14:00 〜 14:15
[MZZ41-02] 槽歯類の分類に認識的徳が果たした役割
キーワード:古生物学史、槽歯類、認識的徳、分類、進化分類学、分岐学
槽歯類は、主竜類の原始的なグループとして位置付けられていた分類群である。過去の文献で恐竜や鳥類の祖先としてその名が散見されるように、一時期は広く支持されていた。しかし、現在の古生物学では、この分類群が使われることはほとんどない。
槽歯類の分類に関する見解の変遷は、体系学の方法論である進化分類学と分岐学の見解の違いに起因する。古生物学者達は進化分類学に基づいておよそ40年程の間槽歯類を有効な分類群とみなしてきた。しかし、1980年代に入ると、多くの分岐学を支持する研究者から槽歯類は不適切な分類群であると批判されるようになった。分岐学の観点からは槽歯類は有効な分類群とはみなされなかったのである。そして1990年代になると、分岐学が進化分類学に取って代わり、古生物学における主流の方法論となった。それに伴い、多くの古生物学者は分岐学の枠組みに従い、槽歯類を有効な分類群とはみなさなくなった。このようにして、かつて広く支持されていた槽歯類は姿を消していったのである。
進化分類学と分岐学の生物分類に関する対立について、これまでの歴史研究では、両者が自然種(本発表では、生物学的に実在する分類群を指す意味で用いる)とは何かということに関して異なる考えを有していたことが取り上げられてきた。
本発表では、槽歯類の分類の変遷の事例において、従来の研究で指摘されてきた二つの方法論の自然種についての認識の違いだけでなく、両方法論の分類の安定性に対する姿勢の違いもまた、影響を持っていたことを論じる。これは両方法論の対立に関しての従来の歴史研究では取り上げられていなかった要素である。
また、認識的徳(epistemic virtue)に着目し、分類に関する両方法論の見解の相違と認識的徳の関係を考察する。さらに、進化分類学から分岐学への移行に伴って、古生物学における研究者コミュニティの支配的な認識的徳が変化するということが生じ、そのことが槽歯類が支持を失ったことの一因となった可能性についても論じる。
槽歯類の分類に関する見解の変遷は、体系学の方法論である進化分類学と分岐学の見解の違いに起因する。古生物学者達は進化分類学に基づいておよそ40年程の間槽歯類を有効な分類群とみなしてきた。しかし、1980年代に入ると、多くの分岐学を支持する研究者から槽歯類は不適切な分類群であると批判されるようになった。分岐学の観点からは槽歯類は有効な分類群とはみなされなかったのである。そして1990年代になると、分岐学が進化分類学に取って代わり、古生物学における主流の方法論となった。それに伴い、多くの古生物学者は分岐学の枠組みに従い、槽歯類を有効な分類群とはみなさなくなった。このようにして、かつて広く支持されていた槽歯類は姿を消していったのである。
進化分類学と分岐学の生物分類に関する対立について、これまでの歴史研究では、両者が自然種(本発表では、生物学的に実在する分類群を指す意味で用いる)とは何かということに関して異なる考えを有していたことが取り上げられてきた。
本発表では、槽歯類の分類の変遷の事例において、従来の研究で指摘されてきた二つの方法論の自然種についての認識の違いだけでなく、両方法論の分類の安定性に対する姿勢の違いもまた、影響を持っていたことを論じる。これは両方法論の対立に関しての従来の歴史研究では取り上げられていなかった要素である。
また、認識的徳(epistemic virtue)に着目し、分類に関する両方法論の見解の相違と認識的徳の関係を考察する。さらに、進化分類学から分岐学への移行に伴って、古生物学における研究者コミュニティの支配的な認識的徳が変化するということが生じ、そのことが槽歯類が支持を失ったことの一因となった可能性についても論じる。