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[MIS12-P08] 涸沢における58年間(1967-2024年)の多年性雪渓の面積変化と気象要因の関係
キーワード:定点撮影カメラ、空中写真、積算温度、積雪深、気候変動
2023年に続いて2024年も世界平均気温の最高値を更新し、世界各地で豪雨災害が頻発するなど,近年,気候変動の影響が顕著になりつつある.気候変動は高緯度地方や高標高地域においてより大きな影響が予測され,高山生態系は気候変動に対して最も脆弱な系の一つと認識されている(IPCC, 2007).日本の高山生態系は世界有数の多雪環境に成立しており,雪は人間や動植物の活動に必須の水資源を提供すると同時に観光資源としても重要な役割を果たしている.とくに北アルプス南部の涸沢では多年性雪渓と美しい紅葉が多くの登山者を魅了している.しかし、近年融雪が早まり雪渓が秋には消失する現象が多く見られる。涸沢における雪渓の面積変化は、1967年から1984年まで調査された(櫛田ら、1976年;神田、2015年)。近年では、涸沢を含む上高地地域の積雪状況は航空レーザー測量による高精度の積雪深分布調査が複数回行われた(鈴木ら、2012, 2013;佐々木ら、2015).しかし,連続観測が困難なため雪渓分布の時間的・空間的な変動には不明な点が多い.そこで本研究では,1967-2024年の58年間の多年性雪渓の面積変化を明らかにするため、定点カメラによる高頻度の画像や空中写真、衛星画像、過去の現地調査や文献などの解析を行った.さらに雪渓の変化と気象要因との関係を調査した.
涸沢は,北アルプス南部の北穂高岳,奥穂高岳と前穂高岳など3000m級の稜線に囲まれた直径約2kmの日本最大級のカール地形である.標高2350mにある涸沢小屋に監視カメラが設置されており(小熊ら、2019)、2007年から得られた高頻度の定点カメラ画像を用いた. また、涸沢上空で1967年以降の秋に撮影された林野庁や国土地理院による空中写真を収集した. 人工衛星画像に加え、過去に現地調査で得られた測量図(櫛田ら、1976年;神田、2015年)も用いた。これらの画像を正射投影に変換し、目視により積雪部分を検出しその面積を計測した.
その結果、多年性雪渓の面積は年々変動が大きいものの、1960年代後半から1990年ごろまで104-105㎡の雪渓が越年した。1990年代から2000年代前半頃にかけてはやや減少し、越年しない年も数年あった。その後、2006-2015年には雪渓面積が再び増加したが、2016年以降は2017年を除き、多年性雪渓が大幅に減少し、多くの年で越年しないかまたはごくわずかに越年しただけであった。
2013-2023年の定点カメラ画像の解析から日々の雪渓面積の変化を算出し、西穂高岳における信州山の環境研究センターによる気象観測データとの関係を調べた。雪渓面積の変化は融雪期の0度以上の積算気温(Degree Day)と強い相関を示し、その回帰直線の傾き(Degree Day factor)は年最深積雪と相関が認められた。近隣のAMeDASデータから推定したこの58年間の融雪期(4-9月)の積算気温には顕著な上昇傾向が認められる。今後、さらに気象庁気象研究所による1980-2023年の1kmダウンスケーリング気象モデル計算値を用いて、雪渓の変化と気象要因との関係について解析を進める。
涸沢は,北アルプス南部の北穂高岳,奥穂高岳と前穂高岳など3000m級の稜線に囲まれた直径約2kmの日本最大級のカール地形である.標高2350mにある涸沢小屋に監視カメラが設置されており(小熊ら、2019)、2007年から得られた高頻度の定点カメラ画像を用いた. また、涸沢上空で1967年以降の秋に撮影された林野庁や国土地理院による空中写真を収集した. 人工衛星画像に加え、過去に現地調査で得られた測量図(櫛田ら、1976年;神田、2015年)も用いた。これらの画像を正射投影に変換し、目視により積雪部分を検出しその面積を計測した.
その結果、多年性雪渓の面積は年々変動が大きいものの、1960年代後半から1990年ごろまで104-105㎡の雪渓が越年した。1990年代から2000年代前半頃にかけてはやや減少し、越年しない年も数年あった。その後、2006-2015年には雪渓面積が再び増加したが、2016年以降は2017年を除き、多年性雪渓が大幅に減少し、多くの年で越年しないかまたはごくわずかに越年しただけであった。
2013-2023年の定点カメラ画像の解析から日々の雪渓面積の変化を算出し、西穂高岳における信州山の環境研究センターによる気象観測データとの関係を調べた。雪渓面積の変化は融雪期の0度以上の積算気温(Degree Day)と強い相関を示し、その回帰直線の傾き(Degree Day factor)は年最深積雪と相関が認められた。近隣のAMeDASデータから推定したこの58年間の融雪期(4-9月)の積算気温には顕著な上昇傾向が認められる。今後、さらに気象庁気象研究所による1980-2023年の1kmダウンスケーリング気象モデル計算値を用いて、雪渓の変化と気象要因との関係について解析を進める。