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[MIS23-P07] ボーリングコアのX線CT画像解析による付加コンプレックスの岩相および破砕性状評価の試み
キーワード:ボーリングコア、X線CT、新第三紀堆積岩、付加コンプレックス、ImageJ
付加コンプレックスを対象とした大深度ボーリング孔で得られたボーリングコアのX線CT画像から,コアの深度方向の密度変化,直径の変化,割れ目頻度,破砕・変形構造の変化を定量的に評価するための解析を行った。コアを採取した地域の地質は,新第三紀の堆積岩類(葉山層群)であり,陸上に露出している中では最も新しい時代に属する付加コンプレックスである(高橋,2008など)。ボーリングコアの目視観察では,コアは凝灰岩類をパッチ状・塊状に含む泥岩を主体とし,小規模な断層ガウジや断層角礫を伴う断層が認められるものの,明瞭な地層境界と判断される構造は認められず,コアの性状の変化に乏しい単調な岩相であった。ボーリングコアのCT撮影には,電力中央研究所が所有するマルチスライス・ヘリカルX線CTスキャナー(Aquilion precision,キヤノンメディカルシステムズ製)を使用した。撮影条件は管電圧140 kVp,管電流200 mA,検出器の設定はスライス厚0.25 mm×160列とした.ボーリングコアはコア箱より取り出し,専用の台に載せ,1mずつ撮影した。なお,CT撮影日程の都合上,コア掘削後1か月経過したのち撮影した.CT画像によるコアの内部構造観察では,泥岩には全深度にわたり開口を伴わないモザイク状割れ目が発達することを確認した。一方,開口割れ目の分布密度は深度によって異なった。ImageJを用いたCT画像解析より,コアの深度方向に対して,(1)密度,(2)直径,(3)泥岩の性状を定量的に求めた。以下に,その解析方法と結果を報告する.
(1)コアの密度の変化
コアの体軸方向に対して垂直なスライス画像について,輝度値(≒密度)の深度方向の変化を観察した。CT画像を1mm間隔で抜き出し,スライス画像上に認められたビームハードニングの影響を避けるため,コアの中心40 mmを切り出し,スライス画像1枚の中で輝度値を平均化した。その結果,岩相の種類に関わらず,ある一定の区間ごとにコア密度が変化する傾向があった。他の手法による分析結果と照らし合わせると,変形・圧密,粘土化の程度などを反映している可能性がある。
(2)コアの直径の変化
前述したように,CT画像は掘削後1か月経過したのち撮影したものであった.目視観察でも,コアは深度により膨張によって直径に変化が認められた。膨張した区間を定量的に示すため,CT画像解析によりコアの直径を深度方向に1 cm間隔で連続的に測定した.ボーリングコア径は平均して約83 mmである.この値と比較すると,深度140 m~310 mにかけては連続してコア径が増加する傾向にあった.局所的にコア径が4 mm~最大7 mmまで増大する深度もあり,コア径の増大が見られた深度ではXRD分析よりスメクタイトやイライトなどが同定された。掘削後のコアは乾燥を防ぐために定期的に水道水を噴霧していたため,粘土鉱物が膨張したと考えられる。
(3)泥岩の性状の変化
CT画像から,葉山層群中の泥岩には,割れ目の頻度や岩石組織の変形・破砕構造等の観点から「硬質」,「微細割れ目」,「膨張」,「しわ状」の4タイプの性状があることが観察され,そのような特徴をもつコアが連続して産する深度が認められた(濱田・大山,2021;2024)。こうしたCT画像で認められた変形・破砕構造等を定量的に評価するため,二値化により割れ目のみを抽出し,割れ目を線化したうえで,ボックスカウンティング法によりフラクタル次元解析を行った.その結果,「微細割れ目」,「膨張」,「しわ状」の性状では,抽出された割れ目の本数と長さの短い割れ目が増えることで,フラクタル次元が増加する傾向があった。
(1)~(3)の結果より,目視観察では単調に見えるコア試料でも,CT画像により,密度,膨張,変形・破砕構造等を定量的に評価でき,コアスケール(cm~mスケール)の地質構造の判別,掘削後の変化から構成鉱物の推定にも有用である。
引用文献
1. 高橋雅紀(2008):3 .3 .3 三浦半島.日本地質学会編,日本地方地質誌3 関東地方.朝倉書店, pp.187– 193.
2. 濱田藍・大山隆弘(2021):堆積岩ボーリングコアのX線CT画像解析による孔壁安定性の検討,日本応用地質学会 令和3年度研究発表会講演論文集,pp.187-188.
3. 濱田藍・大山隆弘(2024):新第三紀堆積岩(葉山層群)の岩石組織と間隙特性:X線CT・水銀ポロシメータ・SEMを用いた検討,日本応用地質学会 令和6年度研究発表会講演論文集,pp.241-242.
(1)コアの密度の変化
コアの体軸方向に対して垂直なスライス画像について,輝度値(≒密度)の深度方向の変化を観察した。CT画像を1mm間隔で抜き出し,スライス画像上に認められたビームハードニングの影響を避けるため,コアの中心40 mmを切り出し,スライス画像1枚の中で輝度値を平均化した。その結果,岩相の種類に関わらず,ある一定の区間ごとにコア密度が変化する傾向があった。他の手法による分析結果と照らし合わせると,変形・圧密,粘土化の程度などを反映している可能性がある。
(2)コアの直径の変化
前述したように,CT画像は掘削後1か月経過したのち撮影したものであった.目視観察でも,コアは深度により膨張によって直径に変化が認められた。膨張した区間を定量的に示すため,CT画像解析によりコアの直径を深度方向に1 cm間隔で連続的に測定した.ボーリングコア径は平均して約83 mmである.この値と比較すると,深度140 m~310 mにかけては連続してコア径が増加する傾向にあった.局所的にコア径が4 mm~最大7 mmまで増大する深度もあり,コア径の増大が見られた深度ではXRD分析よりスメクタイトやイライトなどが同定された。掘削後のコアは乾燥を防ぐために定期的に水道水を噴霧していたため,粘土鉱物が膨張したと考えられる。
(3)泥岩の性状の変化
CT画像から,葉山層群中の泥岩には,割れ目の頻度や岩石組織の変形・破砕構造等の観点から「硬質」,「微細割れ目」,「膨張」,「しわ状」の4タイプの性状があることが観察され,そのような特徴をもつコアが連続して産する深度が認められた(濱田・大山,2021;2024)。こうしたCT画像で認められた変形・破砕構造等を定量的に評価するため,二値化により割れ目のみを抽出し,割れ目を線化したうえで,ボックスカウンティング法によりフラクタル次元解析を行った.その結果,「微細割れ目」,「膨張」,「しわ状」の性状では,抽出された割れ目の本数と長さの短い割れ目が増えることで,フラクタル次元が増加する傾向があった。
(1)~(3)の結果より,目視観察では単調に見えるコア試料でも,CT画像により,密度,膨張,変形・破砕構造等を定量的に評価でき,コアスケール(cm~mスケール)の地質構造の判別,掘削後の変化から構成鉱物の推定にも有用である。
引用文献
1. 高橋雅紀(2008):3 .3 .3 三浦半島.日本地質学会編,日本地方地質誌3 関東地方.朝倉書店, pp.187– 193.
2. 濱田藍・大山隆弘(2021):堆積岩ボーリングコアのX線CT画像解析による孔壁安定性の検討,日本応用地質学会 令和3年度研究発表会講演論文集,pp.187-188.
3. 濱田藍・大山隆弘(2024):新第三紀堆積岩(葉山層群)の岩石組織と間隙特性:X線CT・水銀ポロシメータ・SEMを用いた検討,日本応用地質学会 令和6年度研究発表会講演論文集,pp.241-242.