日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS18] 惑星火山学

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 302 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:野口 里奈(新潟大学 自然科学系)、諸田 智克(東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻)、下司 信夫(九州大学大学院 理学研究院 地球惑星科学部門)、座長:野口 里奈(新潟大学 自然科学系)、諸田 智克(東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻)、下司 信夫(九州大学大学院 理学研究院 地球惑星科学部門)

14:00 〜 14:15

[MIS18-02] アイスランドMyvatn地域のルートレステフラの岩石鉱物観察

岡山 大樹1、*小池 みずほ1野口 里奈2 (1.広島大学、2.新潟大学)

キーワード:ルートレスコーン、アイスランド、火砕噴出物(ルートレステフラ)、岩石鉱物観察

ルートレスコーン(または偽クレーター)とは、溶岩と水との相互作用によって形成される小規模火山地形である。地表に噴出した高温溶岩流が湖沼等の含水堆積物を覆うと、水の気化・膨張による爆発が生じ、その破砕物が爆発地点を中心としてコーン状に堆積する[1]。地表浅部で爆発が生じるため、破砕物には爆発当時の含水堆積物も巻き込まれている[2]。アイスランド北部の湖であるミーヴァトン(Myvatn)湖周辺には、約2300年前の溶岩噴出により形成されたルートレスコーンが多数存在する。Myvatn湖のルートレスコーンは二重火口等の特徴的な形状を示し、火星の中央エリシウム平原に見られるコーン地形と極めて類似することが指摘されている[3,4]。この地域のコーン形成過程を理解し、火星の火成活動と比較することを目的に、本研究ではルートレスコーン噴出物(ルートレステフラ)の岩石鉱物記載をおこなった。
Myvatn湖周辺の複数のルートレスコーンから先行研究にて採取されたルートレステフラ試料[4]を対象に、粉末X線回折(XRD)による全岩の主要鉱物推定を実施した。また、同試料の樹脂包埋片を作成し、走査型電子顕微鏡(Helios G4; 広島大自然科学研究支援開発センター保有)による詳細観察と、電子プローブマイクロアナライザ(JXA-iSP 100;同上)による主要元素分析をおこなった。
観察・分析の結果、これらのテフラ試料は、大部分が急冷微細結晶とガラスからなるマトリックスで構成され、様々な形状の斜長石、輝石、カンラン石が含まれていることがわかった。斜長石はbytownite〜anorthite組成であり、輝石はカルシウムに富むaugiteであった。カンラン石の結晶内には僅かなゾーニング(Mg#78~80)が見られた。鉱物組成および組織に、採取地点間での明瞭な差は見られなかった。また、いずれも空隙率は≥30%と高かった。微細結晶およびガラスマトリックスは、最初の溶岩噴出〜水蒸気爆発によるコーン形成までの急冷過程で形成したと思われる。一方、カンラン石や斜長石の巨大な斑晶(≥100 µm)は、噴出前の深部マグマ溜まりでゆっくり形成したはずである。本発表では、一連の岩石鉱物組成を整合的に説明できるコーン形成プロセスについて議論する。

[1] Thorarinsson,1953, Bulletin Volcanol. 2, 1–44. [2] Thordarson & Höskuldsson, 2002, Iceland, Terra Publishing. [3] Noguchi & Kurita (2015) Planet. Space Science, 111, 44–54. [4] Noguchi et al. (2016) Journal Volcanology, Geotherm. Res. 318, 89–102.