12:00 〜 12:15
[MIS13-10] 結晶表面に吸着した移動性不純物による結晶成長阻害の数値計算
キーワード:結晶成長、不純物、成長阻害作用、数値計算、フェーズフィールド法
結晶成長はわずかな不純物の存在によって大きな影響を受けるため、不純物が結晶成長に及ぼす作用を理解することは重要である。不純物が結晶成長に及ぼす作用の一つとして、ピン留め効果[1]が挙げられる。結晶表面にはステップと呼ばれる分子ひとつ分の厚みを持った段差が存在し、ステップが分子を取り込んで前進することで結晶は一層ずつ積み重なって成長する。結晶を構成する分子とは異なる粒子(不純物)が結晶表面に吸着すると、吸着不純物があたかもピン留めするかのようにステップの前進を阻害する。ピン留め効果を考慮した理論的研究の多くは、結晶表面に吸着した不純物は結晶表面に沿っては動かないと想定していた。しかし、実際には吸着不純物は結晶表面上を拡散しうる(移動性不純物)。Voronkov and Rashkovich [2]は、表面拡散する吸着不純物が結晶成長阻害作用に影響を及ぼすことを理論的に示した。彼らは、吸着不純物が前進するステップに押されて移動することによる阻害作用の減衰や、湾曲したステップの“ポケット”に吸着不純物が凝集することによる不純物クラスターの形成について論じた。しかし、吸着不純物の移動性と成長阻害作用の関係、及び、吸着不純物の凝集過程の詳細に関する数値的な研究は報告されていない。
本研究では、吸着不純物の移動性が結晶成長に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、個々の吸着不純物の表面拡散を考慮したステップ・ダイナミクスの数値計算を行った。数値計算には、結晶表面においてランダムに吸着脱離する不純物によるピン留め効果を考慮したフェーズフィールドモデルを用いた[3]。吸着不純物の表面拡散モデルには、ステップとの相互作用による自由エネルギー変化に応じた異方性を考慮した。数値計算の結果、結晶表面に吸着した不純物が前進するステップに押されながら移動し、湾曲したステップの窪みに掃き集められ、不純物クラスターが形成される過程を数値的に再現した。形成された不純物クラスターのサイズ分布は過飽和度に応じて大きく異なり、最大で不純物数十個から構成される不純物クラスターが結晶表面上で形成されることを示した。ステップ前進速度の過飽和度依存性を調べたところ、低過飽和度では吸着不純物が移動しない場合よりもステップ前進速度が大きくなり、高過飽和度では逆に小さくなるという結果が得られた。この結果は、吸着不純物の移動性は過飽和度に応じてステップ前進阻害作用に影響を及ぼすことを示している。
参考文献:
[1] N. Cabrera and D. A. Vermilyea, Proceedings of the International Conference Cooperstown, NY; Wiley (1958) 393 - 410.
[2] V. V. Voronkov and L. N. Rashkovich, Journal of Crystal Growth 144 (1994) 107 -115.
[3] H. Miura, Crystal Growth & Design 16 (2016) 2033 - 2039.
本研究では、吸着不純物の移動性が結晶成長に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、個々の吸着不純物の表面拡散を考慮したステップ・ダイナミクスの数値計算を行った。数値計算には、結晶表面においてランダムに吸着脱離する不純物によるピン留め効果を考慮したフェーズフィールドモデルを用いた[3]。吸着不純物の表面拡散モデルには、ステップとの相互作用による自由エネルギー変化に応じた異方性を考慮した。数値計算の結果、結晶表面に吸着した不純物が前進するステップに押されながら移動し、湾曲したステップの窪みに掃き集められ、不純物クラスターが形成される過程を数値的に再現した。形成された不純物クラスターのサイズ分布は過飽和度に応じて大きく異なり、最大で不純物数十個から構成される不純物クラスターが結晶表面上で形成されることを示した。ステップ前進速度の過飽和度依存性を調べたところ、低過飽和度では吸着不純物が移動しない場合よりもステップ前進速度が大きくなり、高過飽和度では逆に小さくなるという結果が得られた。この結果は、吸着不純物の移動性は過飽和度に応じてステップ前進阻害作用に影響を及ぼすことを示している。
参考文献:
[1] N. Cabrera and D. A. Vermilyea, Proceedings of the International Conference Cooperstown, NY; Wiley (1958) 393 - 410.
[2] V. V. Voronkov and L. N. Rashkovich, Journal of Crystal Growth 144 (1994) 107 -115.
[3] H. Miura, Crystal Growth & Design 16 (2016) 2033 - 2039.