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[MZZ44-03] マンガンクラストの縞状構造が記録する過去650万年間における北西太平洋の風成塵フラックス変動
キーワード:マンガンクラスト、縞状構造、氷期-間氷期サイクル、風成塵、北西太平洋
深海底マンガンクラストは百万年間に数mmの堆積速度でゆっくりと堆積しており,長期的な古環境変動の良好な記録媒体である。また特定の海域のマンガンクラストには1 mm以下の縞状構造が発達しており,氷期-間氷期サイクルと対応している可能性が示唆されていたが,その成因を明らかにした研究はない。本研究では,伊豆マリアナ弧の正徳海山(30°48.7′N, 138°19.14′E, 水深1940 m)で採取された,縞状構造が良く発達したマンガンクラストを研究対象とした。X線CTを用いた3D微細構造観察とEPMAを用いた微小領域化学組成分析により,マンガンクラストに見られる縞状構造は,間氷期に沈殿したストロマトライトに似た柱状構造を示すマンガン酸化物と,氷期に柱状構造の間隙に沈積した風成塵との互層からなることを明らかにした。さらに古地磁気層序対比とオービタルチューニングに基づく年代モデルを作成し,650万年間という長期間に渡る氷期の風成塵フラックス変動の復元に成功した。マンガンクラストに記録される風成塵フラックスの変動は,中国黄土高原の石英粒径変動と類似していた。さらに日射量変動と風成塵堆積量の40万年周期成分を比較すると,650万年前~180万年前は順位相で変動するのに対し,180万年前以降は逆位相で変動していた。これは,180万年前以前は離心率極大期に砂漠乾燥域が拡大するのに対し,北半球氷床の拡大に伴って離心率極小期に砂漠乾燥域が拡大するように,日射に対するアジア内陸の水文環境の応答がスイッチした可能性を示唆している。