための地質調査と学校での教材開発案の試案を行った。釜磯海岸では、2024年に現地調査を実施し、鳥海山からの地下水が湧き出る湧水、湧水が海に流れ出る際に形成されるリップルマーク、砂と転石の構成鉱物、海岸に多く蓄積された海洋プラスチックを確認した。砂浜には、数cmから数十mm大のプラスチックごみが散在し、周辺の転石は安山岩であることが確認された。砂の物質同定・鉱物同定のために顕微鏡観察と元素分析を行った結果、石英、角閃石、黒雲母、輝石またはオリビン、斜長石、カリ長石、チタン鉄鉱、磁鉄鉱が含まれていることが明らかとなった。
これらの調査結果を基に、中学校第一学年の「大地の成り立ちと変化」から「火山活動と火成岩」における校外学習の地域教材として活用できると判断した。また、現在、文部科学省や経済産業省が推進するSTEAM教材開発として、STEM教育の基盤である次世代科学教育スタンダード(NGSS)の「Eight-practices」を理論基盤とし、自然現象の説明に至る学習モデルを構築した。釜磯海岸での校外学習を通して、生徒に(1)自然現象への疑問や関心を持たせ、(2)自然現象についての説明のために生徒自身が計画・観察・調査・実験を行い、(3)観察データの解釈、(4)数値化、(5)説明の考察、(6)結果に基づいた考察、(7)発表と質疑応答・議論を行わせる。この具体的事例として、湧水の自然現象では、主に海水と湧水の水質を比較し、水温や塩分濃度を化学的・工学的知識と技能を用いて分析することで、湧水の後背地が鳥海山の地下水であることを理解できる。
さらに、リップルマークの自然現象では、地下水が海に流れ込む様子を視覚的に確認し、地球システム的な水循環を実感できる。また、有色鉱物の磁鉄鉱と無色鉱物の比重の違いによる流れやすさの差に着目し、自然現象の背後にある物理的プロセスを明確にすることができる。砂と岩石の比較では、学習したコア概念と顕微鏡観察を通して、砂と岩石の後背地の違いに気づくことができ、理科の見方・考え方としての共通点と相違点に着目する力を育成することに繋がる。そのうえで、領域横断的な知識を活用し、砂の観察と海流を関連付けることで後背地の特定が可能となる。珪長質な砂が釜磯海岸に含まれていることへの考察では、本地域南部にチタン系列の花崗岩体が存在することや、海上保安庁が提供する海流図と比較させることで、子どもたちに自然現象の広がりと繋がりを理解させることができる。これらの活動を通じて、釜磯海岸の豊かな自然を学んだうえで海洋プラスチックごみについて考えさせることで、国際的にも注目されている社会課題に対して自分事として向き合い、具体的な対策を検討させることができる。まさに釜磯海岸は持続可能な海洋教育を理解するための非常に有効な環境であると言える。