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[MIS11-P04] 津波侵入による短時間でのアンティデューン斜交層理の形成についての実験的研究
キーワード:アンティデューン斜交層理、津波堆積物、水路実験
津波堆積物は過去の津波の規模などを推定する鍵となるため,その分布や粒度,堆積構造が研究されている.特に2011年東北沖津波によって仙台平野に堆積した堆積物について,さまざまな研究が行われている(例えば,Goto et al., 2021).井村ほか(2024)では,宮城県岩沼市において2013年に行われた大規模なトレンチ調査で得られた津波堆積物の剥ぎ取り標本について考察している.掘削地点は海岸線から約1.2km陸側に入った場所で,最も海側に位置する第三浜堤列の陸側である(岩沼市教育委員会,2017).この津波堆積物は厚さ20cmほどで,上部に浅い皿状のラミナが切り合う構造が見られる.井村ほか(2024)では,水路実験で平衡状態のアンティデューンを形成・累重させ,類似した構造が形成されることを示した.また,断層モデルによる津波のシミュレーションから,この場所に侵入した津波がアンティデューン形成領域の条件の範囲にあるのは,津波来襲後1-2分であることも示した.そこで本研究では,津波の侵入時のごく短時間にアンティデューンを形成し斜交層理を残しうるかどうかを検証する実験を行った.
実験には,大阪工業大学情報科学部の小型循環水路(長さ4m・高さ40cm・幅8cm)を使用した.岩沼市の掘削地点の地形を考慮し,かつ,津波来襲時のように大量の水と土砂が急速に運ばれてくる状態を再現するため,水路の上流部に砂山(縦25cm・横120cm)を配置し,さらに上流側に下部水槽からポンプで直接水を供給した.実験は水路勾配を変えた5条件,実験1:1.8°,実験2:3.0°,実験3:1.5°,実験4:1.0°,実験5:1.2°で実施した. 砂山を超えた流れは砂山の下流側斜面を侵食しながら射流状態で流れ下り,下流端の堰(約3cm)をきっかけとして,5条件のうち3条件(実験1,4,5)で,水路下流部にアンティデューンが形成され堆積構造が残った.この間約1分ほどである.実験1ではアンティデューン形成に伴って砕波も観察された.堆積構造は,3つの条件全てで浅い皿状のラミナが切り合う構造と上流側にゆるく傾くラミナが観察された.浅い皿状のラミナが切り合う構造は,砕波が起こった実験1で最も多く見られた.
このように,浮遊砂を多く含む非定常の高領域流れでアンティデューン斜交層理が短時間で形成・保存されることが示された.
引用文献
Goto, K., Ishizawa T., Ebina Y., Imamura F., Sato S., Udo K., 2021, Ten years after the 2011 Tohoku-oki earthquake and tsunami: Geological and environmental effects and implications for disaster policy changes. Earth Science Reviews, https://doi.org/10.1016/j.earscirev.2020.103417
井村春生・後藤和久・横川美和・川又隆央,2024, 津波堆積物中のアンティデューン構造.日本堆積学会2024年熊本大会講演要旨P3,pp.71-72.
岩沼市教育委員会,2017, 東日本大震災復興関連埋蔵文化財調査報告書V.宮城県岩沼市文化財調査報告書第18集.
実験には,大阪工業大学情報科学部の小型循環水路(長さ4m・高さ40cm・幅8cm)を使用した.岩沼市の掘削地点の地形を考慮し,かつ,津波来襲時のように大量の水と土砂が急速に運ばれてくる状態を再現するため,水路の上流部に砂山(縦25cm・横120cm)を配置し,さらに上流側に下部水槽からポンプで直接水を供給した.実験は水路勾配を変えた5条件,実験1:1.8°,実験2:3.0°,実験3:1.5°,実験4:1.0°,実験5:1.2°で実施した. 砂山を超えた流れは砂山の下流側斜面を侵食しながら射流状態で流れ下り,下流端の堰(約3cm)をきっかけとして,5条件のうち3条件(実験1,4,5)で,水路下流部にアンティデューンが形成され堆積構造が残った.この間約1分ほどである.実験1ではアンティデューン形成に伴って砕波も観察された.堆積構造は,3つの条件全てで浅い皿状のラミナが切り合う構造と上流側にゆるく傾くラミナが観察された.浅い皿状のラミナが切り合う構造は,砕波が起こった実験1で最も多く見られた.
このように,浮遊砂を多く含む非定常の高領域流れでアンティデューン斜交層理が短時間で形成・保存されることが示された.
引用文献
Goto, K., Ishizawa T., Ebina Y., Imamura F., Sato S., Udo K., 2021, Ten years after the 2011 Tohoku-oki earthquake and tsunami: Geological and environmental effects and implications for disaster policy changes. Earth Science Reviews, https://doi.org/10.1016/j.earscirev.2020.103417
井村春生・後藤和久・横川美和・川又隆央,2024, 津波堆積物中のアンティデューン構造.日本堆積学会2024年熊本大会講演要旨P3,pp.71-72.
岩沼市教育委員会,2017, 東日本大震災復興関連埋蔵文化財調査報告書V.宮城県岩沼市文化財調査報告書第18集.