16:18 〜 16:33
[O02-04] 地質学と美術の臨界を探る 展示手法の観点から
★招待講演
キーワード:地質学、アート、ミュージアム
科学と芸術の融合が叫ばれて久しく,国内においても科学×芸術を標榜するイベントが開催されたり,STEAM教育が推進されたりなど,科学と芸術を繋ごうとする試みは一定の理解を得るようになっている.一方で我々の感覚として,依然として科学は科学であり,芸術は芸術であり,それぞれが独立した分野として考えられていることは変わりない.カテゴリーが分化し,ますます専門化していく現状は,世界を探求する方法であるという同一の意識から出発したはずのそれらが,再び接近することを一見困難なものにしている.結果的に,科学と芸術の融合を標榜する試みは増えたものの,それらは散発的,表層的にとどまるものも多い.また,科学を科学技術と混同している場合も少なくない.このような状況は,科学と芸術の融合という命題が,それらを評価するための語彙や思索の深化を図るための議論を必要としていることを示している.そこで本発表では,発表者の実践を例に科学と芸術の融合という命題を検討することで,議論のための視点を提供する.
発表者は地質学と彫刻を主に学び,それらの臨界点に立ちあらわれる表象を一つのテーマとして実践を行ってきた.2023年には,東北大学総合学術博物館とともに,宮城県仙台市の国際センター駅にある青葉の風テラスを会場として,展覧会「川内地域の地質の表象」をキュレーションした.この展示では,地質学と美術それぞれの展示手法を融合するような展示を試みた.通常自然史博物館では,自然界から採取してきた標本という実際のモノが絶対的に存在する.また,キャプションや解説などによってそのモノに付される情報は,自然科学的事実が前提となる.一方で,美術館においても作品という実際のモノが基本となることは同じだが,その作品に応じてモノの展示の仕方は多岐にわたり,またその解釈も鑑賞者に委ねられる.このようなモノの展示手法の違いに注目し,美術の展示手法を地質学の試料に適応した.結果的に,通常であれば地質学からも美術からも言及されにくい,地質学的な身体感覚に言及することができたように思われた.
発表者は地質学と彫刻を主に学び,それらの臨界点に立ちあらわれる表象を一つのテーマとして実践を行ってきた.2023年には,東北大学総合学術博物館とともに,宮城県仙台市の国際センター駅にある青葉の風テラスを会場として,展覧会「川内地域の地質の表象」をキュレーションした.この展示では,地質学と美術それぞれの展示手法を融合するような展示を試みた.通常自然史博物館では,自然界から採取してきた標本という実際のモノが絶対的に存在する.また,キャプションや解説などによってそのモノに付される情報は,自然科学的事実が前提となる.一方で,美術館においても作品という実際のモノが基本となることは同じだが,その作品に応じてモノの展示の仕方は多岐にわたり,またその解釈も鑑賞者に委ねられる.このようなモノの展示手法の違いに注目し,美術の展示手法を地質学の試料に適応した.結果的に,通常であれば地質学からも美術からも言及されにくい,地質学的な身体感覚に言及することができたように思われた.