日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS12] 山の科学

2025年5月29日(木) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:佐々木 明彦(国士舘大学文学部史学地理学科 地理・環境コース)、西村 基志(信州大学 先鋭領域融合研究群 山岳科学研究拠点)、今野 明咲香(常葉大学)

17:15 〜 19:15

[MIS12-P03] 衛星リモートセンシングを用いた四国山岳地における草原の空間・高度分布の推定と変遷

*小山 拓志1 (1.国士舘大学文学部)

キーワード:草原、空間分布、垂直分布、衛星データ、リモートセンシング、四国

1.はじめに
 森林限界の景観形成史については,これまで気温や風,積雪といった自然環境(現象)でのみ説明され,その対象は日本アルプスや奥羽山脈を主とした高山地域や高緯度地域が主体であった。 一方で,九州や四国の山岳地は地理的に低緯度であり,かつ標高2000mを超える山岳が存在しないため,従来の森林限界の研究ではいずれの地域にも気温環境に規定された森林限界は存在しないとされている。ところが,九州・四国を含む西南日本の一部山岳地には,森林限界に酷似した景観が認められ,それ以高の範囲に草原が広がっていることが多い。本研究では,このような特異な植生景観の動態と変遷史を解明するための端緒として,四国山地における草原の分布特性およびその変遷を,衛星リモートセンシングと地理情報システム(GIS)によって推定した。

2.草原の分布特性
西部:大川嶺および笠取山周辺の草原は,南から東向き斜面を中心として1500m前後から1400m前後にかけて分布していた。また,笠取山の東に位置するウバホド山(1481m)南向き斜面に分布する草原の下限高度は,1300m前後であった。源氏ヶ駄場から天狗高原に延びる稜線沿いの草原においても,その上限高度は概ね稜線の高度と一致している。一方,下限高度は五段城付近までが1200m前後であるのに対し,五段城から天狗高原までは1370~1400mとやや高かった。また,中津明神山周辺の草原は,山頂および稜線を上限高度とし,東から南東斜面および西向き斜面に分布していた。その下限高度は,山頂直下の南東斜面のみ1400m前後だが,稜線から広がる草原の下限高度は1300m前後とやや低下する。
中央部:堂ヶ森周辺の草原は南~南西向き斜面に分布しており,山頂を上限高度(1689m)として,その下限は1450m前後に位置する。二ノ森周辺における草原の上限高度も概ね山頂高度(1929m)と一致し,下限高度は1700m程度であった。また,岩黒山から東に延びる稜線上の伊吹山および子持権現山の草原は,上限高度がそれぞれの山頂高度で,下限高度は伊吹山で1470m程度,子持権現山で1600m程度であった。一方で,子持権現山の北に位置する瓶ヶ森周辺の草原は西向き斜面に分布しており,上限高度が山頂高度(1896m),下限高度が1650m前後であった。瓶ヶ森から寒風山までの稜線は1600m~1750m程度で,南向き斜面に分布する草原の上限高度も稜線高度と一致する。
東部:天狗峠から三嶺に至る稜線沿いの草原は,概ね山頂を上限高度として, 下限は1600前後に位置する。標高が1900m以上ある剣山は,下限高度は変わらないものの,山頂付近に草原の上限高度が位置する。
 衛星リモートセンシングによる草原分布の変遷については,当日のポスターで示す。