17:15 〜 19:15
[MIS11-P07] 若狭湾沿岸における完新世海水流入イベント堆積物

キーワード:津波堆積物、ITRAX、若狭湾、福井県、新潟–神戸ひずみ集中帯、日本海
本研究の調査地である若狭湾はひずみ速度が周辺地域に比べて高く,津波を引き起こし得る海底活断層が多い.若狭湾沿岸地域での津波浸水履歴を明らかにすることを目的として,福井県敦賀市の沿岸の湿地でハンドコアラーによる掘削調査を実施した.調査地では4本のコア試料を採取した.すべてのコアで2つのイベント層(A層,B層)と1つの植物片密集層が見つかった.堆積物コアに対して肉眼とX線CT画像撮影による堆積相の観察,XRFコアスキャナーITRAXによる化学分析を行い,各層の成因を考察した.また,放射性炭素年代測定によって各イベント層の堆積年代を求めた.
2つのイベント層のうち上位のA層は層厚が5–10 cmで,主に細粒砂からなり,下位の泥層との境界が明瞭で,平行葉理が見られた.化学分析の結果,A層の層準では石英砂の存在を示すSiが検出され,さらに海水由来の指標であるS,S/Rb,Sr/Rb,Ca,Ca/Rb,K,(Ca-Fe)/Caの値が上位下位の泥層に比べて高かった.一方,陸源性砕屑物の指標とされるTi/Caの値が上位下位の泥層に比べて小さかった.したがって,A層は津波や高潮などの海水流入イベントにより形成された可能性が高いと解釈した.A層の堆積年代は5500–6150 cal yr BPであった.
2つのイベント層のうち下位のB層は粗粒砂と細礫からなり,葉理が不明瞭であった.B層の層準ではSrが上位の有機質泥層よりも相対的にやや多く検出されたが,Sr以外の海水由来を示す指標については多く検出されることはなかった.そのため,B層の堆積と海水流入の明確な関係を見出すことはできなかった.B層の堆積年代は5750–5900 cal yr BPであった.
植物片密集層の層厚は10–20 cmであった.肉眼ならびにCT画像による観察ではこの植物片密集層中に砂や礫は確認されなかったものの,上位下位の層と比較して海水由来の指標であるS/Rb,Sr/Rb,Ca,Ca/Rbが相対的に多く検出され,陸源性砕屑物の指標とされるTi/Caが相対的に少なかった.したがって,この植物片密集層も津波や高潮などの海水流入イベントによってできた可能性がある.
海水流入イベントが津波か高潮など他の現象かは現時点では不明である.本研究で見つかったイベント層Aの年代は関西電力ら(2012)が同じ若狭湾沿岸の福井県敦賀市猪ヶ池から報告した津波堆積物の年代(5320–5600 cal yr BP)と部分的に重複しており,同一のイベントによって形成された可能性もある.
2つのイベント層のうち上位のA層は層厚が5–10 cmで,主に細粒砂からなり,下位の泥層との境界が明瞭で,平行葉理が見られた.化学分析の結果,A層の層準では石英砂の存在を示すSiが検出され,さらに海水由来の指標であるS,S/Rb,Sr/Rb,Ca,Ca/Rb,K,(Ca-Fe)/Caの値が上位下位の泥層に比べて高かった.一方,陸源性砕屑物の指標とされるTi/Caの値が上位下位の泥層に比べて小さかった.したがって,A層は津波や高潮などの海水流入イベントにより形成された可能性が高いと解釈した.A層の堆積年代は5500–6150 cal yr BPであった.
2つのイベント層のうち下位のB層は粗粒砂と細礫からなり,葉理が不明瞭であった.B層の層準ではSrが上位の有機質泥層よりも相対的にやや多く検出されたが,Sr以外の海水由来を示す指標については多く検出されることはなかった.そのため,B層の堆積と海水流入の明確な関係を見出すことはできなかった.B層の堆積年代は5750–5900 cal yr BPであった.
植物片密集層の層厚は10–20 cmであった.肉眼ならびにCT画像による観察ではこの植物片密集層中に砂や礫は確認されなかったものの,上位下位の層と比較して海水由来の指標であるS/Rb,Sr/Rb,Ca,Ca/Rbが相対的に多く検出され,陸源性砕屑物の指標とされるTi/Caが相対的に少なかった.したがって,この植物片密集層も津波や高潮などの海水流入イベントによってできた可能性がある.
海水流入イベントが津波か高潮など他の現象かは現時点では不明である.本研究で見つかったイベント層Aの年代は関西電力ら(2012)が同じ若狭湾沿岸の福井県敦賀市猪ヶ池から報告した津波堆積物の年代(5320–5600 cal yr BP)と部分的に重複しており,同一のイベントによって形成された可能性もある.