16:00 〜 16:15
[MIS19-09] 2024年11月29日に金沢で発生した下向きTGFのチェレンコフ指向性検出器による多点観測

キーワード:雷ガンマ線、雷放電、電波、高エネルギー大気物理学、大気電気学
雷ガンマ線は10 - 30 MeVに達し、自然界で唯一観測可能な静電場による粒子加速現象として注目されている。特に、継続時間が 1 ms以下の短時間で強い放射が観測される現象はTerrestrial Gamma-ray Flash (TGF)と呼ばれている。雷雲は上部から正・負・正という三極構造の電荷分布をしているとされ、この電荷分布によって雷雲内に静電場領域が発生すると考えられている。この電場により、電子は相対論的速度まで加速され、雪崩増幅を経て制動放射ガンマ線を放出する。TGFは電子の加速方向によって上向きTGFと下向きTGFに分類される。これらのガンマ線を生じる電子の加速領域のサイズや高度、形状は未解明であり、それが雲中にあるのか、放電の先端にあるのかすら、議論が別れている。我々はこの課題の解明のために冬季北陸における地上ガンマ線観測GROWTH実験に参加し、2022年度より新型の指向性チェレンコフ検出器を冬季に石川県金沢市内に設置して、TGFの観測を始めた。指向性チェレンコフ検出器は我々が2022年から開発している新型検出器で、アクリルロッド中でガンマ線がコンプトン散乱し、放出されるチェレンコフ光の指向性を利用している。このロッド4本を組み合わせて一つの検出器とし、ロッドの両端の光センサで読み出し、そのカウント数の比からガンマ線の到来方向を弁別して、到来方向を推定する。2024 年度はいしかわこども交流センター時計台、石川県警察学校、金沢大学自然科学 5 号館屋上、未来のまち創造館屋上の4地点に設置した。
本解析では、2024年度の冬季に金沢市内の4地点に設置した4台の指向性チェレンコフ検出器と岐阜大の低周波電波アレイFALMA(Fast Antenna Lightning Mapping Array)のデータを用いた。
本講演では2024年11月29日4時27分ごろに観測された下向きTGFの加速域の解析結果を報告する。このイベントは4台全てのチェレンコフ検出器で検出された。この到来方向はFALMAから得られた放電位置と一致していた。放電位置から距離が約1.2 kmから約3.7 kmの範囲にわたり、全ての検出器で〜30 μs 程度のTGFの全景を捉え、各地点での強度を計測できた。解析結果から、加速域の高度が1 - 2 kmであり、TGFが雷雲中の負電荷帯の中、もしくはその直下で発生した可能性を示す世界初の観測結果である。TGF の発生場所として、Dwyer が提唱する relativistic feedback モデルでは TGF の起源となる強電場域は雲中の負電荷帯の内部とされ(Dwyer 2025)、また別の考え方として地上に向かう stepped leader の先端から放射されるモデルも検討されてきた(Celestin et al. 2011 JGR)。我々の観測結果は前者の予想と概ね一致した。そして、観測結果と理論モデル(Dwyer 2017)の比較から加速域の電場が曲率を持っていることが判明した。
本解析では、2024年度の冬季に金沢市内の4地点に設置した4台の指向性チェレンコフ検出器と岐阜大の低周波電波アレイFALMA(Fast Antenna Lightning Mapping Array)のデータを用いた。
本講演では2024年11月29日4時27分ごろに観測された下向きTGFの加速域の解析結果を報告する。このイベントは4台全てのチェレンコフ検出器で検出された。この到来方向はFALMAから得られた放電位置と一致していた。放電位置から距離が約1.2 kmから約3.7 kmの範囲にわたり、全ての検出器で〜30 μs 程度のTGFの全景を捉え、各地点での強度を計測できた。解析結果から、加速域の高度が1 - 2 kmであり、TGFが雷雲中の負電荷帯の中、もしくはその直下で発生した可能性を示す世界初の観測結果である。TGF の発生場所として、Dwyer が提唱する relativistic feedback モデルでは TGF の起源となる強電場域は雲中の負電荷帯の内部とされ(Dwyer 2025)、また別の考え方として地上に向かう stepped leader の先端から放射されるモデルも検討されてきた(Celestin et al. 2011 JGR)。我々の観測結果は前者の予想と概ね一致した。そして、観測結果と理論モデル(Dwyer 2017)の比較から加速域の電場が曲率を持っていることが判明した。