日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-ZZ その他

[M-ZZ44] 海底マンガン鉱床の生成環境と探査・開発

2025年5月29日(木) 09:00 〜 10:30 201B (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:臼井 朗(高知大学海洋コア国際研究所)、高橋 嘉夫(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、鈴木 勝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構・海底資源センター)、伊藤 孝(茨城大学教育学部)、座長:伊藤 孝(茨城大学教育学部)、臼井 朗(高知大学海洋コア国際研究所)、鈴木 勝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構・海底資源センター)、高橋 嘉夫(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)

09:30 〜 09:45

[MZZ44-03] マンガンクラストの縞状構造が記録する過去650万年間における北西太平洋の風成塵フラックス変動

*長谷川 精1,2、高馬 菜々子1臼井 朗2小田 啓邦3川畑 博1、高橋 浩規4伊藤 孝4奥村 知世2浦本 豪一郎2柏原 輝彦5山本 正伸6 (1.高知大学理工学部、2.高知大学海洋コア国際研究所、3.産業総合研究所、4.茨城大学、5.JAMSTEC、6.北海道大学)

キーワード:マンガンクラスト、縞状構造、氷期-間氷期サイクル、風成塵、北西太平洋

深海底マンガンクラストは百万年間に数mmの堆積速度でゆっくりと堆積しており,長期的な古環境変動の良好な記録媒体である。また特定の海域のマンガンクラストには1 mm以下の縞状構造が発達しており,氷期-間氷期サイクルと対応している可能性が示唆されていたが,その成因を明らかにした研究はない。本研究では,伊豆マリアナ弧の正徳海山(30°48.7′N, 138°19.14′E, 水深1940 m)で採取された,縞状構造が良く発達したマンガンクラストを研究対象とした。X線CTを用いた3D微細構造観察とEPMAを用いた微小領域化学組成分析により,マンガンクラストに見られる縞状構造は,間氷期に沈殿したストロマトライトに似た柱状構造を示すマンガン酸化物と,氷期に柱状構造の間隙に沈積した風成塵との互層からなることを明らかにした。さらに古地磁気層序対比とオービタルチューニングに基づく年代モデルを作成し,650万年間という長期間に渡る氷期の風成塵フラックス変動の復元に成功した。マンガンクラストに記録される風成塵フラックスの変動は,中国黄土高原の石英粒径変動と類似していた。さらに日射量変動と風成塵堆積量の40万年周期成分を比較すると,650万年前~180万年前は順位相で変動するのに対し,180万年前以降は逆位相で変動していた。これは,180万年前以前は離心率極大期に砂漠乾燥域が拡大するのに対し,北半球氷床の拡大に伴って離心率極小期に砂漠乾燥域が拡大するように,日射に対するアジア内陸の水文環境の応答がスイッチした可能性を示唆している。