日本地球惑星科学連合2025年大会

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[O-05] 変動帯の地質と文化

2025年5月25日(日) 09:00 〜 10:30 展示場特設会場 (5) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:鈴木 寿志(大谷大学)、川村 教一(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、先山 徹(NPO法人地球年代学ネットワーク 地球史研究所)、座長:先山 徹(NPO法人地球年代学ネットワーク 地球史研究所)、鈴木 寿志(大谷大学)

09:25 〜 09:45

[O05-02] 「樹氷マイスター」の誕生と「樹氷の会」の活動

★招待講演

*土門 直子1、柳澤 文孝2大友 幸子2 (1.山形市立第四中学校、2.山形大学)

キーワード:樹氷、樹氷マイスター、講座、蔵王

1.はじめに
樹氷(アイスモンスター)とは一般的には、ある特別な気象環境にある「オオシラビソ(アオモリトドマツ)」などの樹木が着氷と雪片に覆われて巨大な塊になったものをいう。蔵王は、「樹氷ができる」特別な自然環境を持つ地域の1つである。冬季には大きく育ち怪物の群れのようになった樹氷を見る目的で多くの観光客が訪れる.
樹氷という言葉は、明治6年の万国気象会議で定められた用語を、日本語化したものである。現在では気象学だけでなく、雪氷学、文学、科学分野でも多方面に使用されている。
以下は雪氷学と気象学の樹氷の定義であるが、気象学の「樹氷」は雪氷学の「エビノシッポ」と同義である。
 ・雪氷学
樹氷(エビノシッポ):風で運ばれた過冷却滴が樹木に衝突して凍結着氷したもの
樹氷(アイスモンスター):過冷却滴が凍結した着氷に着雪しこの2つが焼結して一体化したもの
 ・気象学
樹氷:主に過冷却した、霧粒または雲粒(山岳域)が樹木や地物に吹き付けられてできた白色不透明のもろい氷で、うすい針状または尾びれ状の塊が集まってできている。
なお、樹氷(アイスモンスター)は氷であるが、「スノーモンスター」と誤った呼び方がされていることも多い。
2,「樹氷の会」について
 柳澤文孝名誉教授が2021年山形大学を退職する時に山形市立図書館に、今までの樹氷について収集した研究資料を寄贈することになった。そこで、その資料を活用する目的で蔵王や樹氷等に興味のある人たちの集まりの会を発足し「準備会」とした。これが「樹氷の会」前身である。
その後、2022年「山形大学 蔵王樹氷火山総合研究会」の下に「樹氷の会」(会長 柳澤文孝)が設立された。現在も、月に1回、2時間ほど柳澤文孝氏を中心に学習会を開いている。
 これまで約30名のメンバーが学習会に参加している.その中には,山形大学で運営されている,やまがた『科学の花咲く』プロジェクトの蔵王マイスター養成講座や月山マイスター養成講座を以前受講し、それぞれ認定された後、県内外で講話や実験教室などボランテイア活動を行っている人々がいる.また山形大学理学部の卒業生で樹氷研究を行っていた人、学校教員、山岳インストラクター、中学生、高校生と多岐にわたっている。
 また、この会では樹氷の資料の利活用とともに、樹氷についての正しい知識・情報を伝承できる講師・講師補助を養成すること、「樹氷鑑定士」の養成も目的としている。
 さて、この数年の間に蔵王の樹氷には様々な変化があった。
・樹氷への温暖化や害虫の影響の拡大
・樹氷に関する新たな資料や事柄が見つかり、これまでと異なった新たな樹氷像ができあがってきている。
・樹氷についての雪氷・気象・環境・山岳・観光・映画など膨大な情報が存在しているがこの資料や情報を集積するところがなかった。しかし、数千点にものぼる柳澤文孝氏の資料を山形市立図書館に寄贈し、資料の登録・データーベース化をすすめている。
そして、今後は、山形市立図書館を「日本の樹氷の資料・情報を多数持っている図書館」として確立していこうと考えている。
 このような中で「樹氷の会」の学習会をすすめている。
 3,「樹氷マイスター」の誕生
 「樹氷の会」では2021年の「準備会」から4年間のあいだ、柳澤文孝氏による資料解析や研究成果を中心に様々な学習会・研修を行ってきた。以下は,その内容の一部である。
・樹氷の発見 ・樹氷のでき方 ・樹氷の名称(アイスモンスター・エビノシッポ)
・蔵王山測候所 ・蔵王高層気象着氷対策研究所 ・温暖化の影響 ・越境汚染 
・樹氷の絵葉書 ・黄砂の影響 ・害虫被害 ・映画「白魔は招く」と「Mt.Zao」 
・アーノルドファンク監督と円谷英二監督 ・ワサ小屋  など。
また、2024年10月13日、20日には、野外研修を企画し、地蔵岳に蔵王山測候所・蔵王高層気象着氷対策研究所跡・ワサ小屋跡や、ケーブルカーの蔵王山頂駅付近のオオシラビソ(アオモリトドマツ)の観察を行った。10月28日、学習会15回以上の出席+野外研修に出席していることを条件に「樹氷マイスター」に認定し、4名の第一期生が誕生した。「樹氷マイスター(仮)」の人たちもまだまだいるので、今後も第二期生以降へとつなげていきたい。