日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS13] 結晶成⻑、溶解における界⾯・ナノ現象

2025年5月25日(日) 09:00 〜 10:30 201B (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:木村 勇気(北海道大学低温科学研究所)、三浦 均(名古屋市立大学大学院理学研究科)、佐藤 久夫(日本原燃株式会社埋設事業部)、座長:川野 潤(北海道大学大学院 理学研究院)、三浦 均(名古屋市立大学大学院理学研究科)

10:15 〜 10:30

[MIS13-05] 潜熱蓄熱材料エリスリトールの結晶成長プロセスのその場観察

南 凌太1、*小畠 秀和1 (1.同志社大学)

キーワード:蓄熱材料、エリスリトール、その場観察

100 ℃近傍の熱を貯蔵できる潜熱型蓄熱材料として、エリスリトールが検討されている。エリスリトールは潜熱が大きい、安定、毒性がない、安価で豊富など中低温熱エネルギー貯蔵の材料として多くの利点を持つが、実用化には大きい過冷却を制御する必要がある。そこで本研究では、過冷却に応じて核形成速度および結晶成長速度がどのように変化するか実験的に調べた。
 エリスリトールを、直径 15 mm、深さ 0.6 mm の円形の空洞がある穴付きスライドガラス上に置き、エリスリトールを融点以上に加熱して完全に溶融させた。完全に溶融したエリスリトールを、一定の過冷却に調整した別のヒーターに移した。一定の過冷却温度に達した後、エリスリトールと同じ温度に保たれた Ag ワイヤーを挿入して不均一核生成を誘発した。実体顕微鏡を使用して、結晶性エリスリトールの成長プロセスをその場で観察した。
  エリスリトールは∆T< 20 Kでは(100)面を維持したファセット成長を示すが、30<∆T< 40 Kでは(100)面に不安定性が生じ、<110>方向に優先的に成長するデンドライト成長に変化した。さらに∆T>50 Kではデンドライトの間隔が狭まるとともに、(100)面の優位性が消失し球晶となることが分かった。エリスリトールの<110>方向および(100)面の成長速度を測定すると、過冷却度が大きくなるに従い結晶成長速度は大きくなり、∆T=60 Kで極大値をとり、その後緩やかに小さくなる傾向が見られた。
 成長したデンドライトの先端の曲率から求められた臨界核半径は、過冷却度が大きくなるとともに16~5 μmと小さくなるが、∆T=60 K以上では変化が見られなかった。このことは、過冷却度が60 Kより大きくなっても界面近傍での結晶成長の駆動力である過冷却度が変化していないことを示唆している。これは、エリスリトールは潜熱が大きいため、結晶界面に放出された熱が蓄積され、界面近傍での過冷却度が一定となったためである考えられる。大きな過冷却度を与えても放出される潜熱により界面近傍の過冷却度が大きくならない可能性が示唆される。