日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS11] 津波堆積物

2025年5月29日(木) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:山田 昌樹(信州大学理学部理学科地球学コース)、石澤 尭史(東北大学 災害科学国際研究所)、谷川 晃一朗(国立研究開発法人産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)

17:15 〜 19:15

[MIS11-P02] 地中レーダーによる沿岸低地の津波堆積物の追跡:北海道胆振地方を例に

高橋 慶伍1、*菅原 大助2石澤 尭史2西村 裕一3高清水 康博4 (1.東北大学大学院理学研究科、2.東北大学災害科学国際研究所、3.北海道大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センター、4.新潟大学人文社会・教育科学系)

キーワード:古地震、千島海溝、日本海溝

津波数値解析の信頼性は,使用する地形データに大きく左右され,歴史・先史津波を対象とした数値解析では,現地調査等から得たデータをもとに古地形の復元が必要である(菅原,2019).津波堆積物の形成プロセスを考えると,津波来襲時の地盤に津波堆積物が堆積することから,津波堆積物下面は古地形に対応していると考えられる.内陸の浸食の形跡が見られないような場所に限られるが,津波堆積物下面を追跡することで部分的な古地形の追跡,補正につながると考えられる.広域な津波堆積物の分布を得る際には,非破壊かつ連続的にデータを取得できる地中レーダー(GPR:Ground Penetrating Radar)を用いた手法が有用である.GPRを用いた津波堆積物調査はすでに多く行われている一方で,課題も見られる.例えば,GPRの分解能や深度補正の際に生じる誤差,測定装置やデータ処理に関する問題に加え,解釈技術の信頼性についても指摘されており,GPR データの誤差についての理解向上と頑健な解釈が必要である.

本研究の調査地域である北海道勇払郡厚真町では,17 世紀の津波堆積物と解釈される1 層のイベント砂層が確認されているほか,精密テフラ層序が確立されている(髙清水ほか,2007;髙清水ほか,2013).加えて,トレンチ調査も行われ,津波堆積物層の水平方向の局所的な変化も明らかになっている.このトレンチの脇に測線を設定し,300MHzと800MHzの高周波アンテナを用いたGPR探査を行った.GPRデータの深度補正には,トレンチ壁面に差し込んだ金属製の杭の絶対深度を用いた.合わせてピートサンプラーによる掘削調査と採取したサンプルの篩による粒度分析を行い,GPRから得られた画像の各反射面と地層境界面の対応関係をとらえることを試みた.そして,得られた対応関係を元にGPR から得られる画像の解釈を行い,トレンチ周辺のより長い測線において,津波堆積物下面をはじめとした各地層境界面の追跡を行った.

トレンチ脇に設定した測線でのGPR探査と掘削結果の比較では,津波堆積物下面にあたる部分に,GPRの出力結果における弱い反射領域の上端が対応していた.七山ほか(2007)では,泥炭層は空隙が多く含水率は大きいが,比較的均質であることから反射面を生じる要因は存在しないとしており,津波堆積物砂層と泥炭層境界と解釈することができる.この解釈に基づき,トレンチ周辺のより長い測線において津波堆積物層下面(またはこれに準ずるテフラ層下面)と泥炭層の境界の追跡を行った.多くの測線において,津波堆積物下面に対応していると考えられる反射面の追跡ができた一方で,リンギングやGPRの分解能に起因する解釈の不確実性が見られた.また,トレンチ脇に設定した測線におけるGPR探査では,トレンチ内の水の有無によって生じたと考えられる出力結果の差異が確認され,周辺環境がGPR を用いた調査に影響を与えることが示唆された.