17:15 〜 19:15
[MTT38-P07] PPI観測を付加した桜島噴煙の機動的観測
キーワード:桜島の機動的噴煙観測、船舶レーダ、PPI
はじめに
火山の一般的な噴煙観察は3次元の気象レーダで実施され、ペンシルビームが使われる.気象レーダはらせん状に観測すると5分から10分程度の観測時間がかかるが,船舶レーダはファンビームが1回転を2.5秒の高速で観測できるので気象レーダに比べて短い周期で噴煙の動きを観測することが期待できる.また,船舶レーダは重量が20kg程度と軽く堅牢であるので,機動的観測に適している.2018年から桜島の噴煙の観測を始め,主に桜島観測所(SVO:Sakurajima volcano observatory)と黒神でRHI(Range Height Indicator)観測を継続してきた.
RHI観測では噴煙の鉛直方向を詳細に測定できるが,水平の移動方向はとらえにくいので,PPI(Plan Position Indicator)観測を黒神にPPI観測を追加することで,噴煙の水平移動を把握できるか調査し,噴煙が水平移動する記録を得た.
実験方法
既に設置している桜島の西側のSVOと東側の黒神に船舶レーダで南岳をRHI観測している.2024年5月14日に黒神へPPI観測を加えて,噴煙の水平移動を観測した.
PPI観測では水平から上でビーム角が11°となり南岳山頂(13°)に届かないのでアンテナに迎角を加える治具で25°にしてビーム幅(-3dB)は水平から36°~14°となり南岳上空を観測できるようになった.
船舶レーダの使用周波数帯域はX-バンドで,水平ビーム幅1.2°,垂直ビーム幅22°長さ195cm(6ft)のアンテナを使用し,黒神のPPI用レーダは固体化レーダ,RHI用レーダはマグネトロンレーダである.そして,SVOの船舶用レーダは固体化レーダでRHI観測である.
結果
黒神に設置したPPIレーダの映像は中心が黒神で上側に桜島の山腹が映り,山腹の左側に南岳噴火口が影となっている.仰角0°では上方向ビーム幅11°であるから,山頂の13°より低くなり映像の強度が強い.そこで,アンテナの仰角を25°上げて上下方向ビーム幅を14°~36°にした.
仰角0°と25°では山腹の映像面積が仰角25°のほうが小さくなっている.黒神から南岳の経路で信号強度の強い部分を読むと平均で仰角25°は0°より7.7dB~3.9dB(標準偏差2.0~3.4)低いので噴煙を良く観測できることが期待される.
観測期間の2024年5月14日から7月23日で2000m以上の噴火が3回あり,最もPPI観測が効果を現したのが2024/7/14 18:19の噴火であった.
PPI観測結果では噴火直後に噴火口にエコーがあり,その後NE方向に噴煙が流れており黒神の北を通り噴火口から8km付近まで噴煙が流れていた.
まとめ
船舶レーダで噴煙鉛直方向の変化を観察するためにSVOと黒神に船舶レーダを設置してRHI観測してきた.RHI観測では分からない噴煙の流向を求めるためにPPI観測を加えることを検討した.黒神から南岳までと相当の4kmの距離ではRHIとPPIの水平面ビームはRHIの22°は1536mPPIの1.2°は84mとなりPPIの分解能が良く,噴煙の流れる方向をとらえることができた.PPIの仰角を0°から25°にするとgrand clutterが低減する効果が確認された.
謝辞
本研究は文科省「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト(課題22K03760)」と京大防災研究所一般共同研究「極端現象のレーダマルチセンシング研究」の助成を受けた.
火山の一般的な噴煙観察は3次元の気象レーダで実施され、ペンシルビームが使われる.気象レーダはらせん状に観測すると5分から10分程度の観測時間がかかるが,船舶レーダはファンビームが1回転を2.5秒の高速で観測できるので気象レーダに比べて短い周期で噴煙の動きを観測することが期待できる.また,船舶レーダは重量が20kg程度と軽く堅牢であるので,機動的観測に適している.2018年から桜島の噴煙の観測を始め,主に桜島観測所(SVO:Sakurajima volcano observatory)と黒神でRHI(Range Height Indicator)観測を継続してきた.
RHI観測では噴煙の鉛直方向を詳細に測定できるが,水平の移動方向はとらえにくいので,PPI(Plan Position Indicator)観測を黒神にPPI観測を追加することで,噴煙の水平移動を把握できるか調査し,噴煙が水平移動する記録を得た.
実験方法
既に設置している桜島の西側のSVOと東側の黒神に船舶レーダで南岳をRHI観測している.2024年5月14日に黒神へPPI観測を加えて,噴煙の水平移動を観測した.
PPI観測では水平から上でビーム角が11°となり南岳山頂(13°)に届かないのでアンテナに迎角を加える治具で25°にしてビーム幅(-3dB)は水平から36°~14°となり南岳上空を観測できるようになった.
船舶レーダの使用周波数帯域はX-バンドで,水平ビーム幅1.2°,垂直ビーム幅22°長さ195cm(6ft)のアンテナを使用し,黒神のPPI用レーダは固体化レーダ,RHI用レーダはマグネトロンレーダである.そして,SVOの船舶用レーダは固体化レーダでRHI観測である.
結果
黒神に設置したPPIレーダの映像は中心が黒神で上側に桜島の山腹が映り,山腹の左側に南岳噴火口が影となっている.仰角0°では上方向ビーム幅11°であるから,山頂の13°より低くなり映像の強度が強い.そこで,アンテナの仰角を25°上げて上下方向ビーム幅を14°~36°にした.
仰角0°と25°では山腹の映像面積が仰角25°のほうが小さくなっている.黒神から南岳の経路で信号強度の強い部分を読むと平均で仰角25°は0°より7.7dB~3.9dB(標準偏差2.0~3.4)低いので噴煙を良く観測できることが期待される.
観測期間の2024年5月14日から7月23日で2000m以上の噴火が3回あり,最もPPI観測が効果を現したのが2024/7/14 18:19の噴火であった.
PPI観測結果では噴火直後に噴火口にエコーがあり,その後NE方向に噴煙が流れており黒神の北を通り噴火口から8km付近まで噴煙が流れていた.
まとめ
船舶レーダで噴煙鉛直方向の変化を観察するためにSVOと黒神に船舶レーダを設置してRHI観測してきた.RHI観測では分からない噴煙の流向を求めるためにPPI観測を加えることを検討した.黒神から南岳までと相当の4kmの距離ではRHIとPPIの水平面ビームはRHIの22°は1536mPPIの1.2°は84mとなりPPIの分解能が良く,噴煙の流れる方向をとらえることができた.PPIの仰角を0°から25°にするとgrand clutterが低減する効果が確認された.
謝辞
本研究は文科省「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト(課題22K03760)」と京大防災研究所一般共同研究「極端現象のレーダマルチセンシング研究」の助成を受けた.