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[MIS22-P10] 土壌細菌による大気中水素酸化における水素同位体効果の測定
キーワード:土壌吸収、水素酸化細菌、水素同位体分別
水素(H2)は大気中に約530 ppbの濃度で存在し,大気中の炭化水素の酸化,燃焼に伴う生成,および微生物過程からなる発生源と,土壌微生物による吸収および大気中の酸化分解による消滅とが釣り合うことでほぼ一定に保たれていると考えられている。しかし,今後化石燃料の代替エネルギーとしてH2の利用が進むと生産,輸送,貯蔵および消費の過程で大気への漏洩が予想され, H2濃度が増加して大気化学反応系へ影響を及ぼし,間接的に地球温暖化を助長する可能性が指摘されている。また,H2の発生源や消滅過程の寄与率の推定誤差は特に微生物過程に関して大きく,将来の気候変動が微生物過程にどのような影響を及ぼすかについての知見は存在しない。
H2消滅過程の約80%を占める土壌によるH2吸収量は観測や模擬実験に基づいて推定されているが,土壌ではH2放出と吸収の両方が起きていることや,それらがさまざまな環境要因の影響を受けることなどが,不確実性が大きい原因となっている。よって起源物質と生成反応,および消滅反応の機構と進行度に応じて特徴的な値を示す安定同位体比の利用が有効である。既往研究ではH2の土壌吸収における同位体効果を生成の影響を補正して推定しており,物理的な拡散と生物学的な酸化における同位体効果の区別もできていない。そこで本研究では,土壌由来の微生物を純粋培養してH2酸化過程の同位体効果を明らかにすることを目的とした。
高親和性水素酸化細菌であるStreptomyces avermitilisを寒天培地で培養し,培養中に経時的に気体試料を採取できる実験系を構築した。S. avermitilisは大気中濃度レベルのH2を酸化することが可能であるが,試料中のH2濃度および同位体比の測定を簡便に行うため200 ppmのH2を含む空気(大気圧)中25℃で培養し,経時的に気体試料を1mLずつ採取した。試料に含まれるH2をMolSieveキャピラリーカラムを利用した低温濃縮ループで濃縮し,GC(Carboxen-1010PLOTカラム)で精製したのち同位体比質量分析計に導入し,H2濃度(ピーク面積)および同位体比(参照ガスに対する相対値)を得た。予察的な3~20時間の培養実験において,H2濃度の減少と同位体比の増加が観測されたので,Rayleighの式にあてはめることにより同位体分別係数(α)を求めた。得られたαの値は既往研究で推定された値よりも小さかった(大きな同位体効果に対応)が、2回の実験で大きく異なる結果となったため,その原因も含めて議論する。
H2消滅過程の約80%を占める土壌によるH2吸収量は観測や模擬実験に基づいて推定されているが,土壌ではH2放出と吸収の両方が起きていることや,それらがさまざまな環境要因の影響を受けることなどが,不確実性が大きい原因となっている。よって起源物質と生成反応,および消滅反応の機構と進行度に応じて特徴的な値を示す安定同位体比の利用が有効である。既往研究ではH2の土壌吸収における同位体効果を生成の影響を補正して推定しており,物理的な拡散と生物学的な酸化における同位体効果の区別もできていない。そこで本研究では,土壌由来の微生物を純粋培養してH2酸化過程の同位体効果を明らかにすることを目的とした。
高親和性水素酸化細菌であるStreptomyces avermitilisを寒天培地で培養し,培養中に経時的に気体試料を採取できる実験系を構築した。S. avermitilisは大気中濃度レベルのH2を酸化することが可能であるが,試料中のH2濃度および同位体比の測定を簡便に行うため200 ppmのH2を含む空気(大気圧)中25℃で培養し,経時的に気体試料を1mLずつ採取した。試料に含まれるH2をMolSieveキャピラリーカラムを利用した低温濃縮ループで濃縮し,GC(Carboxen-1010PLOTカラム)で精製したのち同位体比質量分析計に導入し,H2濃度(ピーク面積)および同位体比(参照ガスに対する相対値)を得た。予察的な3~20時間の培養実験において,H2濃度の減少と同位体比の増加が観測されたので,Rayleighの式にあてはめることにより同位体分別係数(α)を求めた。得られたαの値は既往研究で推定された値よりも小さかった(大きな同位体効果に対応)が、2回の実験で大きく異なる結果となったため,その原因も含めて議論する。