17:15 〜 19:15
[MIS15-P06] HYCOMデータを用いた南大洋インド洋セクターにおける水平拡散係数の評価
キーワード:水平渦拡散係数、ラグランジュ的粒子追跡、南大洋インド洋セクター
深層大循環を支えるための重要なプロセスとして子午面循環が示されることが多いが、実際に観測される南北断面では、ほとんどの場合、子午面方向の鉛直循環を明示するような構造はみられない。一般に、物質循環に及ぼす物理現象として、移流による直接的な輸送を除けば、鉛直・水平方向の渦運動に伴うフラックスが考えられる。しかし、これまでの海鷹丸による南大洋における乱流の直接観測では、物質フラックスを支配するような強い乱流混合域は見つかっていない。そこで本研究では、渦により物質が水平的にどのように拡がっているのか、どのように評価するべきかについて、数値実験データを用いて検討した。
水平渦拡散係数の評価では、実際の水塊の移動を直接的に観測しやすいラグランジュ的な追跡により評価されることが多いが、追跡可能な期間が短いことや追跡可能粒子の数に制限があること、計測時間間隔が大きいことなどの不利な点も多い。これらのデータ不足により、オイラー的評価方法と比べ、ラグランジュ的手法では、拡散係数が大きく見積もられやすいと指摘されている。この問題点をより鮮明に示し、その解決策を検討するため、「HYCOM Global Ocean Forecasting System (GOFS) 3.1」のデータを使用し、ラグランジュ的な手法による拡散係数の評価方法と物質フラックスの関係を調べた。
対象海域は、渦が活発な海域として知られている南大洋インド洋セクターとした。流した粒子群の変位分散成長率の手法,Davis(1991)の手法、その両者を組み合わせたZhurbas and Oh (2003)の手法をもとに、追跡時間間隔および追跡粒子数を変えて水平渦拡散係数を算出した。追跡の時間間隔を長くすると水平渦拡散係数は大きくなるが、時間間隔を24時間以下にすると求まる拡散係数が安定することがわかった。同様に、追跡粒子数を増やした場合では、5°×5°グリッドあたり66個以上の粒子を用いると値が安定することがわかった。本研究では、さらに、変位分散成長率の手法、Davis(1991)の手法の組み合わせを変えたラグランジュ的追跡評価法を行い、南北方向の水温・塩分フラックスや渦運動エネルギー(EKE)と比較した。水温・塩分フラックスと最も相関が高いのは、上流・下流方向ともに変位分散成長率を適用した場合で、EKEと最も相関が高いのは、上流・下流方向ともにDavis(1991)の手法を適用した場合であった。これは、Davis(1991)の計算式が、究極的にはEKEの算出と数学的にほぼ類似した表現であるためと考えられた。
本研究の結果、ラグランジュ的な手法でも十分なデータ数があれば、オイラー的評価法と乖離しないことが分かった。発表時には、HYCOMデータより求めた南大洋インド洋セクターの様々な深度の拡散係数の分布についても紹介する。
水平渦拡散係数の評価では、実際の水塊の移動を直接的に観測しやすいラグランジュ的な追跡により評価されることが多いが、追跡可能な期間が短いことや追跡可能粒子の数に制限があること、計測時間間隔が大きいことなどの不利な点も多い。これらのデータ不足により、オイラー的評価方法と比べ、ラグランジュ的手法では、拡散係数が大きく見積もられやすいと指摘されている。この問題点をより鮮明に示し、その解決策を検討するため、「HYCOM Global Ocean Forecasting System (GOFS) 3.1」のデータを使用し、ラグランジュ的な手法による拡散係数の評価方法と物質フラックスの関係を調べた。
対象海域は、渦が活発な海域として知られている南大洋インド洋セクターとした。流した粒子群の変位分散成長率の手法,Davis(1991)の手法、その両者を組み合わせたZhurbas and Oh (2003)の手法をもとに、追跡時間間隔および追跡粒子数を変えて水平渦拡散係数を算出した。追跡の時間間隔を長くすると水平渦拡散係数は大きくなるが、時間間隔を24時間以下にすると求まる拡散係数が安定することがわかった。同様に、追跡粒子数を増やした場合では、5°×5°グリッドあたり66個以上の粒子を用いると値が安定することがわかった。本研究では、さらに、変位分散成長率の手法、Davis(1991)の手法の組み合わせを変えたラグランジュ的追跡評価法を行い、南北方向の水温・塩分フラックスや渦運動エネルギー(EKE)と比較した。水温・塩分フラックスと最も相関が高いのは、上流・下流方向ともに変位分散成長率を適用した場合で、EKEと最も相関が高いのは、上流・下流方向ともにDavis(1991)の手法を適用した場合であった。これは、Davis(1991)の計算式が、究極的にはEKEの算出と数学的にほぼ類似した表現であるためと考えられた。
本研究の結果、ラグランジュ的な手法でも十分なデータ数があれば、オイラー的評価法と乖離しないことが分かった。発表時には、HYCOMデータより求めた南大洋インド洋セクターの様々な深度の拡散係数の分布についても紹介する。
