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[MZZ43-P06] 弥生土器から推定された考古地磁気強度と東アジアにおける紀元前600年~紀元1700年の考古地磁気強度標準曲線の構築
キーワード:考古地磁気強度、考古地磁気強度標準曲線、弥生土器、考古地磁気強度年代測定
考古遺物に記録されている過去の地磁気の大きさを考古地磁気強度という。過去数千年間の考古地磁気強度の変化は、考古地磁気方位の変化とともに地球外核のダイナミクスを探る基礎的データとして重要である。また、地磁気強度が大きく変化する時代であれば、年代不明の考古遺物の焼成年代を推定する手がかりとなる。最近の古地磁気強度研究の進展により、日本における1986年以前の先行研究の考古地磁気強度の推定値は実際よりも高く見積もられている可能性が指摘され始めた。そこで本研究では、福岡県春日市の御供田遺跡から発掘された紀元前250 年から紀元50 年の弥生土器に対して岩石磁気測定と古地磁気強度の測定実験を行った。45個の土器サンプルについて真空中と空気中で熱磁気分析を行ったところ、真空中よりも空気中の方が加熱と冷却の誘導磁化曲線が可逆的であり、加熱によるサンプルの変質が少ないことが分かった。そこで、それらのサンプルのうち、8個の土器サンプルから切り出した合計23個のスペシメン(サンプル当たり1~6個)について、空気中加熱を伴う綱川・ショー法を適用して古地磁気強度実験を実施した。その結果、8個中7個の土器サンプルから切り出された23個中17個のスペシメンが綱川・ショー法の合格基準に合格した。この合格率(74 %)の高さは熱磁気分析の結果とよく合っている。1つのサンプルにつき3個以上のスペシメンから考古地磁気強度が得られていて、それらの標準偏差が15%以下という選択基準を満たすサンプル平均値は4個であった。その4個の土器サンプル平均値を年代順に並べると、紀元前250年から紀元前100 年の期間では地磁気強度が36.4 µTから40.0 µTとほぼ一定で、紀元150 年から紀元75年では地磁気強度が46.2 µTに増加するという傾向が観察された。以上の結果を日本(Kitahara et al., 2018, 2021; Tema et al., 2023)と韓国(Hong et al., 2013)の最近のデータと比較したところ、互いに矛盾しないことが確認できた。そこで、これらのデータを用いて紀元前600 年〜紀元1700 年の標準曲線をLOESS曲線回帰によって構築した。その標準曲線において複数の極大(紀元前470年、紀元340 年、そして紀元1150 年)と極小(紀元前250年から紀元前50年の間、紀元約600年、そして紀元1610年)の存在が観察された。これは東アジアに共通する地磁気強度変動のパターンだと考えられる。この標準曲線を用いることで、紀元前600 年〜紀元1700 年における年代の不明な考古遺物の破片の年代推定を行うことができる可能性が見出された。