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[MIS11-P06] 津波堆積物と高潮堆積物における微生物群集のDNA解析
キーワード:津波堆積物、高潮堆積物、DNA解析、微生物群集
津波堆積物の分布や年代から過去の津波の浸水規模や頻度などが推定できることから,将来の津波リスクを評価するためには,地層中の津波堆積物の識別手法の確立が必要である.識別は地質学的技術,古生物分析,地化学分析などを組み合わせたマルチプロキシ法が主流となっているが,これらのプロキシは地層中に残らないこともあるため、識別精度を向上させるためには津波堆積物を識別するさらなる先進的手法の構築が必要である.近年,新たな識別プロキシのひとつとして堆積物に含まれる生物のDNAを指標とした解析が注目されており,DNA解析により2004年インド洋津波堆積物や高潮堆積物が浸水影響の無い土壌と識別ができたとの報告がある(Yap et al., 2021).しかし報告例はまだ少なく,様々な環境中で適用可能かどうかは不明である.本発表では,微生物群集のDNA解析を用いて,国内4か所で採取した現代および過去の津波・高潮堆積物が浸水影響の無い土壌や堆積物と識別可能かどうかを評価した結果を報告する.
用いた試料は,津波堆積物2試料(2011年東北沖津波堆積物,約400年前の津波堆積物),高潮堆積物2試料(堆積後3か月~数十年の高潮堆積物,数千年前の高潮により形成されたとされる堆積物)で,すべて国内の異なる地点で採取した.加えて,対照として各地点において浸水域外土壌,海岸砂,イベント層の上下層から試料を採取した.DNeasy PowerSoil Pro kit を用いて各試料より DNA を抽出し,微生物由来の16S rRNA gene をターゲットとして次世代シーケンス解析を行った.得られたシーケンスをもとに最近縁種を推定し,試料中に含まれる微生物の種類と存在比率を整理するとともに,試料間の微生物群集の類似性を統計処理により評価した.
その結果,2011年東北沖津波堆積物は浸水域外土壌や海岸砂と異なる微生物群集を示した.また別地点の約400年前の津波堆積物についても,表層土壌や津波堆積物の上下の層とは異なる微生物群集を示した.高潮堆積物については解析の結果,数千年前の高潮堆積物とされているイベント堆積物においては,イベント層とその直上下層の微生物群集がその他の層とは異なっていた.一方,別地点の堆積後3か月の高潮堆積物については海岸砂や下層の土壌とは異なるが,堆積後半年では微生物群集が変化して下層の土壌と類似のものになっていた.これは採取箇所近傍の河川や地下水等の影響である可能性がある.
以上の結果より,現代だけでなく約400年前の津波堆積物に微生物群集を指標としたDNA解析が識別指標として使用できる可能性が示された.また,高潮堆積物についても微生物群集を指標としたDNA解析を適用できる可能性が示唆された.ただし,堆積後の時間経過により微生物群集の変化がみられるケースもあることから,採取箇所の環境条件や変化の評価も含め,さらに今後事例を増やしてより精度を高める必要がある.
用いた試料は,津波堆積物2試料(2011年東北沖津波堆積物,約400年前の津波堆積物),高潮堆積物2試料(堆積後3か月~数十年の高潮堆積物,数千年前の高潮により形成されたとされる堆積物)で,すべて国内の異なる地点で採取した.加えて,対照として各地点において浸水域外土壌,海岸砂,イベント層の上下層から試料を採取した.DNeasy PowerSoil Pro kit を用いて各試料より DNA を抽出し,微生物由来の16S rRNA gene をターゲットとして次世代シーケンス解析を行った.得られたシーケンスをもとに最近縁種を推定し,試料中に含まれる微生物の種類と存在比率を整理するとともに,試料間の微生物群集の類似性を統計処理により評価した.
その結果,2011年東北沖津波堆積物は浸水域外土壌や海岸砂と異なる微生物群集を示した.また別地点の約400年前の津波堆積物についても,表層土壌や津波堆積物の上下の層とは異なる微生物群集を示した.高潮堆積物については解析の結果,数千年前の高潮堆積物とされているイベント堆積物においては,イベント層とその直上下層の微生物群集がその他の層とは異なっていた.一方,別地点の堆積後3か月の高潮堆積物については海岸砂や下層の土壌とは異なるが,堆積後半年では微生物群集が変化して下層の土壌と類似のものになっていた.これは採取箇所近傍の河川や地下水等の影響である可能性がある.
以上の結果より,現代だけでなく約400年前の津波堆積物に微生物群集を指標としたDNA解析が識別指標として使用できる可能性が示された.また,高潮堆積物についても微生物群集を指標としたDNA解析を適用できる可能性が示唆された.ただし,堆積後の時間経過により微生物群集の変化がみられるケースもあることから,採取箇所の環境条件や変化の評価も含め,さらに今後事例を増やしてより精度を高める必要がある.