16:15 〜 16:30
[MIS14-29] 鉛直一次元海洋モデルを用いた暁新世始新世温暖化イベントにおける海洋生物化学循環に関する理論研究

暁新世/始新世温暖化イベント(以下PETMと呼ぶ)とは,約5600万年前に起きた急激な温暖化イベントである.質学的研究より,炭素同位体比が短期間のうちに2~3 ‰低下し,海洋表層水と深層水の炭素同位体比の差が近づいたことが明らかになっている.この温暖化現象と炭素同位体比の負異常を説明する主要な仮説として,メタンハイドレートの崩壊による軽い炭素の大気及び海洋への流入が考えられている.PETMは,急激な温暖化という点において,現在進行している地球温暖化との関連性が指摘されている重要なイベントである.このようにPETMに関して地質学的には盛んに研究されている一方,当時の海洋環境や海洋生物活動がどのように変化したのかについてはあまり研究が進んでいない.
そこで本研究では,PETMの特徴のひとつである炭素同位体比の負異常に着目し,鉛直一次元海洋モデルを用いて,PETMにおいて海洋生物化学循環がどのように変化していたのかについて検証した.本モデルでは,炭素循環,リン循環,カルシウム循環を考慮し,より定量的に海洋生物化学循環を検討できるようにしている.その結果,湧昇速度の増加または輸出生産の減少が,海洋表層水と深層水の炭素同位体比の差Δを小さくする効果を持つことが分かった.これは,湧昇速度の増加は鉛直混合を活発にし,輸出生産の減少は表層水での軽い炭素の取り込みを減少させるからである.
そこで本研究では,PETMの特徴のひとつである炭素同位体比の負異常に着目し,鉛直一次元海洋モデルを用いて,PETMにおいて海洋生物化学循環がどのように変化していたのかについて検証した.本モデルでは,炭素循環,リン循環,カルシウム循環を考慮し,より定量的に海洋生物化学循環を検討できるようにしている.その結果,湧昇速度の増加または輸出生産の減少が,海洋表層水と深層水の炭素同位体比の差Δを小さくする効果を持つことが分かった.これは,湧昇速度の増加は鉛直混合を活発にし,輸出生産の減少は表層水での軽い炭素の取り込みを減少させるからである.
