17:15 〜 19:15
[MZZ42-P11] サンゴ骨格からの非晶質炭酸カルシウムの検出
キーワード:地球化学、石灰化、サンゴ、ACC、放射光分析
ウニや二枚貝類など、炭酸カルシウムの骨格を形成する海洋生物は石灰化生物と呼ばれる。その中でも造礁サンゴは、骨格に含まれる微量元素の組成比や同位体比を周囲の海水温や塩分を示すプロキシとして扱うことができ、古気候・古海洋環境の復元において広く利用されている。しかしその生物鉱化作用については未だ不明な部分が多い。したがって石灰化生物の骨格形成のメカニズムを明らかにすることは、生物学のみならず地球科学的にも重要なテーマである。
炭酸カルシウムの骨格を形成する石灰化生物において、その結晶構造は生物種によって異なることが知られており、カルサイト(方解石)とアラゴナイト(あられ石)を形成するものに大別される。ちなみに、造礁サンゴはアラゴナイトを骨格主成分とするグループである。また国外の研究では、カルサイトを骨格主成分とするウニにおいて、炭酸カルシウム結晶の前駆体であるACC(非晶質炭酸カルシウム)の存在が確認されており、これが生物鉱化の特に初期段階において作用している例が複数報告されている。したがって本研究では、サンゴの骨格形成初期段階においてもACCが生成されているか観察し、サンゴの骨格形成プロセスを明らかにすることを主目的としている。
本研究では、大型放射光施設SPring-8において光電子顕微鏡(PEEM)および走査型軟X線顕微鏡(SFXM)を使用し、非生物起源のACC標準試料と稚サンゴポリプ骨格における、鉱物組成と結晶構造を測定した。PEEMでは無機合成したACC標準試料とポリプ骨格の両方を、SFXMではポリプ骨格のみを測定した。PEEM用のポリプ骨格試料については、樹脂で試料を包埋させたのち表面研磨して、平滑表面を形成したものを用い、ACC標準試料は粉末状のものを使用している。またどちらも観測の際の帯電を防ぐため、金属薄膜を1~2nmほどの厚さでコーティングしたうえで測定を行った。一方SFXM用のポリプ骨格試料については、スライドガラス基板に接着剤やカーボンテープで固定した状態で測定を行った。
PEEM測定では、まずACCの標準試料において、その大部分がACCであることが確認された。中にはカルサイトとみられる結晶構造も確認できたが、これはACCが無機条件下で結晶化したものであると考えられる。一方で、アラゴナイトの結晶構造は本研究では確認できなかったため、ACCからの結晶化では、アラゴナイトではなくカルサイトが形成される可能性を示唆している。ポリプ骨格については、ほとんどがアラゴナイトで形成されていることが確認でき、従来の研究結果と整合的であった。しかし局所的にはカルサイトやACCとみられる結晶構造も確認できたことから、骨格形成初期のサンゴが一様に石灰化していないことが示唆された。ウニに比べ、サンゴ骨格におけるACCの存在については研究報告が限られていたが、本研究においてもACCが存在している可能性が示唆された。
SFXM測定ではマグネシウムの微細マッピングを行ったが、この結果からもポリプ骨格の局所にマグネシウムの濃集領域の存在が確認された。以上のことから、サンゴの骨格形成初期段階における生物鉱化プロセスは空間的に一様ではなく、複雑なシステムによって駆動していることが考えられる。
炭酸カルシウムの骨格を形成する石灰化生物において、その結晶構造は生物種によって異なることが知られており、カルサイト(方解石)とアラゴナイト(あられ石)を形成するものに大別される。ちなみに、造礁サンゴはアラゴナイトを骨格主成分とするグループである。また国外の研究では、カルサイトを骨格主成分とするウニにおいて、炭酸カルシウム結晶の前駆体であるACC(非晶質炭酸カルシウム)の存在が確認されており、これが生物鉱化の特に初期段階において作用している例が複数報告されている。したがって本研究では、サンゴの骨格形成初期段階においてもACCが生成されているか観察し、サンゴの骨格形成プロセスを明らかにすることを主目的としている。
本研究では、大型放射光施設SPring-8において光電子顕微鏡(PEEM)および走査型軟X線顕微鏡(SFXM)を使用し、非生物起源のACC標準試料と稚サンゴポリプ骨格における、鉱物組成と結晶構造を測定した。PEEMでは無機合成したACC標準試料とポリプ骨格の両方を、SFXMではポリプ骨格のみを測定した。PEEM用のポリプ骨格試料については、樹脂で試料を包埋させたのち表面研磨して、平滑表面を形成したものを用い、ACC標準試料は粉末状のものを使用している。またどちらも観測の際の帯電を防ぐため、金属薄膜を1~2nmほどの厚さでコーティングしたうえで測定を行った。一方SFXM用のポリプ骨格試料については、スライドガラス基板に接着剤やカーボンテープで固定した状態で測定を行った。
PEEM測定では、まずACCの標準試料において、その大部分がACCであることが確認された。中にはカルサイトとみられる結晶構造も確認できたが、これはACCが無機条件下で結晶化したものであると考えられる。一方で、アラゴナイトの結晶構造は本研究では確認できなかったため、ACCからの結晶化では、アラゴナイトではなくカルサイトが形成される可能性を示唆している。ポリプ骨格については、ほとんどがアラゴナイトで形成されていることが確認でき、従来の研究結果と整合的であった。しかし局所的にはカルサイトやACCとみられる結晶構造も確認できたことから、骨格形成初期のサンゴが一様に石灰化していないことが示唆された。ウニに比べ、サンゴ骨格におけるACCの存在については研究報告が限られていたが、本研究においてもACCが存在している可能性が示唆された。
SFXM測定ではマグネシウムの微細マッピングを行ったが、この結果からもポリプ骨格の局所にマグネシウムの濃集領域の存在が確認された。以上のことから、サンゴの骨格形成初期段階における生物鉱化プロセスは空間的に一様ではなく、複雑なシステムによって駆動していることが考えられる。