日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS18] 惑星火山学

2025年5月25日(日) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:野口 里奈(新潟大学 自然科学系)、諸田 智克(東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻)、下司 信夫(九州大学大学院 理学研究院 地球惑星科学部門)

17:15 〜 19:15

[MIS18-P02] 将来火星着陸ミッションを見据えたルートレステフラの物質科学解析:粒度分析

*工藤 亮1野口 里奈1 (1.新潟大学)

キーワード:火星、ルートレスコーン、ルートレステフラ、粒径分布

火星に広く存在すると考えられる溶岩-水接触系は、生物存在可能環境(ハビタブル環境)の候補として注目度が高まっている。火星では、30億年以前に海洋が存在したと考えられており、現在も地下には水氷が存在していることが知られている(Dundas et al., 2022)。この水環境で火山活動が生じれば、地球でみられるような熱水環境が火星でも形成され得るとして、次世代探査でのターゲットとして国内外で検討が進められている(例えば、Duhamel et al., 2022)。

 溶岩-水接触系で形成されるルートレスコーンは、火星におけるハビタブル環境探査のターゲット候補となり得る。ルートレスコーンは、溶岩が含水層を覆うことで発生する爆発によって形成される小型火山地形である。火星では中央エリシウム平原やアマゾニス平原に多く見られる(Greeley and Fagents, 2001)。ルートレスコーン山体は溶岩片や含水層で構成されている(ルートレステフラ)。このため、ルートレステフラを調査することで、通常は溶岩下位にあるため到達困難な形成当時の含水層(基盤堆積物)を地上で観察することが可能となる。すなわち、生命活動の痕跡を含むかもしれない過去の地下情報に容易にアクセスできる可能性がある。

 ルートレステフラ中の基盤堆積物は、コーン山体中で均質に見られるわけではなく、特定の層により多く含まれていることが報告されている(Hamilton et al., 2017)。ルートレスコーン山体は火砕物層の互層によって構成されており、火砕密度流堆積物(PDC層)を部分的にはさむ。Hamilton et al., 2017において、基盤堆積物はPDC層により多く含まれることが報告されているものの、構成粒子の粒径分布を元にした外挿的な記載に止まっており、しかも特定のRCのみに対しての報告である。そこで本研究では、将来の火星探査に資するために、ルートレステフラ中の基盤堆積物はコーン山体中のどの部分により多く含まれているかを定量的に明らかにすることにした。

 本研究では、アイスランドで採取したルートレステフラを対象に、粒径分布をまず調べた。ルートレステフラはアイスランドの5つのサイト(Kopasker, Lake Myvatn, Laxardalur, Landbrot, Raudholar)の計10個のコーンから計40サンプル採取した。採取したルートレステフラについて乾式ふるいがけにて-4Φから3Φまでを1Φ間隔での粒径分布を測定した。粒径分布データの解析にはGRADISTAT v8.0(Blott and Pye, 2001)を用いた。

 粒度分布解析の結果、コーンの形成環境や層序によって平均粒径や淘汰度、尖度、歪度に違いが見られた。大多数のルートレステフラサンプルは淘汰が悪い。一方で、淘汰が良いサンプルもいくつかみられた。本発表では、粒度分布解析結果の速報に加え、火星でルートレステフラを調査する場合にどのような露頭が適切であるかについて議論する。

---
Greeley and Fagents, 2001, JGR, 106(E9), 20527-20546.; Hamilton et al., 2017, Bull. Volcanol., 79:11.; Blott and Pye, 2001, Earth Surf. Process. Landforms 26, 1237–1248.