日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS13] 結晶成⻑、溶解における界⾯・ナノ現象

2025年5月25日(日) 09:00 〜 10:30 201B (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:木村 勇気(北海道大学低温科学研究所)、三浦 均(名古屋市立大学大学院理学研究科)、佐藤 久夫(日本原燃株式会社埋設事業部)、座長:川野 潤(北海道大学大学院 理学研究院)、三浦 均(名古屋市立大学大学院理学研究科)

10:00 〜 10:15

[MIS13-04] 炭酸ガス化合法によるアラゴナイトの合成とアスペクト比の制御

*佐久間 博1、末原 茂1、加門 真純1、田村 堅志1 (1.物質・材料研究機構)

キーワード:炭酸カルシウム、アラゴナイト、二酸化炭素、アスペクト比

最近の環境問題に関連してCO2ガスを有効活用した材料開発が求められている。また石油起源のプラスチックからバイオベースのプラスチックへの転換も期待されている。しかしながら、バイオベースのプラスチックは力学強度が弱く、そのままで現状のプラスチックを代替することが難しい。このような状況から我々はCO2ガスによるバイオプラスチック強化材の開発を目指した研究を行うこととした。Halpin-Tsaiモデルによれば複合材料の力学強度は強化材の形状(アスペクト比)と弾性率に依存する。そこで本研究では炭酸塩鉱物の中でアスペクト比の高い形状を取りうるアラゴナイト(CaCO3)の合成に着目する。
CO2ガス化合法によるアラゴナイト合成に関する先行研究は1967年から現在まで多数報告されている(Sakuma et al., 2025)。これらの先行研究の多くから、アラゴナイトの合成にはMg塩やアミン等の添加物の存在や高温が望ましいことがわかる。またCa源としては安価なCa(OH)2を用いることが望ましい。アスペクト比(長径/短径)については最大80の値が報告されているが(Ota et al., 1995)、アスペクト比の精密な制御法についてはよくわかっていない。
 そこで本研究では純度の高いアラゴナイトの合成とアスペクト比の制御について検討を行った。炭酸カルシウムはCa(OH)2とMg塩の混合水溶液を加熱し、CO2ガスを吹き込むことで合成し、析出した結晶の時間変化をX線回折(XRD)、ラマン分光により解析した。また反応の進行度をpHの変化から読み取った。得られた結晶の成長方向は電子線後方散乱回折(EBSD)により計測した。
 結果として、CO2ガス注入後、遅くとも2時間以内には長径10 μm以上のアラゴナイトが析出し、条件によってはアスペクト比の制御が可能であることがわかった。発表では、アラゴナイトの生成条件、アスペクト比の制御方法やそのメカニズムについて議論する。

参考文献
Sakuma, H., S. Suehara, H. Nakao, J.-D. Kim, K. Tamura (2025) Synthesis of needle-like aragonite using carbonation method: A review, J. Mineral. Petrol. Sci., 120, in press.
Ota, Y., S. Inui, T. Iwashita, T. Kasuga, Y. Abe (1995) Preparation of aragonite whiskers, J. Am. Ceram. Soc., 78, 1983-1984.