17:15 〜 19:15
[MIS22-P06] 山形県内の強酸性及び強アルカリ性温泉に生息する珪藻

キーワード:珪藻、温泉、強酸性、強アルカリ性
珪藻はあらゆる水域に生息する微細藻類で、強酸性水域や強アルカリ性水域にも生息している。一般に、強酸性の湖沼では珪藻が利用できるシリカの濃度が低く、強アルカリ性の湖沼では珪藻のバルブが分解されやすい(渡辺 1985)。しかしながら、そのような環境でも生息できる珪藻種もいる。一方で水素イオン濃度(pH)が珪藻に与える影響については、Hustedt.(1937-1939)を始めとした多くの研究が知られている。渡辺(2005)では、珪藻を種ごとに真酸性種、好酸性種、中性種、好アルカリ性種、真アルカリ性種の5つに分類を行った。
そこで本研究では、山形県の蔵王温泉(pH=1.52〜1.93)と湯舟沢温泉(pH=9.35〜9.93)の強酸性水域と強アルカリ性水域の珪藻を調査した。泉質は、蔵王温泉が酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉で、湯舟沢温泉が単純硫黄冷鉱泉である。
サンプリング調査は2024年の2月(冬)、5月(春)、8月と9月(夏)、10月(秋)の季節ごとに実施した。なお、湯舟沢温泉は夏のpHが中性であったため2回実施した。採取したサンプルは光学顕微で形態観察を行い、季節ごとの生態系変化を数値化した。蔵王温泉の結果は、先行研究(Jordan2001)と比較を行った。湯舟沢温泉は先行研究がなかったため、他の強アルカリ性温泉の先行研究と比較を行った。
Jordan(2001)は、蔵王温泉において2属3種の珪藻を報告しており、Pinnularia acidojaponicaが優占種として現れ、次いでPinnularia acoricola, Fragilaria sp.の順で確認された。(Fragilaria sp.は本研究で確認されなかった。) 今回の調査では、新たに3属4種(Eunotia exigua, Aulacoseira sp., Pinnularia borealis, Nitzschia amplectens, Melosira sp.)が確認された。
一方で強酸性水域の湯舟沢温泉では、19 属28種の珪藻が確認された。夏以外の高pH時の優占種はAchnanthes minutissimaで、Navicula venetaが二番目の優占種として現れた。また高pHではMeridion circulareも僅かに確認された。しかし夏のpHが中性の時はM. circulareが優占種で、A. minutissimaは僅かであった。湯船沢温泉の高pHで確認された珪藻のほとんどは夏の中性pHでも確認した。そして夏から出現した種は秋に消失した。また他の強アルカリ性温泉との比較の結果、オソウシ温泉(Tsuji 1995)pH= 10.0~ 10.4やネブタ温泉(Watanabe&Asai 1995)pH= 10.1 でもA.minutissimaが優占種として確認されていた。湯舟沢温泉と同じ単純硫黄冷鉱泉であるオソウシ温泉は、単純アルカリ温泉のネブタ温泉よりも共通した種(N.venetaやM.circulare)などが現れていた。
本研究の結果から蔵王温泉で新たに発見された浮遊性珪藻は、本研究サンプリング時の温泉の水量がJordan 2001よりも増加したためであろうと考察する。またP.acidojaponicaとP.acoricolaは、どちらもpH= 4.0 以下の強酸性水域で優占種としてよく現れるが、P.acidojaponicaの方がP.acoricolaよりも熱水やpHに対する耐性が強いと明らかになった。なお、未同定のMelosira sp.属は新種の可能性があるため、今後、電子線走査型顕微鏡(SEM)による微細組織の観察による同定が必要である。
一方湯船沢温泉の結果から、強アルカリ性に強い耐性を持つ珪藻は、一時的な中性にも耐えられることや一時的なpHの変化でも珪藻の群集変化に与える影響は大きいと考えられる。
そこで本研究では、山形県の蔵王温泉(pH=1.52〜1.93)と湯舟沢温泉(pH=9.35〜9.93)の強酸性水域と強アルカリ性水域の珪藻を調査した。泉質は、蔵王温泉が酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉で、湯舟沢温泉が単純硫黄冷鉱泉である。
サンプリング調査は2024年の2月(冬)、5月(春)、8月と9月(夏)、10月(秋)の季節ごとに実施した。なお、湯舟沢温泉は夏のpHが中性であったため2回実施した。採取したサンプルは光学顕微で形態観察を行い、季節ごとの生態系変化を数値化した。蔵王温泉の結果は、先行研究(Jordan2001)と比較を行った。湯舟沢温泉は先行研究がなかったため、他の強アルカリ性温泉の先行研究と比較を行った。
Jordan(2001)は、蔵王温泉において2属3種の珪藻を報告しており、Pinnularia acidojaponicaが優占種として現れ、次いでPinnularia acoricola, Fragilaria sp.の順で確認された。(Fragilaria sp.は本研究で確認されなかった。) 今回の調査では、新たに3属4種(Eunotia exigua, Aulacoseira sp., Pinnularia borealis, Nitzschia amplectens, Melosira sp.)が確認された。
一方で強酸性水域の湯舟沢温泉では、19 属28種の珪藻が確認された。夏以外の高pH時の優占種はAchnanthes minutissimaで、Navicula venetaが二番目の優占種として現れた。また高pHではMeridion circulareも僅かに確認された。しかし夏のpHが中性の時はM. circulareが優占種で、A. minutissimaは僅かであった。湯船沢温泉の高pHで確認された珪藻のほとんどは夏の中性pHでも確認した。そして夏から出現した種は秋に消失した。また他の強アルカリ性温泉との比較の結果、オソウシ温泉(Tsuji 1995)pH= 10.0~ 10.4やネブタ温泉(Watanabe&Asai 1995)pH= 10.1 でもA.minutissimaが優占種として確認されていた。湯舟沢温泉と同じ単純硫黄冷鉱泉であるオソウシ温泉は、単純アルカリ温泉のネブタ温泉よりも共通した種(N.venetaやM.circulare)などが現れていた。
本研究の結果から蔵王温泉で新たに発見された浮遊性珪藻は、本研究サンプリング時の温泉の水量がJordan 2001よりも増加したためであろうと考察する。またP.acidojaponicaとP.acoricolaは、どちらもpH= 4.0 以下の強酸性水域で優占種としてよく現れるが、P.acidojaponicaの方がP.acoricolaよりも熱水やpHに対する耐性が強いと明らかになった。なお、未同定のMelosira sp.属は新種の可能性があるため、今後、電子線走査型顕微鏡(SEM)による微細組織の観察による同定が必要である。
一方湯船沢温泉の結果から、強アルカリ性に強い耐性を持つ珪藻は、一時的な中性にも耐えられることや一時的なpHの変化でも珪藻の群集変化に与える影響は大きいと考えられる。