日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-SD 宇宙開発・地球観測

[M-SD35] 将来の衛星地球観測

2025年5月30日(金) 13:45 〜 15:15 展示場特設会場 (5) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:高橋 暢宏(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)、高薮 縁(東京大学 大気海洋研究所)、祖父江 真一(宇宙航空研究開発機構)、小原 慧一(宇宙航空研究開発機構、名古屋大学)、座長:本多 嘉明(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)

15:00 〜 15:15

[MSD35-06] 数値予報精度向上のための衛星搭載ドップラー風ライダーによる全球風観測

*石井 昌憲1岡本 幸三2岡本 創3木村 俊義4久保田 拓志4、今井 正4、境澤 大亮4、中島 正勝4、松本 紋子5関山 剛2西澤 智明6竹見 哲也7宮本 佳明8、佐藤 篤9沖 理子4佐藤 正樹10岩崎 俊樹11 (1.東京都立大学、2.気象庁気象研究所、3.九州大学、4.宇宙航空研究開発機構、5.ANAホールディングス株式会社、6.国立環境研究所、7.京都大学、8. 慶應大学、9.東北工業大学、10.東京大学、11.東北大学)

キーワード:地球観測衛星、ドップラー⾵ライダー、全球3次元⾵観測、数値予報、赤外サウンダ

地球観測衛星は,数値予報や気候システムの理解やモニタリングの基礎となる必須気候変数を観測しており,現代社会にとって必要不可欠なインフラストラクチャーとなっている.地球観測によって得られる観測データは,科学的だけでなく,経済的にも価値ある財産となっている.必須気候変数の中で,風観測衛星に着目すると,海上風や雲または水蒸気を追跡した上層風(衛星大気追跡風,AMV)を観測するものがほとんどである.直接的に風の高度分布を得る地球観測は継続的に行われていない.衛星大気追跡風の観測領域は,広域・高頻度で観測できるが,雲または水蒸気の領域に依存し、高度推定,高度分解能,観測精度,晴天・乾燥域や中層の風観測に課題がある.次期の静止気象衛星・ひまわりに搭載予定のハイパースペクトル赤外サウンダ観測による衛星大気追跡風は,これらの課題を改善することが期待されているが,パッシブセンサによる推定高度には限界があるため,高度情報もった風観測を行える衛星センサが必要である.
欧州宇宙機関は,数値予報に入力される全球の風の初期値の改善と,全球および領域スケールでの大気力学現象の理解とモデリングの深化を目的として,ドップラー風ライダーを搭載した風観測衛星Aeolusを,2018年8月に打ち上げた.Aeolusは,宇宙から全球の風の高度分布観測を実現し,数値予報精度向上への大きな効果,大気力学への応用等について,風の高度分布観測の重要性とドップラー風ライダーの有用性を実証し,2023年7月に運用を終えた.欧州宇宙機関は,Aeolusの後継ミッションを検討している.日本においても,Aeolusとは異なる方式(光へテロダイン方式)のドップラー風ライダーで,数値予報精度向上,大気力学や大気輸送への応用,航空機の安全運行等について検討を進めている.また,光ヘテロダイン方式とAeolus後継ミッションでも採用されている直接検波方式の両方の観測性能を評価出来るシミュレータの開発,AI技術を活用した大気追跡風と高度推定アルゴリズムとの開発に着手している.本発表は,日本初となる宇宙用ライダーMOLIで培われた衛星搭載ライダーの基盤技術を発展させて,日本独自のコヒーレント式ドップラー風ライダーを提案するとともに,将来の赤外サウンダによる衛星大気追跡風,Aeolus次号機による風観測と統合して,全球規模で高解像度の4次元風観測を目指す提案である.