日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS17] 地質学のいま

2025年5月26日(月) 13:45 〜 15:15 201A (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:辻森 樹(東北大学)、山口 飛鳥(東京大学大気海洋研究所)、尾上 哲治(九州大学 大学院理学研究院 地球惑星科学部門)、小宮 剛(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)、座長:尾上 哲治(九州大学 大学院理学研究院 地球惑星科学部門)、小宮 剛(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)

14:00 〜 14:15

[MIS17-02] 「ドロマイト問題」の解決に向けた最近の動向

*佐久間 杏樹1奥村 大河1板井 啓明1 (1.東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻)

キーワード:ドロマイト、イライト、炭酸塩

ドロマイト(CaMg(CO3)2)は常温常圧で安定な鉱物であり、方解石やあられ石(CaCO3)と共に、石灰岩を構成する代表的な炭酸塩鉱物である。しかし、現在の海水の組成はドロマイトに対して理論上過飽和になりうるものの、現世におけるドロマイトの沈殿は非常にまれである。実験室における常温常圧下での合成実験も長年にわたり試みられてきたものの、未だに成功例はなく、その沈殿条件は不明である。一方で、古い時代に形成した石灰岩にはドロマイトを多く含んだものが報告されている。この矛盾は「ドロマイト問題」として現在に至るまで多くの堆積学者の注目を集めている。形成条件が不明であったことから、ドロマイトの形成は主に続成作用の一つであるドロマイト化作用により二次的に形成されたとかつては解釈されてきた(Warren, 2000)。例えば、蒸発によって形成される高塩分水を想定するサブカモデル、海水と淡水の混合の影響を考慮した混合水ドロマイト化作用などが提唱されている。
1990年代後半以降は、微生物活動が初生的なドロマイトの沈殿を引き起こすことが示され、微生物を用いた合成実験や現世塩湖における微生物群集の解析が活発に行われてきた(Vasconcelos et al., 1995)。さらに、2010年代に入ってからは、不完全なドロマイトの無機的な沈殿に成功した例も報告されている。ドロマイトの沈殿を阻害する要因の一つとして、Mgイオンが表面に水和層を作りやすいことが解釈されてきた。そこで、Mgイオンの表面の水分子を引きはがす触媒となるSiイオンや粘土鉱物の添加を行って、ドロマイトよりも結晶の規則が悪いプロトドロマイトが合成できることが先行研究では示されている(e.g., Liu et al., 2019)。本発表ではドロマイトの沈殿メカニズムに関する最新の研究動向について紹介する。さらに、粘土鉱物を触媒としてドロマイトを合成した際に、溶液の濃度やpHが与えうる影響について検証するために現在著者らが行っている実験について、予察的な結果について報告をする。