14:45 〜 15:00
[MIS22-05] 溶存有機物の炭素安定同位体比を決定づける光分解

キーワード:海洋溶存有機物、安定同位体、光分解
海洋に存在する溶存有機物(DOM)の95%以上は生物学的に難分解であり、地球表層における最大級の還元型炭素プールを構成する。海洋DOMの起源は、炭素安定同位体比(δ13C値)および維管束植物のバイオマーカであるリグニンフェノール濃度から、大元は海洋植物プランクトンが生成した自生性の有機物と考えられている。しかし、河川により供給される陸起源DOMのδ13C値は、太陽光によるDOMの光分解に伴い上昇し、海洋DOMのδ13C値に近づくことが報告されている。すなわち、海洋DOMの起源を正しく理解するには、光分解による陸起源DOMのδ13C値変化のメカニズムを明らかにし、δ13C値を用いた海洋DOMの起源推定を再評価する必要がある。
本研究では、International Humic Substances Society(IHSS)が分離・精製した標準物質(スワニー川フルボ酸および天然有機物、ミシシッピ川上流天然有機物)、雨竜川および石狩川上流、南部オホーツク海深層(1000 m)で採取・固相抽出したDOMを、最大で90日間、自然太陽光に照射する実験を行なった。太陽光照射前後に溶存有機炭素(DOC)濃度、350 nmにおける吸収係数(a350)、δ13C値の変化を測定し、DOMの光分解に伴うδ13C値の変化メカニズムを評価した。
IHSS標準物質および河川水DOMの太陽光照射前のδ13C値は-28.4‰~-26.7‰であり、河川水に含まれる陸性DOM(土壌由来)の一般的な値であった。太陽光照射により、IHSS標準物質および河川水DOMのDOC濃度は17.2%~65.7%減少し、a350は82.4%~98.9%減少したのに対し、δ13C値は1.5‰~5.3‰増加した。一方、南部オホーツク海深層DOMの太陽光照射前のδ13C値は-21.8‰であり、海洋自生性DOMの一般的な値であった。太陽光照射により海洋DOMのDOC濃度は13.3%減少し、a350は84.3%減少した。興味深いことに、陸性DOMと同様、海洋DOMのδ13C値は1.2‰増加した。
太陽光照射に伴うDOC濃度の減少は、起源に関係なく全てのサンプルにおいて一次反応で表現することができた。また、δ13Cの変化についても起源に関係なく全てのサンプルにおいて、一成分系の動的同位体分別を考慮したレイリーモデルの式で表現することができ、さらにその同位体分別係数は比較的狭い範囲(0.9913~0.9957)であった。これらのことから、DOMの光分解に伴って動的同位体分別が起きている可能性が高いことが示唆された。また、陸起源DOCが光分解によって73%程度分解すると、そのδ13C値は、海洋DOCの平均的なδ13C値と同等の値になると見積もられ、海洋DOC中の陸起源成分の比率は現在考えられているよりもかなり大きい可能性があることが示された。
本研究では、International Humic Substances Society(IHSS)が分離・精製した標準物質(スワニー川フルボ酸および天然有機物、ミシシッピ川上流天然有機物)、雨竜川および石狩川上流、南部オホーツク海深層(1000 m)で採取・固相抽出したDOMを、最大で90日間、自然太陽光に照射する実験を行なった。太陽光照射前後に溶存有機炭素(DOC)濃度、350 nmにおける吸収係数(a350)、δ13C値の変化を測定し、DOMの光分解に伴うδ13C値の変化メカニズムを評価した。
IHSS標準物質および河川水DOMの太陽光照射前のδ13C値は-28.4‰~-26.7‰であり、河川水に含まれる陸性DOM(土壌由来)の一般的な値であった。太陽光照射により、IHSS標準物質および河川水DOMのDOC濃度は17.2%~65.7%減少し、a350は82.4%~98.9%減少したのに対し、δ13C値は1.5‰~5.3‰増加した。一方、南部オホーツク海深層DOMの太陽光照射前のδ13C値は-21.8‰であり、海洋自生性DOMの一般的な値であった。太陽光照射により海洋DOMのDOC濃度は13.3%減少し、a350は84.3%減少した。興味深いことに、陸性DOMと同様、海洋DOMのδ13C値は1.2‰増加した。
太陽光照射に伴うDOC濃度の減少は、起源に関係なく全てのサンプルにおいて一次反応で表現することができた。また、δ13Cの変化についても起源に関係なく全てのサンプルにおいて、一成分系の動的同位体分別を考慮したレイリーモデルの式で表現することができ、さらにその同位体分別係数は比較的狭い範囲(0.9913~0.9957)であった。これらのことから、DOMの光分解に伴って動的同位体分別が起きている可能性が高いことが示唆された。また、陸起源DOCが光分解によって73%程度分解すると、そのδ13C値は、海洋DOCの平均的なδ13C値と同等の値になると見積もられ、海洋DOC中の陸起源成分の比率は現在考えられているよりもかなり大きい可能性があることが示された。