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[MIS14-P27] 琉球列島のサンゴ年輪解析にみられる黒潮特性と数十年規模変動との関係

キーワード:ハマサンゴ、酸素同位体比、水温、塩分、黒潮、太平洋数十年変動
気候変動の長期的な予測を正確に行ううえで,過去と現在の気候・海洋の変動について理解することは非常に重要である.しかし,衛星観測や測器などによる良質な海洋の連続データは1950年以降に限られ,古環境解析による長期記録の蓄積が求められている.海洋記録を復元する有用な間接指標の一つとして,造礁サンゴが挙げられる.造礁サンゴはアラゴナイトからなる骨格を持ち,骨格形成時に周囲の環境情報を記録している.また,骨格の成長速度が大きく,長寿であるため,長期の高解像度環境記録を復元でき,骨格年輪によって年代決定も比較的容易である.サンゴ骨格の酸素同位体比は海水の温度と海水の酸素同位体比を強く反映し,生息海域の水温・塩分の変化の復元に用いられる.こうしたサンゴ年輪の長期データは南太平洋,大西洋,インド洋を中心に報告されており,サンゴ礁の北限に当たる黒潮流域でのデータは少ない.
黒潮は北太平洋亜熱帯循環の西岸境界流を形成する,高水温,高塩分の海水で特徴づけられる海流で,インド太平洋暖水塊から大量の熱と水蒸気を輸送し,北西太平洋の気候を駆動する重要な要素の一つである.黒潮の流路・流量には季節変動や,数年~数十年規模変動があることが知られ,PDO(太平洋数十年変動:Pacific Decadal Oscillation),ENSO(エルニーニョ/南方振動:El Niño/Southern Oscillation),季節風などとの関係が示唆されてきた.黒潮の特性や,長周期気候変動との関係についての研究例は蓄積されつつある一方で,その原理やメカニズムに関する理解は未だ十分ではない.その一因には,扱える気候データの時間の短さがある.
そこで本研究では,久米島に生息するサンゴ骨格の酸素同位体比を月解像度で分析し,水温・塩分を示す酸素同位体比の時系列データの解析により,過去約100年間の黒潮流域の海洋環境の変動を復元した.また,それによって,黒潮域にあたる久米島の水温・塩分と黒潮の変動,長周期気候変動との関係を検証した.その結果,酸素同位体比には長期的な減少トレンドがみられ,過去約100年の海水温の上昇傾向と塩分の低下傾向が確認された.また,PDOの正と負のフェーズの移行期において,久米島の水温・塩分と黒潮流量との関係が変化しており,PDOによる黒潮流量変化に起因した,黒潮流路の変化が示唆される.また,PDO負のフェーズに当たる1947~1976年では,黒潮流量は久米島の夏の塩分変化,冬の水温変化に影響を与えたことが示唆された.
黒潮は北太平洋亜熱帯循環の西岸境界流を形成する,高水温,高塩分の海水で特徴づけられる海流で,インド太平洋暖水塊から大量の熱と水蒸気を輸送し,北西太平洋の気候を駆動する重要な要素の一つである.黒潮の流路・流量には季節変動や,数年~数十年規模変動があることが知られ,PDO(太平洋数十年変動:Pacific Decadal Oscillation),ENSO(エルニーニョ/南方振動:El Niño/Southern Oscillation),季節風などとの関係が示唆されてきた.黒潮の特性や,長周期気候変動との関係についての研究例は蓄積されつつある一方で,その原理やメカニズムに関する理解は未だ十分ではない.その一因には,扱える気候データの時間の短さがある.
そこで本研究では,久米島に生息するサンゴ骨格の酸素同位体比を月解像度で分析し,水温・塩分を示す酸素同位体比の時系列データの解析により,過去約100年間の黒潮流域の海洋環境の変動を復元した.また,それによって,黒潮域にあたる久米島の水温・塩分と黒潮の変動,長周期気候変動との関係を検証した.その結果,酸素同位体比には長期的な減少トレンドがみられ,過去約100年の海水温の上昇傾向と塩分の低下傾向が確認された.また,PDOの正と負のフェーズの移行期において,久米島の水温・塩分と黒潮流量との関係が変化しており,PDOによる黒潮流量変化に起因した,黒潮流路の変化が示唆される.また,PDO負のフェーズに当たる1947~1976年では,黒潮流量は久米島の夏の塩分変化,冬の水温変化に影響を与えたことが示唆された.
