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[MIS20-01] ノンライザー掘削で発生した掘削屑による再堆積層分布:日本海酒田沖及び上越沖表層型メタンハイドレート胚胎域での例
キーワード:表層型メタンハイドレート、掘削影響調査、再堆積層分布、酒田沖日本海、上越沖日本海、地球深部探査船「ちきゅう」
産総研では、表層型メタンハイドレート(MH)の開発に向けた海底地質・地球物理探査及び海域環境調査を2013年から実施している。表層型メタンハイドレートは海底面下の比較的浅い未固結堆積物中に賦存していることから、回収・生産方法として直接堆積物を掘削する手法が提案されているが、海底掘削の際に発生する掘削屑が掘削坑の周辺に拡散することによる海底環境への影響が懸念されるため,どのような影響があるかを把握することが求められている。2022年及び2023年に地球深部探査船「ちきゅう」(JAMSTEC)を用いて行われた表層型メタンハイドレート胚胎域での海底地盤強度把握のための掘削調査(佐藤ほか、JpGU2024 MIS22-03)を表層型メタンハイドレート回収・生産のための掘削を模擬するものと考えて、掘削直前と掘削直後及び1〜2年後に実施した海底調査結果を比較することにより、周辺海底への影響の評価を行った。このうち本発表では、評価にあたり基礎的なデータとなる「掘削屑による再堆積層分布」について報告する。
掘削影響調査の対象としたのは、CK22-03C調査航海(2022年9月)の4坑(上越海丘2坑、海鷹海脚2坑)とCK23-02C調査航海(2023年8月)の3坑(酒田海丘2坑,上越海丘1坑)の計6地点7坑で、いずれもノンライザー掘削でケーシングを使用していない。掘削深度は、酒田海丘胚胎地点(SK-MH;水深532.5m)及び酒田海丘参照地点(SK-RE;水深556.0m)ではともに海底下160m、上越海丘胚胎地点(JK-MH;水深981m)では海底下155m、上越海丘参照地点(JK-RE;水深984m)の2坑では海底下144m及び200m、海鷹海脚北部胚胎地点(UTN-MH;水深916m)では海底下122m、海鷹海脚北部参照地点(UTN-RE;水深925m)では144mであった。
掘削屑による再堆積層の認定には、次の手法とデータを使用した。3海域の胚胎地点(SK-MH、JK-MH、UTN-MH)では、ホバリング型AUV「YOUZAN」(いであ(株))を用いて取得した海底画像により再堆積層の分布範囲を認定した。SK-MHでは、ROV「KAIYO3000」(海洋エンジニアリング(株))を用いて取得した音響探査(MBES、SSS、SBP)データも併せて使用した。SK-MH及びJK-MHでは、ROV「はくよう3000」(深田サルベージ建設(株))を用いて取得したプッシュコアにより再堆積層の厚さの推定を行った。上越海丘及び海鷹海脚北部の参照地点(JK-RE及びUTN-RE)では、航走型AUV「Deep1」(深田サルベージ建設(株))を用いて取得したSSSモザイク画像から再堆積層の分布を推定した。これら6地点周辺の海底地形は、「Deep1」による音響探査(MBES)より作成した詳細海底地形データ(グリッド間隔1〜2m)を使用した。
SK-MHでは、掘削坑の東側から北東側では幅広く50m遠方まで、西側では細長く80m遠方まで、再堆積層の分布が認められ、いずれも地形の低い部分に沿って分布していた。掘削坑から約15m離れた地点での再堆積層の厚さは5〜7cmであった。掘削直後に実施したSBP探査では再堆積層を検出できなかったことから厚さは検出分解能(約20cm)以下だと考えられ、プッシュコアでの認定と整合的である。JK-MHでは、掘削坑の南西側に約30m離れた地点まで再堆積層の分布が認められ、ここでも地形が低い部分に向かって分布していると考えられた。掘削坑から約15m離れた地点でのプッシュコアでは、再堆積層の厚さは5〜7cmであった。UTN-MHでは、掘削坑の北東側と南西側の地形が低い部分に向かって細長く再堆積層の分布が認められ、南西側では掘削坑から約30mの地点まで、北東側では少なくとも20mの地点まで達していることがわかった。JK-RE及びUTN-REでは、SSSモザイク画像上で掘削坑の周辺に周囲より後方散乱強度の強い部分が認められ、それぞれ直径約26m、約18mの円形分布をしている。両参照地点は起伏が少なく緩やかな斜面上に位置しているため、地形の影響を受けずに掘削坑の周囲に掘削屑が円形に拡散したものと考えられる。これらの結果をまとめると、1)掘削により発生した掘削屑は、地形の起伏がある地点では地形が低い方に向かって分布し、起伏がない地点では掘削坑の周囲に円形で分布している、2)再堆積層の到達距離は、最大で約80mである、3)再堆積層の厚さは掘削坑から15m離れた地点で5〜7cm程度である、ということがわかり、掘削による周辺海底への影響を評価するための基礎的なデータを取得できたと考えている。
本研究は、経済産業省のメタンハイドレート研究開発事業の一部として実施した。
掘削影響調査の対象としたのは、CK22-03C調査航海(2022年9月)の4坑(上越海丘2坑、海鷹海脚2坑)とCK23-02C調査航海(2023年8月)の3坑(酒田海丘2坑,上越海丘1坑)の計6地点7坑で、いずれもノンライザー掘削でケーシングを使用していない。掘削深度は、酒田海丘胚胎地点(SK-MH;水深532.5m)及び酒田海丘参照地点(SK-RE;水深556.0m)ではともに海底下160m、上越海丘胚胎地点(JK-MH;水深981m)では海底下155m、上越海丘参照地点(JK-RE;水深984m)の2坑では海底下144m及び200m、海鷹海脚北部胚胎地点(UTN-MH;水深916m)では海底下122m、海鷹海脚北部参照地点(UTN-RE;水深925m)では144mであった。
掘削屑による再堆積層の認定には、次の手法とデータを使用した。3海域の胚胎地点(SK-MH、JK-MH、UTN-MH)では、ホバリング型AUV「YOUZAN」(いであ(株))を用いて取得した海底画像により再堆積層の分布範囲を認定した。SK-MHでは、ROV「KAIYO3000」(海洋エンジニアリング(株))を用いて取得した音響探査(MBES、SSS、SBP)データも併せて使用した。SK-MH及びJK-MHでは、ROV「はくよう3000」(深田サルベージ建設(株))を用いて取得したプッシュコアにより再堆積層の厚さの推定を行った。上越海丘及び海鷹海脚北部の参照地点(JK-RE及びUTN-RE)では、航走型AUV「Deep1」(深田サルベージ建設(株))を用いて取得したSSSモザイク画像から再堆積層の分布を推定した。これら6地点周辺の海底地形は、「Deep1」による音響探査(MBES)より作成した詳細海底地形データ(グリッド間隔1〜2m)を使用した。
SK-MHでは、掘削坑の東側から北東側では幅広く50m遠方まで、西側では細長く80m遠方まで、再堆積層の分布が認められ、いずれも地形の低い部分に沿って分布していた。掘削坑から約15m離れた地点での再堆積層の厚さは5〜7cmであった。掘削直後に実施したSBP探査では再堆積層を検出できなかったことから厚さは検出分解能(約20cm)以下だと考えられ、プッシュコアでの認定と整合的である。JK-MHでは、掘削坑の南西側に約30m離れた地点まで再堆積層の分布が認められ、ここでも地形が低い部分に向かって分布していると考えられた。掘削坑から約15m離れた地点でのプッシュコアでは、再堆積層の厚さは5〜7cmであった。UTN-MHでは、掘削坑の北東側と南西側の地形が低い部分に向かって細長く再堆積層の分布が認められ、南西側では掘削坑から約30mの地点まで、北東側では少なくとも20mの地点まで達していることがわかった。JK-RE及びUTN-REでは、SSSモザイク画像上で掘削坑の周辺に周囲より後方散乱強度の強い部分が認められ、それぞれ直径約26m、約18mの円形分布をしている。両参照地点は起伏が少なく緩やかな斜面上に位置しているため、地形の影響を受けずに掘削坑の周囲に掘削屑が円形に拡散したものと考えられる。これらの結果をまとめると、1)掘削により発生した掘削屑は、地形の起伏がある地点では地形が低い方に向かって分布し、起伏がない地点では掘削坑の周囲に円形で分布している、2)再堆積層の到達距離は、最大で約80mである、3)再堆積層の厚さは掘削坑から15m離れた地点で5〜7cm程度である、ということがわかり、掘削による周辺海底への影響を評価するための基礎的なデータを取得できたと考えている。
本研究は、経済産業省のメタンハイドレート研究開発事業の一部として実施した。