日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT36] 雪氷圏地震学: 地震動の解析を通じた雪氷圏における変動の理解

2025年5月27日(火) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:箕輪 昌紘(北海道大学・低温科学研究所)、金尾 政紀(国立極地研究所)、Podolskiy Evgeny A.(北極域研究センター, 北海道大学)、橋本 真美(地震予知総合研究振興会)

17:15 〜 19:15

[MTT36-P05] 雪崩による地震動の特徴 -新潟県妙高市幕ノ沢の例-

*土井 一生1、竹内 由香里2、勝山 祐太2、勝島 隆史2大澤 光3岡本 隆3 (1.京都大学防災研究所、2.森林総合研究所十日町試験地、3.森林総合研究所)

キーワード:雪崩、地震計

雪崩による地震動が周辺の地震計によって検知された事例が報告されている(竹内ほか、2022; 上石ほか、2022)。このような事例は、地震計の雪崩自動検知ツールとしての可能性を示唆しており、そのためには、収録された地震動と雪崩現象の特徴がどのように対応するかを理解することが必要である。著者ら(土井ほか、2023)は、森林総合研究所十日町試験地によって妙高山域の幕ノ沢において実施されている連続地震観測による波形記録に対して、雪崩の可能性がある波形の抽出方法を確立し、2016年冬期から2023年冬期までの間に83個のイベントを抽出した。本研究では、2024年冬期まで観測・解析期間を延長するとともに、抽出された波形の継続時間や卓越周波数の変化、振幅などといった特徴について整理し、その波形の出現した気象条件との対応関係について調べる。
森林総合研究所十日町試験地は幕ノ沢の雪崩堆積区付近(標高815 m)において積雪期の連続地震観測を実施している(竹内、2022)。地震動はMARK PRODUCTS社製L-22D(固有周波数 2 Hz)の速度型地震計を使用し,白山工業株式会社のLS8800を用いてサンプリング周波数 100 Hzで収録されている。この記録に対して、土井ほか(2023)が示したように、1秒ごとに設定した5秒窓における速度波形から5-12 Hzと25-35 Hzの相乗平均スペクトルを算出し,1)ある時刻における 5-12 Hzの相乗平均スペクトルの前30秒間の相乗平均に対する後5秒間の相乗平均の比が2を超えること,2)その時刻における25-35 Hzに対する5-12 Hzの相乗平均スペクトルの比が2を超えることを条件として,イベントの検知をおこなった.検出されたイベントから自然地震や明らかなノイズを目視で除外したところ,雪崩の可能性があるイベントを2016-2024年冬期に89個を検出することができた.
次に検出されたイベントについて、継続時間や卓越周波数の変化、振幅などの観点から整理した。例えば、継続時間については、ランニングスペクトルにおいてノイズレベルを超えて継続して信号が確認できる最大の時間長とした。その結果、40秒を超えるイベントが2個、30秒程度のイベントが4個存在した一方、大半が15-20秒程度となった。さらに,長い継続時間を持つイベントの検出日の日平均気温や3日間積算降雪深を参照したところ,半数が日平均気温が0 ℃未満かつ3日間積算降雪深が70 cm以上の日に発生していた。このようなイベントの地震動の特徴と雪崩現象を対比することで、どの程度の距離離れたどのような形態の雪崩が検知可能かなどを明らかにする。