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[MIS14-04] 滋賀県の石筍を用いたベーリング・アレレード温暖期開始時「嵐の200年」における高解像度古気候復元

キーワード:温暖化、完新世、晩氷期、石筍、酸素同位体、炭素同位体
最終氷期からベーリング・アレレード温暖期への遷移期約1.5万年前には,福井県水月湖で平均気温が数十年スケールで大きく変動し,温暖期への移行がグリーンランドの温暖化に200年程先行したことが示された(e.g., Nakagawa et al., 2021).しかし,異なる地域間での年代軸の精密な対比は難しく,気候変動のタイミングの比較は仮説的な議論に留まることが多い.本発表では,水月湖の南東50 kmに位置する滋賀県の石筍KK-2から確認されたベーリング・アレレード温暖期開始時の高精度U-Th年代測定と酸素・炭素同位体比測定結果を報告する.国立台湾大学 High-precision mass spectrometry and environment change (HISPEC) 研究室での年代測定により,不確かさ2σが 1%以下の極めて高精度な年代値を得られた.Topから約21 cm~22 cmには褐色層互層が存在し,その1 mm上位の年代値は,グリーンランド氷床コア(NGRIP)の晩氷期亜間氷期(GI-1:ベーリング・アデレード期)の開始14743 ± 104 U-Th yr BP (±2σ, hereafter; relative to 1950 CE) および,水月湖の晩氷期亜間氷期の開始14970±82 IntCal20 yr BPから200年続く「嵐の200年間」が終わる時期 (14760 ± 110 IntCal20 yr BP) と誤差の範囲で一致した(Nakagawa et al., 2021).この褐色層上下の酸素・炭素同位体比は広島県幻鍾乳洞や中国の鍾乳石記録などと類似した特徴を示す(Shen et al., 2010, and reference therein).褐色層は洪水により形成されるため,「嵐の200年」仮説を記録した可能性が高く,ベーリング・アレレード温暖化の気候変動の広域対比の高精度化に貢献できると期待される.
