日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS13] 結晶成⻑、溶解における界⾯・ナノ現象

2025年5月25日(日) 10:45 〜 12:15 201B (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:木村 勇気(北海道大学低温科学研究所)、三浦 均(名古屋市立大学大学院理学研究科)、佐藤 久夫(日本原燃株式会社埋設事業部)、座長:新家 寛正(東北大学多元物質科学研究所)、木村 勇気(北海道大学低温科学研究所)

11:30 〜 11:45

[MIS13-08] 氷XVIIから純氷Icが形成される分子機構

*望月 建爾1 (1.浙江大学)

キーワード:氷、表面融解、固固相転移

約400年前、Scheinerは古代ローマの空に太陽周りの28度のhaloを観測した。それ以来、大気中の立方晶氷(氷Ic)の存在は示唆されてきた。しかし、純粋な氷Icを人類が手にしたのはわずか5年前のことである。液体水から準安定相である氷Icを合成する難しさは、安定相である六方晶氷(氷Ih)やIhとIcが混合した積層無秩序氷(氷Isd)の競合的形成にある。2020年、氷XVIIやC2型水素ハイドレートから固固相転移を経て純粋な氷Icを作成する方法が報告された。しかし、その分子機構は謎のままである。本研究では、分子動力学(MD)シミュレーションを用いて、氷XVIIから氷Icが2段階の過程を経て優先的に形成される微視的な詳細を明らかにした。まず、氷XVII表面上にできる融解層内で氷Icが形成される。次に安定したIc-XVII固固共存界面が内向きに層状に伝播する。格子長の一致と欠陥のない層状結晶進行が純氷Ic生成に不可欠であることを示す。結晶多形は自然界に遍在する。今回の結果は、氷に限らず、均衡した安定性を持つ多形体群から、目標とする結晶の合成を精密に制御するための貴重な知見を提供する。