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[MIS24-P01] 歴史資料を活用した19世紀の鳥海山における噴火の再検討

キーワード:鳥海山、歴史資料
秋田県と山形県の県境に位置する鳥海山は,歴史時代において多数の噴火記録がある活火山である.鳥海山においては歴史時代の噴火による噴出物の研究報告が少なく,地質学的な知見が不足していることから,歴史資料から得られる情報は最近の鳥海山の噴火の実態を知るうえで重要である.歴史資料から噴火史に迫った先行研究(植木 1981, 姉崎 1952 ほか)は存在するが,根拠となる記録の原典が不明であったり,記録のある史料名が紹介されるのみであったりと,史料の原文にアクセスすることが容易でない場合が多い.オリジナルのデータにアクセスできないと,その記録による情報が噴火の記録として信頼のおけるデータなのか検証することが難しい.林ほか(2013)では,山形県の「飽海郡史」に掲載されている2つの資料を示して1801-1804年噴火について考察している.しかしながら,秋田県側において同噴火の歴史資料調査を行い,それに基づき明確な引用を示して噴火の推移を考察した研究例はない.そこで本研究では,秋田県側を中心に鳥海山の噴火記録のうち特に江戸時代の歴史資料について,原典の確認・翻刻によりデータを整理し記録に示された情報の発信元の信頼性・内容の信ぴょう性を評価することで,各噴火の詳細な推移について再検討する.
歴史資料調査では,由利本荘市矢島郷土資料館と,にかほ市象潟郷土資料館に所蔵されている歴史資料を対象とした.具体的には「鳥海山煙焼見届覚」「享和二年ヨリ明治初年迄飢饉鳥海山噴火ノ事」(矢島郷土資料館所蔵)「享和元年鳥海山山焼并地震之記」(象潟郷土資料館所蔵)などの資料データである.また,他にも先行研究で紹介された「歳代記」「歳代記録」(象潟郷土資料館所蔵)についても確認している.
矢島郷土資料館所蔵「鳥海山煙焼見届覚」は,下記に述べる点から研究上特に重要であると考えている.姉崎(1952)においては“矢島の旧記”(以下,旧記)が紹介されている.しかしこれは,「矢島地区において保存されている歴史資料」ということを示しているに過ぎず,どのような原典から引用された情報であるかが不明とされてきた.この旧記と「鳥海山煙焼見届覚」の記述を比較すると,「鳥海山煙焼見届覚」は旧記の記述と同じイベントを記録しており,内容に一致する部分があることから,旧記の記述を裏付ける噴火史料といえる.したがって,「鳥海山煙焼見届覚」はこれまで原典不明とされ資料の検証が不可能であった旧記における記述を補完する歴史資料であるといえる.また,「鳥海山煙焼見届覚」は庄内藩の求めに応じて作成された噴火の様子を詳しく報告した文書の写しと考えられる.
今回の調査で得られた資料は1801-1804年,1821年噴火について詳細に記述しているものが多く,今後はこれらの記述から噴火諸現象の時空間的な推移を復元することを中心に作業を進めていきたいと考えている.また,歴史資料調査も継続して進め,記述内容の充実に努めたいと考えている.
謝辞:歴史資料調査においては,由利本荘市矢島郷土資料館,にかほ市象潟郷土資料館,鶴岡市郷土資料館にご協力いただいた.記して謝意を表します.
歴史資料調査では,由利本荘市矢島郷土資料館と,にかほ市象潟郷土資料館に所蔵されている歴史資料を対象とした.具体的には「鳥海山煙焼見届覚」「享和二年ヨリ明治初年迄飢饉鳥海山噴火ノ事」(矢島郷土資料館所蔵)「享和元年鳥海山山焼并地震之記」(象潟郷土資料館所蔵)などの資料データである.また,他にも先行研究で紹介された「歳代記」「歳代記録」(象潟郷土資料館所蔵)についても確認している.
矢島郷土資料館所蔵「鳥海山煙焼見届覚」は,下記に述べる点から研究上特に重要であると考えている.姉崎(1952)においては“矢島の旧記”(以下,旧記)が紹介されている.しかしこれは,「矢島地区において保存されている歴史資料」ということを示しているに過ぎず,どのような原典から引用された情報であるかが不明とされてきた.この旧記と「鳥海山煙焼見届覚」の記述を比較すると,「鳥海山煙焼見届覚」は旧記の記述と同じイベントを記録しており,内容に一致する部分があることから,旧記の記述を裏付ける噴火史料といえる.したがって,「鳥海山煙焼見届覚」はこれまで原典不明とされ資料の検証が不可能であった旧記における記述を補完する歴史資料であるといえる.また,「鳥海山煙焼見届覚」は庄内藩の求めに応じて作成された噴火の様子を詳しく報告した文書の写しと考えられる.
今回の調査で得られた資料は1801-1804年,1821年噴火について詳細に記述しているものが多く,今後はこれらの記述から噴火諸現象の時空間的な推移を復元することを中心に作業を進めていきたいと考えている.また,歴史資料調査も継続して進め,記述内容の充実に努めたいと考えている.
謝辞:歴史資料調査においては,由利本荘市矢島郷土資料館,にかほ市象潟郷土資料館,鶴岡市郷土資料館にご協力いただいた.記して謝意を表します.