日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS24] 歴史学×地球惑星科学

2025年5月28日(水) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:加納 靖之(東京大学地震研究所)、芳村 圭(東京大学生産技術研究所)、岩橋 清美(國學院大學)、玉澤 春史(東京大学生産技術研究所)

17:15 〜 19:15

[MIS24-P07] データ同化手法による古気候復元を目的とした古日記収集の現状と展望

*鈴村 巴1岡﨑 淳史1,2 (1.千葉大学環境リモートセンシング研究センター、2.千葉大学国際高等研究基幹)

キーワード:古気候復元、データ同化、古日記、社会水文学、気候プロキシ

本研究は、過去数百年にわたる古日記の天候記録をもとに、モデルシュミレーションを用いて高解像度な古気候復元を行い、江戸時代の洪水や渇水のような異常気象の長期的な挙動や人間社会との相互関係について理解を深めることを目的としている。古日記に記録された天候情報は、本邦において測器による気象観測が始まる以前の貴重な気候プロキシであり、江戸時代や明治時代初期の気象災害を理解するための重要な手がかりとなる。
従来、古文書を用いた気候研究では、データの連続性や網羅性が重要視されてきたため、対象となる史料は限られ、分析する期間や地域も制約を受けてきた。しかし、本研究では復元手法にデータ同化という手法を活用することで、解析対象とする史料の時間・空間的な制約を取り払い、多様な史料の収集が可能となった。データ同化では、単一の気象要素にとどまらず、モデルが計算する全ての気象要素を復元可能である。
そこで、本研究の収集対象は、作成地は主に千葉県内、年代は江戸時代から明治時代初期にかけて記録された古日記とした。内容は、藩主の日記、社寺に関わる日記、名主や網元による日記等で、天候の表現や記載の詳細さは作成者や目的によって異なる。収集済みの日記の年代は江戸時代後期に集中しており、明治時代初期が続く。これらの史料は、文書館をはじめ、各地域の博物館や資料館、教育委員会等、あるいは個人によって保管されている。
現在、それらの記録を体系的に調査・収集し、データベース化を進めている。古文書原本や複製資料の撮影と並行して翻刻文の掲載された刊本の収集も行っており、収集済みの史料は2025年2月時点で300点を超えている。今後さらなる古日記の収集を続け、データ同化手法による古気候復元の精度向上を目指す。