14:52 〜 15:15
[MIS14-25] 中新世のケイ素循環と日本海珪質堆積物
★招待講演
キーワード:ケイ素循環、中新世、日本海、珪質堆積物、生物源シリカ
地球表層のケイ素循環は,ケイ酸塩鉱物の化学風化や海洋での生物ポンプなどを通じて炭素循環と密接に関連しており,地質学的タイムスケールでの気候システムを理解するために重要な要素の1つである.過去のケイ素循環は,主に堆積物中に保存された生物源シリカの化学分析によって復元される.特に第四紀を中心に分析が行われており,ケイ素循環が氷期-間氷期スケールで変動していることが確認されている.一方で,中新世などのより古い時代については研究データも少なく,あまり詳細な描像を得ることができていない.
そこで,本研究では中新世の日本海で堆積した珪質堆積物に着目した.当時の日本海珪質堆積物の中には,地球軌道要素スケールの周期的変動が堆積物組成,特に生物源シリカと砕屑物の量比に見出されるものがあることが知られている,生物源シリカはケイ素循環における最大の流出口であるため,これら珪質堆積物の堆積はケイ素循環の影響を強く受けていたことが予想される.こうした珪質堆積物の特徴を生かし,生物源シリカと砕屑物の量比変動に基づいたサイクル層序対比による高解像度年代モデルの構築を行うとともに,堆積物試料から分離した珪藻殻のゲルマニウム/ケイ素(Ge/Si)比とケイ素安定同位体δ30Siの分析によって当時のケイ素循環の復元を行った.Ge濃度,Si濃度,δ30Siはそれぞれ同位体希釈水素化物発生誘導結合プラズマ質量分析法(ID-HG-ICP-MS),ICP発光分光分析法(ICP-AES),マルチコレクターICP-MS(MC-ICP-MS)によって測定した.
復元されたGe/Si比とδ30Siには地球軌道要素スケールでの変動が見られ,第四紀に見られるような寒冷期にGe/Si比とδ30Siが低下する変動パターンと類似していることから,中新世においても第四紀と同じような変動メカニズムをもつケイ素循環があったことが推察される.一方で,それらの絶対値や変動幅にはそれぞれ第四紀とは異なる特徴が見られたため,ボックスモデルを用いてケイ素循環の変動要因の推定を行った.ボックスモデルでは,表層での溶存シリカ利用度,生物源シリカの堆積物への保存効率,河川流入量,熱水流入量,日本海の海閾深度の5つをそれぞれ変化させた場合に生物源シリカのGe/Si比とδ30Siがそれぞれどのように変化するかを調べた.その結果,寒冷期の低いGe/Si比と低いδ30Siは,表層での溶存シリカ利用度の低下,河川性Si流入量の低下,生物源シリカの堆積物への保存効率の低下という3つの要素の組み合わせによって説明可能であることが示された.
本研究によって得られたデータは,中新世のケイ素循環に関して史上最高の時間解像度であり,新規的な情報を多く提供している.しかし,より長期的な変動の復元や地域的差異を加味した全球的気候変動への影響の評価には,さらなる時空間的データの蓄積が必要である.
そこで,本研究では中新世の日本海で堆積した珪質堆積物に着目した.当時の日本海珪質堆積物の中には,地球軌道要素スケールの周期的変動が堆積物組成,特に生物源シリカと砕屑物の量比に見出されるものがあることが知られている,生物源シリカはケイ素循環における最大の流出口であるため,これら珪質堆積物の堆積はケイ素循環の影響を強く受けていたことが予想される.こうした珪質堆積物の特徴を生かし,生物源シリカと砕屑物の量比変動に基づいたサイクル層序対比による高解像度年代モデルの構築を行うとともに,堆積物試料から分離した珪藻殻のゲルマニウム/ケイ素(Ge/Si)比とケイ素安定同位体δ30Siの分析によって当時のケイ素循環の復元を行った.Ge濃度,Si濃度,δ30Siはそれぞれ同位体希釈水素化物発生誘導結合プラズマ質量分析法(ID-HG-ICP-MS),ICP発光分光分析法(ICP-AES),マルチコレクターICP-MS(MC-ICP-MS)によって測定した.
復元されたGe/Si比とδ30Siには地球軌道要素スケールでの変動が見られ,第四紀に見られるような寒冷期にGe/Si比とδ30Siが低下する変動パターンと類似していることから,中新世においても第四紀と同じような変動メカニズムをもつケイ素循環があったことが推察される.一方で,それらの絶対値や変動幅にはそれぞれ第四紀とは異なる特徴が見られたため,ボックスモデルを用いてケイ素循環の変動要因の推定を行った.ボックスモデルでは,表層での溶存シリカ利用度,生物源シリカの堆積物への保存効率,河川流入量,熱水流入量,日本海の海閾深度の5つをそれぞれ変化させた場合に生物源シリカのGe/Si比とδ30Siがそれぞれどのように変化するかを調べた.その結果,寒冷期の低いGe/Si比と低いδ30Siは,表層での溶存シリカ利用度の低下,河川性Si流入量の低下,生物源シリカの堆積物への保存効率の低下という3つの要素の組み合わせによって説明可能であることが示された.
本研究によって得られたデータは,中新世のケイ素循環に関して史上最高の時間解像度であり,新規的な情報を多く提供している.しかし,より長期的な変動の復元や地域的差異を加味した全球的気候変動への影響の評価には,さらなる時空間的データの蓄積が必要である.
