日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS10] ジオパーク

2025年5月26日(月) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:尾方 隆幸(琉球大学大学院理工学研究科)、青木 賢人(金沢大学地域創造学類)、大野 希一(一般社団法人 鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会)、道家 涼介(弘前大学大学院理工学研究科)

17:15 〜 19:15

[MIS10-P02] ジオパーク学習における概念理解の促進に向けたコンセプトマップに関する研究

*渡邉 七江1仙田 量子2 (1.九州大学大学院地球社会統合科学府、2.九州大学比較社会文化研究院)

キーワード:ジオパーク、概念理解、コンセプトマップ、地学教育

ジオパークでは,来場者はジオサイトや博物館の展示を通じて,地学の現象に関する知識を,実在感をもって学ぶことができる.地学の内容は,実際の岩石や地層に触れてこそ理解が深まるが,実際の地学教育の現場では野外での体験学習は限られており,これには,地学の専門知識を持つ教員の不足や,校外学習の実施が学校として困難であるなどの理由が考えられる.そのため,文部科学省の学習指導要領では,生徒の実感を伴った理解を図るために,地学教育にジオパーク等の体験型施設を活用することが重要とされている.

一方で,ジオパーク学習では,専門用語の多さなどの理由から,来場者が自ら概念理解を達成することは難しいと考えられるため,概念理解の学習支援が必要であると考えられる.しかしながら,ジオパーク学習において,来場者が自ら概念理解を達成することを適切に支援し,かつ個々の来場者の多様な概念理解を計測・分析・評価するような学習支援方法は,従来確立されていなかった.本研究では,そのような学習支援方法を設計するためのデザイン研究フレームワークを提案し,この研究フレームワークに基づき,知識の外化手法であるコンセプトマップの設計,実践,分析,評価を行った.

本研究では,島原半島ユネスコ世界ジオパークが存在する雲仙岳災害記念館(通称,がまだすドーム)を訪れた来場者に対して,我々が設計したコンセプトマップを用いて,来場者自身の概念理解の状況を外化してもらう実験を実施した.実験の結果,本研究が設計したコンセプトマップおよびその分析手法は,来場者に対して自身の概念理解の全体像を俯瞰させたり,概念理解が不十分な部分をメタ認知させる効果があることが示唆された.加えて,我々の分析手法を用いることで,複数の概念を過度に単純化してしまう単一的な視点や,ある概念を多様な概念と結び付ける複数の視点など,来場者の概念理解のパターンが抽出可能になることが分かった.これらの結果から,我々のコンセプトマップおよび分析手法は,ジオパーク学習における学習者の概念理解を促進する可能性があることが示唆された.

本研究の発展的検討として,本研究が設計したコンセプトマップおよび分析手法を用いることで,学習者間で異なる視点を共有する協働学習や,これを組み込んだ「自分で概念理解を達成できるようなジオパーク学習」が可能になると期待される.