17:15 〜 19:15
[MTT37-P07] 稠密GNSS観測データを用いた対流圏遅延の局所的変動に関する研究
キーワード:GNSS、対流圏遅延、水蒸気
1つの積雲の生成消滅や孤立峰のある島の上空だけ雲がある島曇り、海風前線に伴って大気水蒸気の時間・空間分布がどのように変化するかということは、それら現象の維持やその後の推移に重要な情報であると考えられる。しかしながら、一般的にはよい分解能で大気水蒸気の時間・空間分布を計測することは難しい。そこで、本研究では密に配置されたGNSS受信データに含まれる水蒸気による遅延量に着目して、水蒸気の時間・空間分布の変化に関わる情報を抽出して局所的な気象現象の発達・予測に活用することを目指している。
本研究では、局所的な気象現象として2つの種類(平面的な空間変動と高さ方向の空間変動)を対象とする。まず、平面的な空間変動の対象としては、晴天時の数km程度以内の対流圏遅延変動の観測である。電子航法研究所では、新石垣空港、及び仙台空港の敷地内の水平2km以内の領域に5局からなるGNSS受信装置をそれぞれ設置して連続的にGNSS受信データを収集している。そこでは、春から秋にかけて暖かく晴れた日にスラント方向(GNSS衛星視線方向)の遅延差で、最大0.1m程度の大きさをもつ現象が観測されている。このような現象は海外での先行研究でも晴れた日を中心に観測されることが報告され、地上風と同期することから対流圏遅延変動ではないかと指摘されている。このため、空港内の5点に加えて、GEONET観測点、ソフトバンク株式会社のGNSS基準点を含めた解析により、これまでの観測点群よりも外側に広がりをもった観測データから、気象学的な発生機構と特徴を特定することを目指す。次に、高さ方向に高低差があるGNSS点から大気水蒸気の高さ方向の空間変動とその時間変化、季節変化を観測することの可能性を検討する。一般には、GNSS受信点による大気遅延の観測では大気上層から下層に至るまでの伝搬遅延の総和として観測される。しかし、孤立峰の山頂付近とその麓のような比較的水平距離が短い範囲にGNSS点が存在する場合には、それらの高度差から山頂高度以下の大気下層と山頂よりも高い上層の水蒸気量の分離が可能であると考えられる。例えば、関東域での年間を通したラジオゾンデ観測結果から地上と高度900mまでの天頂方向の対流圏遅延量における水蒸気寄与分は0.01~0.1m程度の範囲で変動している。そのため、これらの比較的小さな水蒸気による遅延変動を検出することが課題として挙げられ、季節変化や前線通過時の変動が捉えることができるかといった検証を目指す。これにより、高度差を含めて検出可能な水蒸気空間分布の変動量を見積ることが可能となれば、孤立峰や島の上にできる雲の生成・消滅の予測等に寄与できる可能性がある。
発表ではこれら2つの種類の局所的な気象現象の観測についてGNSS受信データ解析を行って初期結果を示す予定である。
謝辞:
本研究で使用したソフトバンクの独自基準点の後処理解析用データは、「ソフトバンク独自基準点データの宇宙地球科学用途利活用コンソーシアム」の枠組みを通じて、ソフトバンク株式会社およびALES株式会社より提供を受けたものを使用しました。
本研究では、局所的な気象現象として2つの種類(平面的な空間変動と高さ方向の空間変動)を対象とする。まず、平面的な空間変動の対象としては、晴天時の数km程度以内の対流圏遅延変動の観測である。電子航法研究所では、新石垣空港、及び仙台空港の敷地内の水平2km以内の領域に5局からなるGNSS受信装置をそれぞれ設置して連続的にGNSS受信データを収集している。そこでは、春から秋にかけて暖かく晴れた日にスラント方向(GNSS衛星視線方向)の遅延差で、最大0.1m程度の大きさをもつ現象が観測されている。このような現象は海外での先行研究でも晴れた日を中心に観測されることが報告され、地上風と同期することから対流圏遅延変動ではないかと指摘されている。このため、空港内の5点に加えて、GEONET観測点、ソフトバンク株式会社のGNSS基準点を含めた解析により、これまでの観測点群よりも外側に広がりをもった観測データから、気象学的な発生機構と特徴を特定することを目指す。次に、高さ方向に高低差があるGNSS点から大気水蒸気の高さ方向の空間変動とその時間変化、季節変化を観測することの可能性を検討する。一般には、GNSS受信点による大気遅延の観測では大気上層から下層に至るまでの伝搬遅延の総和として観測される。しかし、孤立峰の山頂付近とその麓のような比較的水平距離が短い範囲にGNSS点が存在する場合には、それらの高度差から山頂高度以下の大気下層と山頂よりも高い上層の水蒸気量の分離が可能であると考えられる。例えば、関東域での年間を通したラジオゾンデ観測結果から地上と高度900mまでの天頂方向の対流圏遅延量における水蒸気寄与分は0.01~0.1m程度の範囲で変動している。そのため、これらの比較的小さな水蒸気による遅延変動を検出することが課題として挙げられ、季節変化や前線通過時の変動が捉えることができるかといった検証を目指す。これにより、高度差を含めて検出可能な水蒸気空間分布の変動量を見積ることが可能となれば、孤立峰や島の上にできる雲の生成・消滅の予測等に寄与できる可能性がある。
発表ではこれら2つの種類の局所的な気象現象の観測についてGNSS受信データ解析を行って初期結果を示す予定である。
謝辞:
本研究で使用したソフトバンクの独自基準点の後処理解析用データは、「ソフトバンク独自基準点データの宇宙地球科学用途利活用コンソーシアム」の枠組みを通じて、ソフトバンク株式会社およびALES株式会社より提供を受けたものを使用しました。