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[MIS12-P13] 北アルプス上高地大正池右岸における気象観測に基づく環境変動の実態把握
キーワード:山岳域、積雪
雪氷圏では全球的な気温上昇の影響が顕著に表れている。特に比較的温暖な中緯度の温帯に位置する日本の山岳域は、積雪量や積雪期間といった積雪環境は年々変動が大きいと考えられる地域の一つである。そのため、このような地域における気象雪氷観測は、雪氷圏の環境変化から気候変動の影響評価を行う有効な手法であり、継続した環境モニタリングが今、必要とされている。そこで本発表では、日本の山岳域の亜高山帯に位置する上高地地域の谷底において2014年から実施されている気象観測データを用いて、積雪環境の実態、および、局地気候を支配する重要な要素である表面熱収支について報告する。
北アルプス上高地地域の標高1490 m地点に自動気象観測機器を設置し、気温、相対湿度、風向、風速、気圧、上向き・下向き短波放射、上向き・下向き長波放射、積雪深を観測した。本研究では9月を年の開始月として定義し、2015年9月からの2023年5月までの1時間データを解析に使用した。
全体のデータ数に対して欠測が20%未満であった2015/16年シーズン以降の1−4月の正の積算気温(PDD [K day])を算出したところ、平均PDDは163.3(±77.0;1σ)であった。統計的に有意(1σの範囲を超えた)に大きかったのは2016、 2022、 2023年であり、小さかったのは2017、 2019、 2020年であった。積雪日数も同様に算出したところ、平均162.6(±21.1)日であった。統計的に有意に長かったのは2018/19年冬季であり、207日であった。一方、少なかったのは2022/23年冬季であり、140日であった。PDDが高かった2022/23年冬季には積雪期間が短く、PDDが低かった2018/19年冬季には積雪期間が長かった結果が得られ、PDDと積雪期間の相関から、これらは負の相関がある可能性も示唆された。
このように気温が比較的高い温帯雪氷圏においては、わずかな気温の変化によって積雪環境が著しく変化する可能性がある。今後はより詳細に気温や表面熱収支、融雪量の関係について解析をすることで、温帯雪氷圏の環境変動の実態把握を行うことが重要である。
北アルプス上高地地域の標高1490 m地点に自動気象観測機器を設置し、気温、相対湿度、風向、風速、気圧、上向き・下向き短波放射、上向き・下向き長波放射、積雪深を観測した。本研究では9月を年の開始月として定義し、2015年9月からの2023年5月までの1時間データを解析に使用した。
全体のデータ数に対して欠測が20%未満であった2015/16年シーズン以降の1−4月の正の積算気温(PDD [K day])を算出したところ、平均PDDは163.3(±77.0;1σ)であった。統計的に有意(1σの範囲を超えた)に大きかったのは2016、 2022、 2023年であり、小さかったのは2017、 2019、 2020年であった。積雪日数も同様に算出したところ、平均162.6(±21.1)日であった。統計的に有意に長かったのは2018/19年冬季であり、207日であった。一方、少なかったのは2022/23年冬季であり、140日であった。PDDが高かった2022/23年冬季には積雪期間が短く、PDDが低かった2018/19年冬季には積雪期間が長かった結果が得られ、PDDと積雪期間の相関から、これらは負の相関がある可能性も示唆された。
このように気温が比較的高い温帯雪氷圏においては、わずかな気温の変化によって積雪環境が著しく変化する可能性がある。今後はより詳細に気温や表面熱収支、融雪量の関係について解析をすることで、温帯雪氷圏の環境変動の実態把握を行うことが重要である。