日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-02] 地球科学とアートの相互作用

2025年5月25日(日) 15:30 〜 17:00 展示場特設会場 (5) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:荒木 優希(金沢大学)、豊福 高志(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、長井 裕季子(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、石田 翔太(横浜市立大学)、座長:荒木 優希(金沢大学)、長井 裕季子(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)

15:33 〜 15:48

[O02-01] ミクロのアーティスト「珪藻」の機能美とその不思議

★招待講演

*佐藤 晋也1 (1.公立大学法人 福井県立大学)

キーワード:珪藻、形態、細胞壁、微細構造

珪藻という生き物をご存じだろうか。水の中を漂うプランクトンと呼ばれる生き物は千差万別で、たくさんの種類が含まれている。その多くは肉眼では見えないような小さな生き物で、特に植物プランクトンと呼ばれる単細胞藻類の仲間の多くは1mm以下と非常に小さい。その植物プランクトンの中で、量・種類ともに地球上で最も多いのが珪藻である。珪藻の最大の特徴は、ガラスでできた細胞壁をもつことである。その形態は種ごとに多様で、世界中に約10万種が存在すると推定されている。珪藻の形は非常に繊細で、その美しい形状や模様は、自然界の「ミクロのアーティスト」と称されるにふさわしい。珪藻の美しさは自然愛好家の間で広く知られており、世界中のアマチュア顕微鏡観察者の間でも多くの熱心なファンが存在する。また、その形状は多くのアーティストにインスピレーションを与えてきた。しかし、なぜ珪藻はこのような形をしているのだろうか。我々を楽しませ、自然への興味を引き起こすため?アーティストを刺激し、創造性を高めるため?真の理由は珪藻自身に尋ねなければ分からないが、我々研究者は、これらの美しい形態が物理的な強度の確保、浮力の調整、表面積の拡大による栄養吸収効率の向上など、珪藻の生存戦略と深く関わっている「機能美」であると考えている。本講演では、珪藻がもつ驚異の形を余すところなく紹介し、そのうえで、この形がどのように進化してきたのか最新の研究成果を交えながら、その機能美の背景にあるメカニズムを考察する。さらに、珪藻がつくる構造を我々はどのように利用できるのか、自然界のデザインが持つ可能性や珪藻研究の展望について議論したい。