日本地球惑星科学連合2025年大会

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[O-02] 地球科学とアートの相互作用

2025年5月25日(日) 15:30 〜 17:00 展示場特設会場 (5) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:荒木 優希(金沢大学)、豊福 高志(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、長井 裕季子(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、石田 翔太(横浜市立大学)、座長:荒木 優希(金沢大学)、長井 裕季子(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)

16:33 〜 16:48

[O02-05] 地球科学とアートの相互作用:進化古生物学者が科学の魅力を広げる新たな試み

★招待講演

*千徳 明日香1 (1.琉球大学理学部)

キーワード:アート、科学の魅力、デザイン、アウトリーチ

地球科学とアートが交わることで、科学の魅力を新しい視点から伝える可能性がある。科学は一般の人々にとってしばしば難解で距離を感じる分野と認識されがちであるが、アートを取り入れることで「難しそう」「堅苦しい」というイメージを刷新し、「面白そう」「かっこいい」「親しみやすい」といった印象へと変えることができる。例えば、ポスターやロゴ、記念アイテムなどのビジュアル表現は、科学の成果やメッセージを視覚的にわかりやすく伝えるだけでなく、記録やイメージ戦略の一環としても重要な役割を果たす。

 私は海洋生物を扱う進化古生物学者として、海や古生物といった、アートの題材にされやすいものを研究対象としている。海の生き物や古生物は、その形態の美しさや神秘的な進化の歴史から、多くの人々に親しまれており、科学とアートを結びつける上で極めて魅力的なモチーフとなる。例えば、古生物の化石や海洋生物の生態をアート作品として表現することで、科学的な知見に興味を持つファン層を広げることができるだけでなく、視覚的なインパクトを通じてその学問的価値を直感的に伝えることも可能となる。

 さらに、研究成果を抽象的なアートとして表現することで、見る人に科学の本質や地球の魅力を自由に想像させる余地を作り出すことができる。具体的なデータや複雑な理論をそのまま伝えるのではなく、アウトライン化されたデザインや色彩豊かな表現を用いることで、視覚的なインパクトを強調し、科学への関心を引きつけることが可能となる。このような手法により、科学に馴染みのない層にもアクセスしやすくなるだけでなく、研究者自身も新しい視点で自分の研究を見つめ直すきっかけとなるのである。

 また、海洋生物や古生物を題材にしたアートは、すでに多くのファンを持つ分野でもある。アートを通じて科学と接する機会が増えれば、すでに海洋生物や古生物に関心を持つ人々に対して、学問的な理解を深めるきっかけを提供することができる。それにより、単なる美的興味にとどまらず、科学的探究心を刺激することにつながる。

 さらに、これらの活動はメディアでの露出を増やし、一般の人々が科学に触れる機会を拡大することで、科学コミュニケーションの重要性を高めることにつながる。その結果、競争的資金の獲得や科学研究の促進、科学に興味を持つ人々の増加に寄与し、未来の研究者や科学者を育成する基盤を作ることが期待される。本発表では、地球科学とアートが融合することで科学の魅力を広げ、人々との共感を生む新たな形が生まれていくことについて、具体的な実例を挙げながら議論する。