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[MIS16-P03] 内部熱源により駆動される温度依存高粘性流体の熱対流構造と安定性

キーワード:マントル対流、対流構造、内部熱源対流、遷移レジーム、レイリーテイラー不安定
惑星内部のマントルの流体運動の基本的な性質を調べるために, 温度依存高粘性流体の熱対流問題がこれまでに研究されている. 下面からの加熱によって駆動される熱対流はブシネスク系においてよく調べられており, 粘性変化の大きさに応じて対流上側表面の運動形態が異なる 3 つのレジームに対流構造が分類されることが知られている (e.g., Solomatov, 1995). 粘性変化が小さい場合 (Small viscosity contrast [SVC] regime) では, 粘性一定の場合に近い対流構造となる. 粘性変化が十分大きい場合 (Stagnant lid [ST] regime) では, 上側境界付近に流れを伴わない熱伝導層が形成され, 対流運動がその下側の層に制限される. 粘性変化が中間的な場合 (Transitional [TR], または Sluggish lid regime) では, ST レジームと同様に熱伝導層が存在するが, そこでは下層の対流よりも遅い水平流が生じる.
これに対して, 内部熱源により駆動される熱対流の研究はそれほど行われていない. SVC および ST レジームの対流構造やスケーリング則は調べられているものの (e.g., Grasset and Parmentier, 1998), TR レジームについては注目されておらず, 下面加熱対流の研究と比較してレジーム分類が充分に吟味されていない.
そこで本研究では, 内部熱源によって駆動される温度依存高粘性流体の 2 次元熱対流モデルを用いて, 様々なレイリー数や粘性の温度依存性の強さについて定常熱対流解を計算し, 各レジームの対流構造を吟味して TR レジームの対流構造を特徴付ける. 内部熱源は一様に分布しているとし, 流体の粘性は温度に対して指数関数的に変化することを仮定する. 力学的境界条件は上下ともに自由滑りを与える. 有限振幅定常解はニュートン法を用いて求められる. 得られた定常解について, 対流速度に対する上側境界上の速さを用いてレジーム分類を行い, それらのヌッセルト数-レイリー数関係と対流構造を吟味する. その結果, 先行研究にて求められている SVC および ST レジームのスケーリング関係と整合的な解集団を同定できる. パラメーター空間上での SVC と ST のレジーム領域の間には, 異なるヌッセルト数-レイリー数関係を伴う解集団として TR レジームが見出される. 対流領域内の熱境界層の粘性比を見ると, ST レジームの対流解では粘性比がほぼ一定の値を取り, SVC レジームでは粘性比がその値以下であるのに対して, TR レジームの対流解では対流領域内の熱境界層内の粘性比は ST レジームでの値よりも大きくなる. このような TR レジームの特徴は, 領域の上側境界を滑りなし条件に変更した場合には出現しない.
さらに, いくつかの定常対流解に対して一点温度擾乱を与えた時間積分計算を実行することで, 安定性は定常解のレジームに依存しないことがわかる. このことから, 境界層内の大きな粘性比にも関わらず TR レジームの定常解が安定に存在しうることが示される. 安定性は下面の粘性率で定義されるレイリー数に依存しており, レイリー数が小さい定常解は粘性変化の大きさによらず擾乱が減衰し安定となる. 一方でレイリー数が十分大きくなると定常解は不安定となり, 熱境界層から非定常な下降プルーム流が生じる様子が観察される. この不安定性は, 粘性が異なる 2 層の流体のレイリー-テイラー不安定を対流領域内の熱境界層に対して適用することによって説明される.
これに対して, 内部熱源により駆動される熱対流の研究はそれほど行われていない. SVC および ST レジームの対流構造やスケーリング則は調べられているものの (e.g., Grasset and Parmentier, 1998), TR レジームについては注目されておらず, 下面加熱対流の研究と比較してレジーム分類が充分に吟味されていない.
そこで本研究では, 内部熱源によって駆動される温度依存高粘性流体の 2 次元熱対流モデルを用いて, 様々なレイリー数や粘性の温度依存性の強さについて定常熱対流解を計算し, 各レジームの対流構造を吟味して TR レジームの対流構造を特徴付ける. 内部熱源は一様に分布しているとし, 流体の粘性は温度に対して指数関数的に変化することを仮定する. 力学的境界条件は上下ともに自由滑りを与える. 有限振幅定常解はニュートン法を用いて求められる. 得られた定常解について, 対流速度に対する上側境界上の速さを用いてレジーム分類を行い, それらのヌッセルト数-レイリー数関係と対流構造を吟味する. その結果, 先行研究にて求められている SVC および ST レジームのスケーリング関係と整合的な解集団を同定できる. パラメーター空間上での SVC と ST のレジーム領域の間には, 異なるヌッセルト数-レイリー数関係を伴う解集団として TR レジームが見出される. 対流領域内の熱境界層の粘性比を見ると, ST レジームの対流解では粘性比がほぼ一定の値を取り, SVC レジームでは粘性比がその値以下であるのに対して, TR レジームの対流解では対流領域内の熱境界層内の粘性比は ST レジームでの値よりも大きくなる. このような TR レジームの特徴は, 領域の上側境界を滑りなし条件に変更した場合には出現しない.
さらに, いくつかの定常対流解に対して一点温度擾乱を与えた時間積分計算を実行することで, 安定性は定常解のレジームに依存しないことがわかる. このことから, 境界層内の大きな粘性比にも関わらず TR レジームの定常解が安定に存在しうることが示される. 安定性は下面の粘性率で定義されるレイリー数に依存しており, レイリー数が小さい定常解は粘性変化の大きさによらず擾乱が減衰し安定となる. 一方でレイリー数が十分大きくなると定常解は不安定となり, 熱境界層から非定常な下降プルーム流が生じる様子が観察される. この不安定性は, 粘性が異なる 2 層の流体のレイリー-テイラー不安定を対流領域内の熱境界層に対して適用することによって説明される.