09:45 〜 10:00
[MIS13-03] 酸性鉱山廃水を利用したCO2鉱物化:多成分溶液からの結晶成長
キーワード:CO2鉱物化、二酸化炭素除去、岩石風化促進、鉱山廃水、方解石
地球温暖化対策として、岩石風化の人為的な促進により、CO2ガスを炭酸塩鉱物として結晶化させるCO2鉱物化が検討されている。特に酸性鉱山廃水への岩石投与は廃水の浄化・中和が見込めることから、社会実装を目指した実証試験が進行中である。浄化された廃水は河川と合流して希釈されながら海洋に放出される。 我々は結晶成長学の知見を活かし、これらの過程でcalciteを意図的に結晶化させることができないか検討している。
鉱山廃水の組成を変える主な要因は以下の4つである:(1) 岩石投与、(2) calcite以外の結晶生成、(3) 大気CO2の溶液への溶解、(4) 河川水・海水との合流。本研究ではこれらの組み合わせによってcalciteが過飽和となる条件を化学平衡計算から見積った。ただし、どのぐらいの過飽和度で核形成するかの予測は難しいため、様々な溶液条件での核形成実験を行った。また、不純物を含んだ天然岩石を投与するため意図しない二次鉱物の生成も予測されるため、天然岩石の溶解実験を行った。
本研究では北海道南西部の精進川鉱山をモデルケースとした。精進川鉱山からは硫酸を主としたpH2-3程度の廃水[1]が流出している一方で、海水はpH約8.1であり非常に幅広いpHの溶液を扱う必要がある。calciteの結晶化に関わる陰イオン(溶存無機炭素DIC:CO32-、HCO3-、H2CO3*)はpHによって量比が大きく変化し、溶解度も5桁以上変化してしまう。さらに不純物の多い天然溶液を扱うということで、溶液の化学平衡計算は地球化学コードPHREEQC[2]を用いた。
採取した精進川鉱山廃水に玄武岩粉末を投与する実験を行ったところ、gypsum(CaSO4・2H2O)が容易に生成してしまうことがわかった。廃水に硫酸イオンが多いことに加え、pH6以下ではcalciteよりgypsumの方が溶解度が低い。そのため、玄武岩溶解によるCaイオン増加によりgypsumが過飽和となってしまう。これを避けるには、gypsumが過飽和とならない程度にCaイオンを増加させるか、pHを6以上にしてからCaイオンを増加させるような工夫が必要となる。岩石投与による濃度・pH変化は、投与岩石の種類だけではなく、岩石の溶解速度、岩石粒径、廃水の流速によっても変わるため検討中である。また、発表では様々なpHを持った溶液からのcalcite核形成実験のデータや先行研究[3]を紹介し、界面張力の溶解度依存性の理論[4]と比較して議論する。
[1] 野呂田他 (2023), Journal of MMIJ 139 (4-8) 21.
[2] https://www.usgs.gov/software/phreeqc-version-3
[3] Bergwerff et al. (2021), Crystals 11, 1318.など
[4] Kashchiev et al. (2003) Cryst. Res. Technol. 38 (7–8) 555.など
鉱山廃水の組成を変える主な要因は以下の4つである:(1) 岩石投与、(2) calcite以外の結晶生成、(3) 大気CO2の溶液への溶解、(4) 河川水・海水との合流。本研究ではこれらの組み合わせによってcalciteが過飽和となる条件を化学平衡計算から見積った。ただし、どのぐらいの過飽和度で核形成するかの予測は難しいため、様々な溶液条件での核形成実験を行った。また、不純物を含んだ天然岩石を投与するため意図しない二次鉱物の生成も予測されるため、天然岩石の溶解実験を行った。
本研究では北海道南西部の精進川鉱山をモデルケースとした。精進川鉱山からは硫酸を主としたpH2-3程度の廃水[1]が流出している一方で、海水はpH約8.1であり非常に幅広いpHの溶液を扱う必要がある。calciteの結晶化に関わる陰イオン(溶存無機炭素DIC:CO32-、HCO3-、H2CO3*)はpHによって量比が大きく変化し、溶解度も5桁以上変化してしまう。さらに不純物の多い天然溶液を扱うということで、溶液の化学平衡計算は地球化学コードPHREEQC[2]を用いた。
採取した精進川鉱山廃水に玄武岩粉末を投与する実験を行ったところ、gypsum(CaSO4・2H2O)が容易に生成してしまうことがわかった。廃水に硫酸イオンが多いことに加え、pH6以下ではcalciteよりgypsumの方が溶解度が低い。そのため、玄武岩溶解によるCaイオン増加によりgypsumが過飽和となってしまう。これを避けるには、gypsumが過飽和とならない程度にCaイオンを増加させるか、pHを6以上にしてからCaイオンを増加させるような工夫が必要となる。岩石投与による濃度・pH変化は、投与岩石の種類だけではなく、岩石の溶解速度、岩石粒径、廃水の流速によっても変わるため検討中である。また、発表では様々なpHを持った溶液からのcalcite核形成実験のデータや先行研究[3]を紹介し、界面張力の溶解度依存性の理論[4]と比較して議論する。
[1] 野呂田他 (2023), Journal of MMIJ 139 (4-8) 21.
[2] https://www.usgs.gov/software/phreeqc-version-3
[3] Bergwerff et al. (2021), Crystals 11, 1318.など
[4] Kashchiev et al. (2003) Cryst. Res. Technol. 38 (7–8) 555.など