日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS18] 惑星火山学

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 302 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:野口 里奈(新潟大学 自然科学系)、諸田 智克(東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻)、下司 信夫(九州大学大学院 理学研究院 地球惑星科学部門)、座長:野口 里奈(新潟大学 自然科学系)、諸田 智克(東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻)、下司 信夫(九州大学大学院 理学研究院 地球惑星科学部門)

14:30 〜 14:45

[MIS18-04] 火星上への投下型観測装置ペネトレータの設置場所の検討と周辺地域の表層地質比較

*西川 泰弘1田中 智2川村 太一3長谷川 精4野口 里奈5 (1.高知工科大学、2.宇宙科学研究所、3.パリ地球物理研究所、4.高知大学、5.新潟大学)

キーワード:ペネトレータ、火星地震探査、地下水探査

大気突入・降下・着陸の手法の一つとして、ペネトレータ技術が注目されている。ペネトレータは、鉛筆型の円筒内部に観測機器を搭載し、上空から投下して地表面に貫入させることで観測機器を設置する手法である。この方法は、大気を有する天体での運用において、姿勢制御や減速といった面で大きな利点を持つ。これにより、火星のように人間による直接の設置が難しい場所にも、観測機器を設置することが可能となる。

 火星へのペネトレータ投下においては、エアロシェルという熱シールドを装備することで、約50m/sの速度で地表面に貫入させることができる。この速度は、ペネトレータが火星の地表に確実に到達し、観測機器を無事に設置するために十分である。また、周回衛星から投下を行うため、他の着陸手法に比べて安価でかつ広範囲に観測機器を設置することができる。

 火星でのペネトレータ設置場所としては、内因的な地質活動や表層浅部資源が期待される地域が候補として挙げられる。例えば、火星地震探査計画InSightから得られた地震学的データを基に、地震・火山活動が活発な地域を候補地として選定することができる。中央エリシウム平原やタルシスといった地域は、活発な地震現象が確認されていることから、これらの地域での観測は火星内部の構造や活動の理解を深めるために極めて重要である。また、隕石衝突により自然掘削された地下氷や周氷河地形のみられる地域へのペネトレータの設置は、地下氷やその他の資源の探査に資する重要な知見を提供する可能性がある。北半球中緯度地域は、これらの探査に適した場所として考えられる。

 本発表では、ペネトレータ技術の基本的な設置手法を紹介した後、これまでの火星地震探査計画InSightの成果を踏まえ、地震学的知見から得られた候補地を紹介する。また、火星の衝突クレーターや周氷河地形を対象にした地下水探査的知見から、北半球中緯度地域を候補地として挙げ、その表層地質の比較を行う。これにより、火星におけるペネトレータを用いた観測の可能性およびペネトレータ技術がもたらす期待される知見について考察する。