日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT36] 雪氷圏地震学: 地震動の解析を通じた雪氷圏における変動の理解

2025年5月27日(火) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:箕輪 昌紘(北海道大学・低温科学研究所)、金尾 政紀(国立極地研究所)、Podolskiy Evgeny A.(北極域研究センター, 北海道大学)、橋本 真美(地震予知総合研究振興会)

17:15 〜 19:15

[MTT36-P03] 投下型観測装置ペネトレータによる南極域観測

*西川 泰弘1田中 智2佐伯 和人3山本 真行1加古川 篤3山本 耕大1、平塚 丘将1、谷口 亮太3 (1.高知工科大学、2.宇宙科学研究所、3.立命館大学)

キーワード:ペネトレータ観測、氷震、インフラサウンド、リモートセンシング

質の高い観測データの取得は自然科学における重要な課題である。特に、地震やインフラサウンドのような進行波の観測には、複数のセンサーを用いたアレイ観測が有効であり、これにより波源位置の特定や伝播経路の解析が可能となる。しかし、観測機器の設置には地理的・環境的な制約が大きく関わり、人がアクセスしやすい地域では比較的容易に観測が行える一方、人の到達が困難な地域では設置コストや労力が増大し、十分な観測が困難となる。

南極は、人が定住せず、アクセスが極めて困難な地域の典型である。現在の南極観測では、地震や気圧変動のモニタリングを行うために、有人の基地や限られた無人観測点に機器を設置し、データを収集している。しかし、この方法では広範囲をカバーすることが難しく、観測点の空間的な偏りやデータ取得のコストが課題となっている。

この問題を解決するため、我々はペネトレータを用いた観測手法を開発している。ペネトレータとは、上空から投下することで地表へ貫入し、無人での観測機器設置を可能にする鉛筆型の装置である。我々が開発したペネトレータは、南極域での地震・気圧変動や氷河流速の観測を目的として設計されており、地震計、インフラサウンドセンサー、GPSシステムを搭載している。

2022年の第64次南極地域観測隊から、南極域におけるペネトレータの投下試験と観測機器の性能評価を開始した。特に、第66次南極地域観測隊では、白瀬氷河へのペネトレータ投下を実施し、日本へのリアルタイムGPS情報の送信に成功した。これにより、ペネトレータを用いた観測が現実的な手法であることが示された。

今後の計画として、白瀬氷河およびランホブデ氷河周辺における広域観測ネットワークの構築を目指している。このネットワークにより、氷河周辺の地震活動やインフラサウンドの発生メカニズムの解明が期待される。本発表では、これまでのペネトレータ開発の経緯、取得データの解析結果、および将来の展望について詳述する。