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[MIS22-04] 安定・放射性炭素同位体比を用いた琵琶湖の深水層酸素消費の原因となる有機物の起源推定
キーワード:琵琶湖、貧酸素化、深水層、沈降粒子、放射性炭素
温暖化による密度成層の強化により、湖沼や内湾の深水層では成層期の溶存酸素濃度(DO)の低下が問題となっている。琵琶湖では深水層での貧酸素化が年々進行しており、貧酸素化に伴う生態系への影響が懸念されている。本研究では、有機物の起源(水柱生産vs陸源等)を反映する安定炭素同位体比(δ13C)と放射性炭素同位体比(Δ14C)をトレーサとして、琵琶湖深水層の酸素消費の原因となる有機物の起源推定を試みた。酸素消費に起因する炭素同位体比の変動を調べるため、2024年5月から2025年3月にかけて、琵琶湖北湖今津沖中央(最大水深約89m)にて、鉛直8水深の溶存無機炭素(DIC)濃度とDICの炭素同位体比(δ13CDICとΔ14CDIC)を毎月測定した。また、同時期の季節ごとに湖底堆積物の酸素消費実験を行い、実験前後の堆積物直上水のDO、DIC、δ13CDIC、Δ14CDICの変化を基にマスバランスモデルを解くことで、堆積物の酸素消費で利用された有機物の起源を推定した。琵琶湖を循環する有機物の季節変化を捉えるため、今津沖中央水深60mに係留した時系列式セディメントトラップで捕捉された沈降粒子を3つの粒度で分画し、粒子態有機物(POC)の炭素同位体比(δ13CPOCとΔ14CPOC)を測定した。また、過去に堆積した有機物による酸素消費の可能性(レガシー効果)を検証するため、鉛直方向に切り分けた堆積物コアのδ13CPOCとΔ14CPOCを測定した。深水層の酸素消費に利用された有機物は各季節で変化し、春には湖内で生産されたプランクトン(自生性有機物)が卓越していたが、夏~秋には陸域起源の古い異地性有機物が重要な成分となっていたことが示唆された。また、酸素消費の原因と推定された有機物の炭素同位体比が、同時期の沈降粒子の値と類似していたことから、琵琶湖深水層での酸素消費は主に同季節に沈降した粒子に起因していたことが示唆された。