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[MZZ42-P01] U-Pb geochronology of zircons by ID-TIMS on two coarse-grained eucrites
キーワード:ユークライト、ID-TIMS U-Pb年代測定、ジルコン
HED隕石群(Howardite-Eucrite-Diogenite)は、エコンドライトの最大グループであり、小惑星ベスタに由来すると考えられている。これらは原始惑星の熱進化に関する重要な知見を提供する。ユークライトはベスタの上部地殻を代表する隕石であり、玄武岩質ユークライトと集積岩ユークライトに分けられる。前者は地表付近に、後者はその下に存在するとされる。玄武岩質ユークライトは不適合元素を多く含み、様々な年代測定法が適用可能であり、地殻上部は4553 Ma 以前に結晶化したことが示されている(e.g., Iizuka et al., 2015; Haba & Wotzlaw, 2021)。一方、集積岩ユークライトの年代学的研究は限られているが、より若い結晶化年代が示唆されている(例:Moore County: 4542 ± 85 Ma; Boyet et al., 2010)。このため、一部の相対年代測定法(例えば、²⁶Al-²⁶Mg, ⁵³Mn-⁵³Cr)の適用が制約される。しかし、地殻下部の年代を制約することは、ベスタ内部の熱履歴を理解する上で重要である。本研究では、unbrecciated gabbroic eucriteである Northwest Africa(NWA)11455およびNWA 11247の高精度U-Pbジルコン年代を報告する。
本研究では、全岩元素定量分析、ジルコンの鉱物学的観察、およびID-TIMS U-Pbジルコン年代測定を実施した。全岩組成分析は、粉末試料をHF-HNO₃で溶解し、東京科学大学のトリプル四重極ICP-MS(iCAP TQ)を用いて行った。ジルコン粒子は、隕石岩片を高温アニーリングした後、酸処理した残渣から回収した。その後、ジルコンは1回のHFリーチング処理を施してから完全溶解され、U-Pb化学分離が行われた。ジルコン粒子のU-Pb年代測定はETH ZurichのThermo TRITON plus TIMSを用いて実施した。以降、全ての年代は2σの信頼区間で報告する。
NWA 11455およびNWA 11247の希土類元素(REE)濃度は玄武岩質ユークライトよりも有意に低く、そのREEパターンは正のEu異常を示し、Moore Countyのパターンに類似する。ただし、NWA 11247は軽希土類元素が過剰を示しており、地球上での風化の影響が示唆される。これらの隕石に含まれるジルコンは最大直径が200 μmに達し、玄武岩質ユークライトのジルコン(通常 ≤30 μm)よりも顕著に大きい。FE-EPMA分析では、明確な過成長リムや累帯構造は見られなかったが、亀裂に沿った脈状の組織が観察され、結晶化後の再加熱を示唆している。
ID-TIMSによるU-Pbジルコン年代測定の結果、ほとんどのデータはコンコーディア曲線上にプロットされた。従来の玄武岩質ユークライトのID-TIMS Pb-Pb年代は単一のコンコーダント年代に収束するのに対し、本研究で分析したNWA 11455とNWA 11247のジルコンのPb-Pb年代は顕著な分散の傾向を示した(NWA 11455, 4540.05 ± 0.16 Ma~4553.11 ± 0.20 Ma(n = 7); NWA 11247, 4539.39 ± 0.16 Ma~4550.59 ± 0.17 Ma(n = 8))。古い年代(~4550 Ma)は集積岩ユークライトの結晶化を示唆し、若い年代(~4539 Ma)は再加熱の影響を示す可能性がある。これらの年代とジルコンの組織観察結果を組み合わせると、ソリダス温度(~1060℃)を超える1回以上の再加熱イベントがあったことが示唆される。
Neumann et al. (2014) のベスタの熱進化モデルによると、Moore Countyが存在したと推測される深さ約10 km(Miyamoto & Takeda, 1992)では、4539 Maまでにソリダス温度を大幅に下回ると予測される。この深さでは、表面からの衝突だけでジルコンの結晶化やU-Pb年代のリセットに十分な熱を供給することは難しい。しかし、4525 Maに発生したメソシデライト形成に関わる大規模衝突は、熱源と厚いレゴリス層を提供し、長期にわたる高温状態を維持した可能性がある(Haba et al., 2019)。また、ベスタの初期の断熱性の高い地殻が、火成活動の持続時間を引き延ばした可能性も考えられる(Roszjar et al., 2016)。この場合、レゴリスに覆われた地殻は、原始惑星系円盤のガス散逸に伴う高頻度の衝突によって形成された可能性が考えられる(e.g., Hunt et al., 2022)。
本研究では、全岩元素定量分析、ジルコンの鉱物学的観察、およびID-TIMS U-Pbジルコン年代測定を実施した。全岩組成分析は、粉末試料をHF-HNO₃で溶解し、東京科学大学のトリプル四重極ICP-MS(iCAP TQ)を用いて行った。ジルコン粒子は、隕石岩片を高温アニーリングした後、酸処理した残渣から回収した。その後、ジルコンは1回のHFリーチング処理を施してから完全溶解され、U-Pb化学分離が行われた。ジルコン粒子のU-Pb年代測定はETH ZurichのThermo TRITON plus TIMSを用いて実施した。以降、全ての年代は2σの信頼区間で報告する。
NWA 11455およびNWA 11247の希土類元素(REE)濃度は玄武岩質ユークライトよりも有意に低く、そのREEパターンは正のEu異常を示し、Moore Countyのパターンに類似する。ただし、NWA 11247は軽希土類元素が過剰を示しており、地球上での風化の影響が示唆される。これらの隕石に含まれるジルコンは最大直径が200 μmに達し、玄武岩質ユークライトのジルコン(通常 ≤30 μm)よりも顕著に大きい。FE-EPMA分析では、明確な過成長リムや累帯構造は見られなかったが、亀裂に沿った脈状の組織が観察され、結晶化後の再加熱を示唆している。
ID-TIMSによるU-Pbジルコン年代測定の結果、ほとんどのデータはコンコーディア曲線上にプロットされた。従来の玄武岩質ユークライトのID-TIMS Pb-Pb年代は単一のコンコーダント年代に収束するのに対し、本研究で分析したNWA 11455とNWA 11247のジルコンのPb-Pb年代は顕著な分散の傾向を示した(NWA 11455, 4540.05 ± 0.16 Ma~4553.11 ± 0.20 Ma(n = 7); NWA 11247, 4539.39 ± 0.16 Ma~4550.59 ± 0.17 Ma(n = 8))。古い年代(~4550 Ma)は集積岩ユークライトの結晶化を示唆し、若い年代(~4539 Ma)は再加熱の影響を示す可能性がある。これらの年代とジルコンの組織観察結果を組み合わせると、ソリダス温度(~1060℃)を超える1回以上の再加熱イベントがあったことが示唆される。
Neumann et al. (2014) のベスタの熱進化モデルによると、Moore Countyが存在したと推測される深さ約10 km(Miyamoto & Takeda, 1992)では、4539 Maまでにソリダス温度を大幅に下回ると予測される。この深さでは、表面からの衝突だけでジルコンの結晶化やU-Pb年代のリセットに十分な熱を供給することは難しい。しかし、4525 Maに発生したメソシデライト形成に関わる大規模衝突は、熱源と厚いレゴリス層を提供し、長期にわたる高温状態を維持した可能性がある(Haba et al., 2019)。また、ベスタの初期の断熱性の高い地殻が、火成活動の持続時間を引き延ばした可能性も考えられる(Roszjar et al., 2016)。この場合、レゴリスに覆われた地殻は、原始惑星系円盤のガス散逸に伴う高頻度の衝突によって形成された可能性が考えられる(e.g., Hunt et al., 2022)。