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[MTT37-P03] GNSS稠密観測網で観測された2024年能登半島地震(M7.6)後の地殻変動
キーワード:GNSS、能登半島、地震、余効変動
1.はじめに
2020年12月から活発化した能登半島北東部の群発地震に伴い震源域周辺での膨張や隆起が観測され、地下深部からの流体の上昇とそれによる地震発生深度(深さ15km程度)より深部におけるスロースリップが原因と考えられている(Nishimura et al., 2023)。この地域では、さらに2024年能登半島地震(M7.6)による大きな地殻変動が観測されたが、これらの地殻変動は、国土地理院GEONETやソフトバンク独自基準点に加え、大学によって設置された臨時GNSS観測点によって詳細な観測が行われている。本発表では、これらの観測網の統合解析から得られた2024年能登半島地震後の地殻変動について報告する。
2.解析方法
観測点ごとの日座標値の計算には、精密単独測位法に基づくGipsyX ver2.3ソフトウェアを用い、最新の地球基準座標系であるITRF(International Terrestrial Reference Frame)2020準拠の座標値を算出した。この座標値をアムールプレートの運動を基準とした座標系(Altamimi et al., 2023)に変換して、解析に使用した。また、非定常地殻変動の抽出のため、群発地震開始以前の一次トレンドや観測網全体に共通する誤差の補正を行った。
3.結果
各観測点の時系列から、M7.6の地震の余効変動が1年間に渡り減衰しながらも継続していることが明らかになった。また、観測点により2024年6月3日(M6.0)、2024年10月28日(M6.6)などの地震時のオフセットが確認できるが、これらの地震によって余効変動の傾向が変わった様子は見られない。一方、地震後1年間の変動分布(図1)からは、余震域の南東側では北西方向の地殻変動が能登半島だけでなく新潟県や富山県の観測点でも見られ、余効変動が広域で観測されていることがわかる。また、上下変動は、能登半島の全域にわたって沈降、新潟県の沿岸部などで隆起が見られる。観測された余効変動の大局的なパターンは、弾性・粘弾性体の2層構造で説明可能であり、VISCO1Dプログラム(Pollitz, 1997)を用いてグリッドサーチで粘弾性パラメータを推定すると弾性層厚さ27km、Burgers粘弾性を仮定した粘弾性層の粘性率は、1.7x1019 Pa s(Maxwell要素)、8.5x1017 Pa s(Kelvin要素) と推定された。この粘性率は、1993年北海道南西沖地震や1964年新潟地震などの日本海東縁部で発生した大地震の余効変動が長期間継続していることと調和的であり、余効変動は今後数十年以上継続すると考えられる。また、上下・水平変動を定量的に説明するためには、より複雑な地下構造が必要であり、能登半島では余効滑りの寄与もあることが示唆される。
2024年12月の約1ヶ月間の非定常変動からは、この期間の余効変動がかなり小さくなっていることがわかるが、群発地震が継続していた能登半島北東部で収縮を表すようなパターンが見える。変動量は観測誤差に対して有意ではないが、この地域の変動は、群発地震を引き起こした地下の流体が現在どのようになっているのかに関する重要な情報を持っていると考えられるので、今後精査していく必要がある。
謝辞:本研究で使用したソフトバンクの独自基準点の後処理解析用データは、ソフトバンク株式会社およびALES株式会社より「ソフトバンク独自基準点データの宇宙地球科学用途利活用コンソーシアム」の枠組みを通じて、ソフトバンク株式会社およびALES株式会社より提供を受けたものを使用しました。国土地理院の電子基準点RINEXデータ、気象庁一元化震源データを使用しました。
2020年12月から活発化した能登半島北東部の群発地震に伴い震源域周辺での膨張や隆起が観測され、地下深部からの流体の上昇とそれによる地震発生深度(深さ15km程度)より深部におけるスロースリップが原因と考えられている(Nishimura et al., 2023)。この地域では、さらに2024年能登半島地震(M7.6)による大きな地殻変動が観測されたが、これらの地殻変動は、国土地理院GEONETやソフトバンク独自基準点に加え、大学によって設置された臨時GNSS観測点によって詳細な観測が行われている。本発表では、これらの観測網の統合解析から得られた2024年能登半島地震後の地殻変動について報告する。
2.解析方法
観測点ごとの日座標値の計算には、精密単独測位法に基づくGipsyX ver2.3ソフトウェアを用い、最新の地球基準座標系であるITRF(International Terrestrial Reference Frame)2020準拠の座標値を算出した。この座標値をアムールプレートの運動を基準とした座標系(Altamimi et al., 2023)に変換して、解析に使用した。また、非定常地殻変動の抽出のため、群発地震開始以前の一次トレンドや観測網全体に共通する誤差の補正を行った。
3.結果
各観測点の時系列から、M7.6の地震の余効変動が1年間に渡り減衰しながらも継続していることが明らかになった。また、観測点により2024年6月3日(M6.0)、2024年10月28日(M6.6)などの地震時のオフセットが確認できるが、これらの地震によって余効変動の傾向が変わった様子は見られない。一方、地震後1年間の変動分布(図1)からは、余震域の南東側では北西方向の地殻変動が能登半島だけでなく新潟県や富山県の観測点でも見られ、余効変動が広域で観測されていることがわかる。また、上下変動は、能登半島の全域にわたって沈降、新潟県の沿岸部などで隆起が見られる。観測された余効変動の大局的なパターンは、弾性・粘弾性体の2層構造で説明可能であり、VISCO1Dプログラム(Pollitz, 1997)を用いてグリッドサーチで粘弾性パラメータを推定すると弾性層厚さ27km、Burgers粘弾性を仮定した粘弾性層の粘性率は、1.7x1019 Pa s(Maxwell要素)、8.5x1017 Pa s(Kelvin要素) と推定された。この粘性率は、1993年北海道南西沖地震や1964年新潟地震などの日本海東縁部で発生した大地震の余効変動が長期間継続していることと調和的であり、余効変動は今後数十年以上継続すると考えられる。また、上下・水平変動を定量的に説明するためには、より複雑な地下構造が必要であり、能登半島では余効滑りの寄与もあることが示唆される。
2024年12月の約1ヶ月間の非定常変動からは、この期間の余効変動がかなり小さくなっていることがわかるが、群発地震が継続していた能登半島北東部で収縮を表すようなパターンが見える。変動量は観測誤差に対して有意ではないが、この地域の変動は、群発地震を引き起こした地下の流体が現在どのようになっているのかに関する重要な情報を持っていると考えられるので、今後精査していく必要がある。
謝辞:本研究で使用したソフトバンクの独自基準点の後処理解析用データは、ソフトバンク株式会社およびALES株式会社より「ソフトバンク独自基準点データの宇宙地球科学用途利活用コンソーシアム」の枠組みを通じて、ソフトバンク株式会社およびALES株式会社より提供を受けたものを使用しました。国土地理院の電子基準点RINEXデータ、気象庁一元化震源データを使用しました。