14:15 〜 14:30
[MIS20-02] 表層型メタンハイドレートが賦存する上越沖海鷹海脚中部マウンドの2013―2024の地形変化
キーワード:上越沖、海鷹海脚、表層型メタンハイドレート、地形変化、ポックマーク、AUV
概 要
表層型メタンハイドレート(MH)の賦存が確認されている上越沖海鷹海脚中部のマウンド上で,自律型海中探査ロボット(AUV)を用いた音響探査(2013および2024年)と無人遠隔操作ロボット(ROV)と高分解能三次元画像マッピングシステム「SeaXerocks1」を用いた高分解能海底三次元画像マッピング(2021年)を実施した.海鷹海脚は日本海東縁の陸棚から沖合へ向かって北方へ伸びる,東西に非対称な形状を呈する高まりである.海鷹海脚中部西側斜面に近い水深900 m付近には,一つの大きなポックマーク(すり鉢状の窪地)に二つのマウンドが近接する特徴的な地形がある.このマウンドにおける2013年にAUVを用いて取得した地形データと2021年ROVを用いて取得した地形データの比較を昨年度のJpGUポスターで,少なくとも4箇所で地形パターンが明瞭に変化していることを発表した.今回はこれに加えて,2024年8月に新たにAUVを用いて取得した地形データの比較を示す.2024年1月1日に発生した能登半島地震後に取得した詳細な地形データは,2021年ROVを用いて取得した地形データからの明瞭な差異が示されなかった.
音響マッピングおよび海底状況観察のデータ取得概要
2013年と2024年に実施したAUV Deep1(深田サルベージ建設株式会社)を用いた音響マッピングでは,マルチビーム測深器とサイドスキャンソナーおよびサブボトムプロファイラーシステムを使用した.AUVは海底からの高さ約25mを速度約3ノット(約5.5km/h)で航行した.これらはAUV測位位置誤差を勘案し、隣り合う測線間で重複する地形データの相関による「地形相関」と呼ぶ位置補正(Asada et al., 2024, NSGE extended abst.)を施したあとに求めた分解能0.5 mの地形データから,ともにグリッド間隔1.0 mの地形データを作成し作図に用いた.海底面の3次元イメージングとレーザー測量をするSeaXerocks1は、ROV Kaiyo3000(海洋エンジニアリング株式会社)下部スキッドに艤装して2021年に実施した.SeaXerocks1は速度約0.2〜0.5ノットで高度 4〜5 mから海底を見下ろすようにして,静止画像を毎秒約16枚の静止画像とレーザースキャニングを用いた微細地形を取得した.静止画像には歪み補正と色調補正を施し,ROVとレーザースキャニングによる位置情報を統合した位置情報を各画素に与え,海底面の地形変化と色と位置情報を持つ3次元点群データに変換した.静止画像のカタログ分解能は測線直交方向に約2 mm(画素数に相当)× 測線方向に数十cm(ROV航行速度と静止画像取得数による)で,取得時の状況と各種補正により分解能が低くなる.SeaXerocks1取得の地形データはグリッド間隔0.2 mで作成し作図に用いた.
観察結果
海鷹海脚中部のポックマークは正円に近い形状をしており直径約500 mで,深さが約20 mある.ポックマークの縁に食い込むようにして,すぐ北側に長径および短径が200~250 mで雫型の北マウンドが,北西に長径および短径が250~300 mで楕円に近い西マウンドが,それぞれ周辺の海底から5~15 mの高さをもって存在する.その上面は凹凸があるが高さ変化が少ない.両マウンドは独立して存在している.SeaXerocks1で取得した地形データは櫛状に抜けているものの,局地的な凹地や高まりの配置をよく表現しており,2013年から2021年の間に少なくとも4か所で明瞭な地形パターンの変化があったことを示した.2013年と2024年に取得した地形データを比較したところ,その差異はおよそ2013年と2021年取得データ間で差異が見られた箇所と合致していた.2024年1月1日に発生した能登半島沖地震は周辺海域の海底にも擾乱をもたらしたことが指摘されている(海上保安庁海洋情報部地震調査委員会・地震予知連絡会提出資料他).海鷹海脚を含む上越沖海域は,能登半島周辺海域に富山深海長谷を挟んで隣接しており,対象としているマウンドでも影響がある可能性を想定したが,海鷹海脚上の表層型MH賦存がある箇所では2024年1月1日能登半島沖地震の影響が顕著な地形変化を生じさせなかったと言える.他方,北マウンドで全体的に1 m以下程度の水深の浅化が,またポックマーク底では同程度の深化が示唆された一方で,西マウンドには水深変化が示唆されなかった.このような微細な水深の差異に言及するには,AUVに搭載したMBESの垂直分解能を精査する必要がある.
謝 辞
本研究は経済産業省のメタンハイドレート研究開発事業の一部として実施した.
表層型メタンハイドレート(MH)の賦存が確認されている上越沖海鷹海脚中部のマウンド上で,自律型海中探査ロボット(AUV)を用いた音響探査(2013および2024年)と無人遠隔操作ロボット(ROV)と高分解能三次元画像マッピングシステム「SeaXerocks1」を用いた高分解能海底三次元画像マッピング(2021年)を実施した.海鷹海脚は日本海東縁の陸棚から沖合へ向かって北方へ伸びる,東西に非対称な形状を呈する高まりである.海鷹海脚中部西側斜面に近い水深900 m付近には,一つの大きなポックマーク(すり鉢状の窪地)に二つのマウンドが近接する特徴的な地形がある.このマウンドにおける2013年にAUVを用いて取得した地形データと2021年ROVを用いて取得した地形データの比較を昨年度のJpGUポスターで,少なくとも4箇所で地形パターンが明瞭に変化していることを発表した.今回はこれに加えて,2024年8月に新たにAUVを用いて取得した地形データの比較を示す.2024年1月1日に発生した能登半島地震後に取得した詳細な地形データは,2021年ROVを用いて取得した地形データからの明瞭な差異が示されなかった.
音響マッピングおよび海底状況観察のデータ取得概要
2013年と2024年に実施したAUV Deep1(深田サルベージ建設株式会社)を用いた音響マッピングでは,マルチビーム測深器とサイドスキャンソナーおよびサブボトムプロファイラーシステムを使用した.AUVは海底からの高さ約25mを速度約3ノット(約5.5km/h)で航行した.これらはAUV測位位置誤差を勘案し、隣り合う測線間で重複する地形データの相関による「地形相関」と呼ぶ位置補正(Asada et al., 2024, NSGE extended abst.)を施したあとに求めた分解能0.5 mの地形データから,ともにグリッド間隔1.0 mの地形データを作成し作図に用いた.海底面の3次元イメージングとレーザー測量をするSeaXerocks1は、ROV Kaiyo3000(海洋エンジニアリング株式会社)下部スキッドに艤装して2021年に実施した.SeaXerocks1は速度約0.2〜0.5ノットで高度 4〜5 mから海底を見下ろすようにして,静止画像を毎秒約16枚の静止画像とレーザースキャニングを用いた微細地形を取得した.静止画像には歪み補正と色調補正を施し,ROVとレーザースキャニングによる位置情報を統合した位置情報を各画素に与え,海底面の地形変化と色と位置情報を持つ3次元点群データに変換した.静止画像のカタログ分解能は測線直交方向に約2 mm(画素数に相当)× 測線方向に数十cm(ROV航行速度と静止画像取得数による)で,取得時の状況と各種補正により分解能が低くなる.SeaXerocks1取得の地形データはグリッド間隔0.2 mで作成し作図に用いた.
観察結果
海鷹海脚中部のポックマークは正円に近い形状をしており直径約500 mで,深さが約20 mある.ポックマークの縁に食い込むようにして,すぐ北側に長径および短径が200~250 mで雫型の北マウンドが,北西に長径および短径が250~300 mで楕円に近い西マウンドが,それぞれ周辺の海底から5~15 mの高さをもって存在する.その上面は凹凸があるが高さ変化が少ない.両マウンドは独立して存在している.SeaXerocks1で取得した地形データは櫛状に抜けているものの,局地的な凹地や高まりの配置をよく表現しており,2013年から2021年の間に少なくとも4か所で明瞭な地形パターンの変化があったことを示した.2013年と2024年に取得した地形データを比較したところ,その差異はおよそ2013年と2021年取得データ間で差異が見られた箇所と合致していた.2024年1月1日に発生した能登半島沖地震は周辺海域の海底にも擾乱をもたらしたことが指摘されている(海上保安庁海洋情報部地震調査委員会・地震予知連絡会提出資料他).海鷹海脚を含む上越沖海域は,能登半島周辺海域に富山深海長谷を挟んで隣接しており,対象としているマウンドでも影響がある可能性を想定したが,海鷹海脚上の表層型MH賦存がある箇所では2024年1月1日能登半島沖地震の影響が顕著な地形変化を生じさせなかったと言える.他方,北マウンドで全体的に1 m以下程度の水深の浅化が,またポックマーク底では同程度の深化が示唆された一方で,西マウンドには水深変化が示唆されなかった.このような微細な水深の差異に言及するには,AUVに搭載したMBESの垂直分解能を精査する必要がある.
謝 辞
本研究は経済産業省のメタンハイドレート研究開発事業の一部として実施した.